4月25日(金)に開催された、
ブロガーミーティング
「ブログと税金」〜たばこ1箱1000円を考える〜企画運営:
アジャイルメディアネットワーク協力:
NPO法人CANPANセンターに参加しました。
えー、まぁ、私もブロガーのはしくれということで・・・
■「たばこ1箱1000円」日本財団笹川陽平会長の提言さて、このブロガーミーティング、お題のとおり、「たばこ1箱1000円」について考えようということなのですが、この「たばこ1箱1000円」は、日本財団の笹川陽平会長が、産経新聞の正論やご自身のブログで問題提起したことに端を発しています。
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【正論】9兆5千億円の新たな税収 日本財団会長・笹川陽平・
【正論】たばこ千円は今や現実的選択 日本財団会長・笹川陽平・
笹川陽平氏のブログ■ミーティングの論点ミーティングには様々な年齢、職業のブロガーが20名ほど集まり、この「たばこ1箱1000円」というお題について、
(1)1箱1000円にすることは可能か?
(2)1箱1000円にするとどのような影響があるか?
(3)税収を増やす意義と使途は?
(4)納得する税金となるには?
という論点から意見交換を行いました。
■たばこ=悪ではない意見交換を行うにあたって再三確認し合ったことは、
・たばこ=悪ではない。
・喫煙者を糾弾することが目的ではない。
ということです。
ともすると、たばこは悪い、喫煙者も悪いという話しになりがちですが、このミーティングはたばこと税金について考えることが目的すので、良い悪いとは異なる視点で意見交換をしましょうということが司会者から何度も提起されました。
ちなみに、参加者は、3割=たばこ吸う人、7割=たばこ吸わない人、という構成でした。
さて、どのような議論がなされたのか?
■私が最初考えたことミーティングに臨むにあたって自分はどう考えていたのか?
・たばこは吸わない
・鼻が弱いのでたばこの煙がだめ
・歩行喫煙のけむりは迷惑
・食事中にたばこくさいのはノーサンキュー
・吸う人のマナーの良し悪しの差が大きくなってきた気がする
・1箱1000円くらいにしてもいいんじゃない
という程度のものでした。
でも、ミーティングに参加し色々な意見交換をしてみたところ、ずっと奥の深い問題があることに気がつきました。
■論点の整理ミーティングで議論された内容の論点を整理してみました。
論点は大きく分けると次の2点です。
(1)ルールとマナーに関する問題
(2)お金と税に関する問題
■論点(1)ルールとマナーに関する問題1つ目の論点はルールとマナーに関する問題です。
この論点については、
・喫煙者に対する制限政策(ルール)が厳しすぎるのではないか?
・たばこ=悪という社会的風潮が世界的に加速しているが、たばこを吸うことはそんなに悪いことなのか?
・喫煙者に対する社会的評価はマイナス。そこまでマイナスに評価されず、そっとしておいてほしい。
・喫煙者のマナーが悪い(副流煙、歩行喫煙、食事中の喫煙など)のも現実。
・たばこは高税率なのだから、もっと喫煙者が敬われてもいいのではないか?
というようなことについて意見交換が行われました。
個人的には、ルールとマナーの問題については、ルールよりマナーで成立する方が大人な社会だろうと思っています。
たばこを吸うことに誇りをもって、だからこそ人に迷惑をかけない高いマナー意識をもって吸う人が増えれば、日本のたばこ文化もより成熟した大人な文化になるのではないでしょうか。
でも、現実的には、マナーの悪い、というかマナーへの意識そのものがない喫煙者が多いのが実態ではないかと思いますので、やっぱりルール化という流れはとめられないような気がします。
■なぜたばこへの社会的制限が世界的潮流なのか?ところで、なぜ、たばこへ社会的制限をかけることが世界的な潮流となっているのでしょうか?
表向きは健康対策が理由のような印象ですが、本当のところはどうなのでしょうか?
たとえば、私はF1が好きなんですが、あるときから、ヨーロッパでの試合では、マルボロなどのたばこスポンサーロゴに制限がかけられるようになりました。(といっても、見る人が見ればマルボロだって分かっちゃうんですが(笑))
F1といえばビッグマネーが動く世界です。色々と制約は受けながらもマルボロをはじめとして多くのたばこ会社がスポンサーとして君臨しています。
どなたか、ご存じの方がいらっしゃいましたら教えてください。
■お金と税に関する問題2つ目の論点は、お金と税に関する問題です。
この論点については、
・たばこ税の現状はどうなっているのか?
