先日、岡山県岡山市で開催されました、
協働環境調査報告会in岡山2008のレポートをお送りします。
【刺さったこと】「
「NPOも仕組みの利用者から設計者になろう!」
川北さんからの熱いメッセージです。
川北さんがなぜNPOのマネジメント支援をしているのか、そのルーツともいえるし、未来像ともいえることが、このメッセージにこめられているなぁと感じました。
【レポート】■調査の報告○協働とは?
・共通の「目標」があること。「目的」ではなく、より具体的な「目標」を共通でもつこと。
・成果を共有することと、成果が市民にももたらされること。成果が市民にもたらされないと市民も育たたない。
○協働事業や相手の選定について
・選考のプロセスもお互いに成長するよい機会。
・選考の制度設計や審査そのものに市民が関わることが重要。
・選考結果をフィードバックすることで、お互いにさらに成長できる。
○指定管理者制度について
・指定管理者制度は、施設の目的や運営方法、利用方法について、行政と市民が見直しを行い、より適切な運営を実現することが目的。
・しかし、現状の指定管理者制度は、この趣旨に沿った運営がなされていない。
○まずはここから始めよう
・協働推進員を任命する。
・審査や評価に市民が参加する。
■事例発表○小牧兼太郎さん(鳥取県企画部協働連携推進室)
・事業提案を随時受けるサポート窓口を設置。
・住民が主体、行政は下から支えるというスタンスで。
・県自らがNPO支援センターの役割を担うことを考えている。(鳥取県には中間支援組織がない)
○広島県福山市市民部協働のまつづくり課
・協働とは「市民自立への投資」と考えている。
・79の学区に「学区まちづくり推進委員会」を設置し、協働のまちづくりを推進している。
・福山市は協働のまちづくり事業の予算が潤沢。これは市長の鶴の一声。
・福山市には中間支援組織はない。
・NPOと地域をつなぐ接点が必要。NPOと地域はまだ水と油のような状況でもある。
○岡山県和気町総務部まちづくり政策課
・行政改革はお金が無いからやるのではない。
・行政の財源は住民の血税。このお金の使い方を見直そうということ。
・町税の1%(約1,500万円)をまちづくり事業の資金として活用。
・助け合いのまちづくりを推進するため、和気・清麻呂座という町民劇団が発足。
■質疑応答Q.鳥取県への質問。市町村との連携の中で、県の制度を見直したというようなことがあるか?
A.(鳥取県)
・鳥取県では県と市町村の役割分担をしない方がよいと考えているが、実態はバラバラ。
・県と市町村の連携については、まだ情報の共有の段階。
・市町村の担当者の中には、NPOは県の所管と考えている人もいる。
→(川北さんから)
・県と市町村の連携については、県側が積極的に巻き込もうとしている方が進みやすい。
・国が直接NPOと組み始めている動きもウォッチする必要がある。(国とNPOが直接連携する事業がすでに100の単位にまで増えている。)
Q.鳥取県への質問。既存の事業と補助や助成から施策への反映については?
A.(鳥取県)
・「NPOや市民は苦情をいう人」という認識があり、距離を置きたがる職員もいる。
→(川北さんから)
・昼間に来庁して自分たちの言いたいことだけ言って帰るような団体はまっとうな団体ではないと思っても良い。
・協働に関してはNPO側の準備不足も否めない。
・個別に勉強、アプローチするだけでなく、出前講座(行政職員を講師として活用)を活用し、みんなで学ぶ機会をつくる。
・個別アプローチから集団アプローチにするためにも、NPO同士のネットワークや中間支援組織の役割が必要。
Q.福山市と和気町への質問。地域活動を職員がサポートする在住職員制度を導入した経緯、具体的な業務内容、成果については?
A.(福山市)
・(経緯)1980年に人権啓発の取り組みから始まった。
・(内容)「市の職員は良き住民たれ」という精神のもと、行政職員のノウハウを地域に提供し、地域を支える黒子になる。
・(成果)申請書の作成サポートなどで、申請書のレベルがアップする。また、見えない信頼関係の構築にも役立っている。
A.(和気町)
・(経緯)町職員はボランティア活動に参加するということを昔から奨励してきた。
・(内容)住民の主体性を尊重するため、提案や指導はしないように
・(成果)行政のための制度ではないので、行政に都合良く利用しないように注意が必要。
→(川北さんから)
・八王子市の協働ハンドブックを紹介。
・NPOと地縁組織は仲が悪い・・・ことが多いが、分けて考えると調整が大変。八王子市は市長が「NPOと地縁組織を分けない」という方針。
・NPOと地縁組織の関係改善に「話し合いで」といっても難しい。
・既存の地縁組織に対しては、「伝える→共感を得る→協力を得る」という段取りではなく、「知ってもらう→協力する→信頼を得る」という段取りが必要。
Q.鳥取県への質問。地縁組織とNPOの関係についてはどう?
A.(鳥取県)
・地縁組織が強い。
・鳥取県ではNPOと地縁組織の対立が少ない。それは、NPOも地域への貢献を全面に出して活動し得いるところが多いから。
Q.岡山県への質問。協働においてNPOが除外されることがあるのはなぜか?
A.(岡山県)
・知事の方針で、すべての事業に協働をということになった。
・NPOを除外するルールはない。むしろ実情を教えてほしい。
→(川北さん)
・行政とNPOの関係性については、関係性と手続きという二元について考えることが必要。
・行政側は、まずは手続きがオープンで公正であることから始める。そのためにもきちんと情報公開することが必要。
■グループワーク○行政がすべきこと、NPOがすべきことを各グループでディスカッション
○行政がすべきこと
・本庁と部局の現場との距離の相違。
・もっと柔軟性が必要。
・積極的な支援施設。
・交流の場。
・IT活用。自前から既存サービスの活用へ。
・難しい書式の改善。
・職員の理解向上の研修。
・当事者、受益者のニーズ把握。
○NPOがすべきこと
・事務や会計能力の向上。
・認知度を高める広報。
・全般的にもっと勉強。
・事業提案力。
・個人の思いだけではなく、客観的なデータで示す力。
○川北さんから
・協働は東高西低の傾向。大きな理由は雪が降ることによる地域の切迫度のちがい。
・協働は地域を耕すこと。
・異なる力をもっている団体同士の連携、力をあわせて課題に取り組むことがもっと必要。
・NPOも仕組みの利用者から設計者になっていくことが必要。
・行政ももっとボトムアップの協働を。
・予算が必要な協働と必要でない協働。行政の資源はお金だけではなく、権限と人材と施設もある。規制緩和や信用保証など、予算が必要でない協働から。
■CANPAN紹介のレジュメ■講座の模様○主催者のご挨拶
○中国3県の事例紹介
以上