【レポート】NPOと行政の協働環境を拓く!ワークショップin愛知 [2008年11月14日(Fri)]
昨日、愛知県名古屋市で、ボランタリーネイバーズさん主催により、
NPOと行政の協働環境を拓く!ワークショップin愛知 が開催されました。 このワークショップには、29名(荻上カウントで)の方にご参加いただきました。 みなさん、どうもありがとうございました! それでは、このワークショップのレポートをお送りします。 【レポート】 NPOと行政の協働環境を拓く!ワークショップin愛知 ■講義「協働のしやすさとは?協働環境調査で見えてきたこと」 川北秀人さん(IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]) ○日本の現状 ・2020年までの潜在成長率は1.57%。岡山県の成長率は2.33%(上から4番目)(国の調査による発表) ・行政の権限を委譲、配分するという思考では限界がある。 ・地域の未来を考えると、地域の総力を集めて全力で取り組む必要がある。 ・できないフリしない、あきらめない、他力本願にならない、甘えない、この4つが必要。 ○協働とは? ・「共通の目標」のために、「責任と役割を共有・分担」し、「ともに汗をかき」、「成果を共有」すること。 ・責任はやらされる側=市民にあり、権限はやらせる側=行政にある、では協働ではない。 ・協働の目的は「自治の回復」=まち・むらの課題をまち・むらの力で解決するためである。 ・例えるなら、「レストランで行政が決めたメニューを食べる」のは下請け、行政的協働。 ・例えるなら、「レストランのメニュー決めも含めて経営を一緒に行う」のが本当の協働。 ・協働には、市民と行政双方の「当事者性」と「専門性」の両方が必要。 ○指定管理者制度の問題 ・指定管理者制度の本来の目的は、「多様化するニーズ」に「効率的に対応する」ため、「民間の能力を活かし」て、「サービス向上」を図る。 ・現実は、多くのところが「コスト削減第一主義」の運用をされている。 ・狩猟型=搾取の行政から農耕型=地域を耕すの行政になってほしい。 ・3年後、5年後にどんな地域でありたいか?をもとに制度設計や運用を考えて欲しい。 ○行政の誤解 ・行政改革と財政改革は異なる。 ・コスト削減の手段として協働を利用(NPOを安い下請け先として利用)するのは根本的に間違い。 ・行政サービスの「質」と「スピード」を改善すれば、その成果として「コスト削減」が実現できる。 ・まずは自分たち自身で改善の努力をすること。 ・その上で、自分たちだけでは難しい場合には、パートナーとしてNPOを選んでもらいたい。 ○NPOの誤解 ・活動資金の財源として行政に期待してはいけない。 ○協働を推進するために行政がすべきこと ・指針や条例をつくるだけでは協働は推進できない。 ・各部署単位の協働推進計画を策定する。(佐賀県の例:県の全ての事業を市場化テストする) ・属人的な協働ではなく、仕組みで協働を進めること。 ○協働環境調査について ・2004年、2005年、2007年の3回実施。 ・第3回目の2007年は、全国の都道府県、政令指定市、県庁所在地、中核市、東京都の特別区など、計252自治体を対象に調査。 ・協働環境とは、「条例や指針」、「策定プロセス」、「人材育成」、「推進体制」、「提案制度」、「情報公開」がどう整っているか? ・3回を比較すると、制度の制定は進んできたが、制度の活用、プロセスへの参加はまだまだ。 ・地域が小さくなればなるほど、選考のフィードバックが適切に行われるかどうかが非常に大事。 ■事例発表「ウェブ(ポータル)を活用した協働に関わる情報発信の仕組み」 ・「あいちNPO交流プラザポータルサイト構築について」三島知斗世さん(ボランタリーネイバーズ) ・「とよた市民活動情報サイトのご紹介」河合めぐみさん(とよた市民活動センター) ・「CANPANのご紹介」荻上 健太郎(日本財団CANPAN運営事務局ポータルプロジェクト担当) ○CANPAN紹介のレジュメ ■ワーク「協働を育てるために・・・知りたいこと/伝えるべきこと」 ○ワークの内容 ・個人ワーク:「協働環境調査シート」に自分の自治体について記入して採点する。 ・個人ワーク:A3用紙に、「行政の課題と対策」「市民の課題と対策」を書き出してみる。 ・グループワーク:「行政が急いで実現すべき課題」「市民が急いで実現すべき課題」「質問」をまとめる。 ○行政が急いですべきこと ・行政から市民団体への委託の出し方を工夫する。 ・職員の意識改革を進める。 ・市民活動団体と行政の意見交換の場をつくる。 ・協働とはなにか?をもっと職員が理解する ・協働促進を市長選のマニフェストに入れる。 ・協働の担当者を置く。 ・知っている団体を増やすため、知らない団体の現場を訪問する。 ・部署横断型の取り組み。 ・行政側と市民側の両方を知っている中間支援組織と連携する。 ○市民がすべきこと ・責任をもってやることで信頼を勝ち取る。 ・活動を継続する力。 ・無関心な市民も多いので、もっと行政の事業に参加する。 ・制度や行政についてもっと知る努力。 ・行政をちゃんと評価する。 ・自主的、自発的に運動を起こす。 ・専門性を高める、信頼されるだけの力を身につける。 ・市社協と連携する。 ・ネットワークを組んで情報共有、レベルアップして、存在感を高める。 ・大学生向けの協働講座。 ・出前講座の制度を活用する。 ・ネットワークを組んで集合的に意見交換する。 ○川北さんからコメント ・他の地域でのワークショップとの比較で名古屋での特徴は、行政側より市民側の急いで取り組むべき課題の方が多く、かつ具体的にあがっていること。 ・愛知県やこのエリアでは、協働に関する制度は制定がある程度進んでいることの影響ではないか。 ・議員向けの勉強会は行政の責任ではなく市民の責任であり権利である。 以上 |