昨日開催されました、
シーズ=市民活動を支える制度をつくる会さん主催による、
ファンドレイジングセミナー2008
第1回はじめよう!戦略的ファンドレイジングに参加しました。
そのレポートをお送りします。
このセミナーは全6回のシリーズで開催されますが、テーマは、
コミュニケーションです。
ファンドレイジングの基本はなんといっても人と人のコミュニケーション。
資金調達にもさまざまなテクニックやコツがありますが、なにも特別なことや才能が必要なのではなく、普通のコミュニケーションをきちんと取り、関係づくりを進めていけることがなにより重要であり、そして基軸になるということです。
第1回目は、今ファンドレイジングといえばこの人!と必ずお名前が出てくる、
鵜尾雅隆さん株式会社ファンドレックス代表取締役を講師にお招きし、
はじめよう!戦略的ファンドレイジングと題した講演をいただきました。
【レポート】ファンドレイジングセミナー2008第1回はじめよう!戦略的ファンドレイジング◆いきなりワーク!
・1分間で自分を魅力的に説明する。
・人の印象は最初の1分間が重要。
◆1.ファンドレイジングとは?考え方
○戦略的思考の基本とは?
・(1)ゴール(目標)から逆算して考える。
・(2)状況を分析して積み上げで考える。
・(3)複合的に動員して実行していく。
○NPOは社会にとってどんな存在か?
・NPOは行政や企業の隙間をうめる
・NPOは社会に新しいものを生み出す存在。(米国のある人)
○社会変革の手段
・ファンドレイジングは社会を変革する手段である。(単なるお金集めの手段ではない)
・相手にいかに共感してもらうか。
・自分たちのもってる解決策をいかに理解してもらうか。
○組織が成長する機会
・ファンドレイジングは組織が社会と対話して成長するためのきっかけ。
・プロセスを通して自分たちのポテンシャルに気がつく。
○日本には寄付文化がないのか?
・寄付文化がないというのは、住宅展示場で住宅販売会社が「日本人は住宅を買う習慣がない」と営業するようなもの。これでは売れるものも売れない。
・日本に無いのは寄付の成功体験と習慣。
・日本型のNPO支援は成立し得る。
○分かりやすくそして熱く語られる鵜尾さん
◆2.NPOのファンドレイジングを取り巻く環境の変化
○変化の数字事例
・統計数理研究所「国民性の研究全国調査」の結果では、「あなたにとって一番大切なものは何か?」という質問に「家族」と答える人が増えている。ちなみに約45%。
・パブリックリソースセンター「第5回企業の社会性に関する調査」の結果では、職場に何らかの募金制度がある企業は約85%もある。
○寄付を取り巻く環境は混乱期
・大企業のCSRが進んできている。(おつきあいレベルから本格的取り組みレベルへ)
・所得格差の拡大。
・生活が不安定になると「社会を良くしたい」という心理が高まってくる。
・急速な高齢化と遺産。
・遺産相続年間75兆円。子どもに遺したいは約7割。逆に言えば遺産以外の使い道も3割いるということ。
◆3.7つの原則、7つのステップ
○子どもの臓器移植の高い成功率
・子どもの臓器移植キャンペーンの高い成功率。調べたら目標金額を達成する成功率が9割を超えていた。
・わずか2週間で1億円を超える寄付が集まった例がある。
・募金解禁日という手法の有効性と戦略性。
・あえて募金をせずに準備のみを進める。記者会見でマスコミに載ってから一気に募金を開始することで、募金の波が起きる。
○ファンドレイジングサイクルの7つのステップ
・(1)寄付の目的・ニーズ・潜在力の明確化。
・(2)理事・ボランティア・支援者の巻き込み。
・(3)既存・潜在的寄付者の分析。
・(4)ファンドレイジング手法(コミュニケーションの内容と方法)の選択。
・(5)ファンドレイジングプランの作成。
・(6)ファンドレイジングの実施。
・(7)寄付者・支援者への感謝・報告。
○(1)寄付の目的・ニーズ・潜在力の明確化
・ファンドレイジング成功に必要な肝は3点。
・夢、物語、場。
○(3)既存・潜在的寄付者の分析
・ドナーレンジチャートで、寄付単価、人数、全収入に占める割合を把握する。
・ファンドレイジングマトリックスで、寄付者とアプローチ方法を分析する。
・ステークフォルダーピラミッドで、薄い関わりの人を濃い関わりにし、濃い関わりの人が薄い関わりになっていかないように対策を考える。
○(4)コミュニケーションの内容
・コミュニケーションの内容を、ACTIONチェックリストで自己評価する。
・A=Attention(注目)、C=Change(変化)、T=Trust(信頼)、I=Imagination(想像力)、O=Only one(唯一)、N=Network(つながり、場)
・人は組織に寄付するのではなく、人は人(の顔が見える)に寄付する。
・ACTIONで定期的に確認をし、見直しを図る。
◆またまたワーク!
・ACTIONチェックリストを埋める。
・隣同士で意見交換する。
○ワークも楽しく演出されました
○メッセージの3階層化((4)コミュニケーションの内容)
・第1階層=直接的な関係者
・第2階層=活動分野やその地域
・第3階層=社会
・どの階層にも伝えることができるようにッセージを準備する。
○両面性メッセージの有効活用((4)コミュニケーション内容の選択)
・両面性メッセージを有効活用する。
・両面性メッセージとは、先にネガティブなことを言うことで、その後のポジティブなことの信用性が高まる。
○気分一致効果((4)コミュニケーション内容の選択)
・ポジティブな人にはポジティブな言葉で、ネガティブな人にはネガティブな言葉を。
・相手の気分や好みに合わせて表現を使い分ける。
○特に日本で有効なこと((4)コミュニケーション内容の選択)
・返恩性=恩を受けたらお返ししなければという心理。
・社会的証明=多くの人がしていることには影響されてしまう心理。
○(6)ファンドレイジングの実施
・一人では大変なので、みんなでやってる一体感で支えるが必要。
・特に日本は複数で感動する方が好きな社会性がある。
・理事会にはファンドレイジング担当をぜひおこう。
○(7)感謝の実施
・一度寄付をもらったら年に7回は感謝をする。
・感謝のタイミングは、寄付直後、会報、暑中見舞い、年賀状、事業報告、次の寄付のお願い時など。
・日本人の陰徳の美もほどほどに。
○ファンドレイジング成功のための7つの原則
・(1)既存支援者を定期的に分析する。
・(2)目標額達成のために具体的な数字の積み上げを意識する。
・(3)ステークホルダーピラミッドを上へあがる仕掛けと仕組みを考える。
・(4)解決策の提案という発想で考える。
・(5)物語で右脳への働きかけを重視する。
・(6)感謝をきちんと年に7回はする。
・(7)責任者をきちんと決める。できれば理事から。
以上