・たばこは嗜好品かどうか?
・1箱1000円になったら吸うか?
・低所得者への影響と対策はどうするか?
・納得感のある税金の使い道とは?
・1箱1000円に見合う見返りとはなにか?
・なぜたばこなのか?
というようなことについて意見交換が行われました。
■たばこ税の現状たばこ税の現状がどうなっているのかについては、さすがにJTさんのWebサイトに詳しく出ていますのでそちらをご覧下さい。
JT「たばこ税の事実」を知ってくださいでも、こちらのページにも、たばこ税の仕組みと金額については分かりやすく記載されていましたが、使い道についてはなにも記載がありませんでした。
(一般会計になってしまうので難しいかもしれませんが、やっぱり使い道が分からないと納得感は低いですね)
■納得感のある税金の使い道とは?たばこを1箱1000円にすることで得られる新たな税収(試算では約9兆円)については、納得感のある使い道はなにか?ということが議論されましたが、この納得感とは、
(1)有効な使い道であること
(2)無駄遣いや不透明でないこと
の2点をいかに満たすことが出来るかということです。
(1)有効な使い道については、
・一般税ではなく特定目的税化
・たばこが原因と思われる病気の医療費(一説では約7兆円かかっているそうです)
・依存症対策グッズの支給費用
・社会起業への支援費
など、様々なアイデアが出ましたが、アイデアの以前にみなさんから共通して出たことは、
(2)とにかく無駄遣いや不透明でないことが前提
ということでした。
現状のたばこ税は一般財源に組み入れられるため、結局何に使われているのかわからない、どうせろくなことに使われていない、無駄遣いされるにちがいない、という税や官に対する強い不信感をみなさんお持ちでした。
たしかに、1箱1000円にして税収を増やすには、増やした税収の使い道はもちろんですが、現状の税や官への不信感というハードルをどう克服し、それだったら値段を上げても良いという世論形成が必要となり、世論を形成するためのプロセスが問われることになりそうです。
■喫煙者(高税率納税者)への見返りや対策は?たばこを1箱1000円にすると、現在の税率では約630円の税金を納めることになります。
これだけの高税率で納税することになるのですから、それ相応の見返りが必要ではないかということも、様々な意見交換がされました。
見返りについては、大きく分けると、
(1)喫煙時の見返り
(2)生活における見返り
の2点ついて検討が必要だろうと整理できます。
(1)の喫煙時の見返りについては、
・喫煙スペースを増やす、
・良い場所を喫煙場所にする
・値段を上げるならそれに見合ううまいたばこを開発してほしい
など、様々なアイデアが出ましたが、それよりも個人的に興味深かったことがあります。
それは、喫煙メンバーからは、
・見返りもほしいけど、とにかく「たばこを吸うやつは悪い人」というマイナスイメージで見られることをなんとかしてほしい
・普通にたばこが吸えればいい。そっとしてほしい。
という意見が多く出たことです。
たしかに、正直に言えば、自分にも「たばこ吸う人=迷惑者」という思いがありますし、もっと禁煙ルール化が進めばいいのにと思う気持ちもあります。
(2)の生活における見返りについては、
・名誉区民
・介護施設や病院などの優先利用権
・1箱に1本宝くじ
など、様々なアイデアがでました。
色々なアイデアがでましたが共通していたことは、「納めた分だけちゃんと見返りがあるのか?」ということです。
やはり、納めた税に対する対価として得られるサービスはなにか?という点について掘り下げることが必要そうです。
私もそうなんですが、日本人は税金に対する意識が低い人が多いといわれますよね。
そういう意味では、たばこやお酒のように身近なものがきっかけで、国民の税に対する意識や考え方が変わるかもしれない、ということもこの「たばこ1箱1000円」の副産物になるかもしれませんね。
■終わりにこのブロガーミーティングに参加できたことは、私自身にとってもとても貴重な経験となりました。
今回の議論では、これまで書いた内容以外にも、
・たばこ農家やたばこ屋などはどうするのか?
・既得権益との戦いはどうするのか?
・時限立法でとにかくトライしてみる!
・値段の上げ方に配慮が必要
・たばこの前にやることがあるんじゃないか?
・政治家や役人は信用ならない!
など、様々な議論も行われました。
「たばこ1箱1000円」が今後どうなるのか?実現されるのかどうかわかりませんが、このご縁を機会にこれからもウォッチしていきたいと思います。