【レポート】協働推進ワークショップin岐阜「地域からはじめる、協働時代。」〜市民・NPO・自治体の「顔が見える関係」づくり〜(2009年1月28日開催) [2009年01月29日(Thu)]
昨日、岐阜県岐阜市で、地域の未来・志援センターさん、参画プラネットさん、岐阜市NPO・ボランティア協働推進センターさんの主催により、
協働推進ワークショップin岐阜 「地域からはじめる、協働時代。」〜市民・NPO・自治体の「顔が見える関係」づくり〜 が開催されました。 このワークショップには、61名(荻上カウントで)の方にご参加いただきました。 みなさま、どうもありがとうございました! 【一言】 実は、今回のワークショップは、開催前の打ち合わせで一悶着がありました。 詳しくは書きませんが、NPOと行政の関係性が問われるとても大事なやり取りでした。 そして、個人的には、「本気」ってことの意味を改めて考えさせられました。 「本気」だからこそ、 「ゆずれない一線は守る」 「相手の非ははっきりともの申す」 「ときには怒りをはっきりと示す」 うーん、でも、これができるっとすごいなぁ。 【レポート】 協働推進ワークショップin岐阜 「地域からはじめる、協働時代。」〜市民・NPO・自治体の「顔が見える関係」づくり〜 ■事例報告「地域を拓く協働とは?」 柴田甫彦さん(長良川文化フォーラム) ○協働について思うこと ・協働という言葉に対する疑問を感じる。 ・行政は自分たちがゼニを出しているというようにふるまうが、そのゼニの源は国民の税金であり、行政に預けているだけ。 ・行政は行政のしきたりや文化でしばろうとする。 ・以前は市民は行政に文句を言っていたが、協働ということばが広がってからは、行政に協力することが多くなった。 ・協働は、行政と市民がともに協力して働くこと、と考えているが、どうも、行政は汗をかかない印象が強い。 ○長良川文化フォーラムについて ・岐阜市の3部署と関市の1部署が関わっている。 ・民にできないことは官にお願いすると話が進むことも多い。 ・例えば、他市と話をつけなければいけないようなことは、行政同市で話をしてもらうと早い。 ・行政には行政のよさ、強みがある。それをもっと意識してほしい。 ・民と関わるときには、行政内部の規則ではなく、別の規則で関わるようにすればもっとよいのに。 ・できない理由を考えるのではなく、できる方法を考えてもらいたい。 ■事例報告「地域を拓く協働とは?」 工藤茂さん(岐阜市市民参画政策課) ・長良川の文化をテーマに事業を検討したが、実は、自分たちが長良川のことを全然知らないことが分かった。 ・長良川の源流は3つある。地理上、宗教上、観光上の3つの源流。 ・段取り、手続きなど行政の得意な部分は行政が担うなどの役割分担。 ・関わっている行政職員は行政の看板だけでなく、一会員としての看板ももっていることで、縦割りを超えた関係性もつくれている。 ■講義「協働から生まれるものとは?協働環境調査で見えてきたこと」 川北秀人さん(IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]) ○今回のワークショップの開催経緯 ・このワークショップは完全に民発で行われたもの。 ・その民発の企画に官が相乗りするという経緯は全国的にも非常に珍しい。 ・このワークショップそのものも官民協働のひとつ。 ○協働の事例紹介 ・愛媛のフィルム・コミッションにおける、えひめフイルム・コミッション(行政)とアジア・フイルム・ネットワーク(NPO)。 ・新潟県長岡市での、学校給食の残さの回収プロジェクト。 ・今自治体がやっていることをやってくれるところに安く下請けに出すことが協働ではない。 ・協働の本質は、お互いに異なる力(強み)を持つ者がその異なる力(強み)を持ち寄ること。 ・異なる力を持ち寄り、持ち寄らなければ出来ないことを実現するのが協働。 ・協働が強制労働の略にならないように。 ○日本の現状 ・2020年までの潜在成長率は1.57%。岐阜県の成長率は1.29%(全国で22番目))(国の調査による発表) ・岐阜市の人口予測は、41万人(2005年)→33万人(2035年)へ減少し、65歳以上年齢の比率は21%(2005年)→33%(2035年)へ増加。(国立社会保障・人口問題研究所の予測から) ・昭和と平成では時代環境が大きく異なる。平成は、少子+高齢+低成長がトリプルセット。 ・行政の権限を委譲、配分するという思考では限界がある。 ・地域の未来を考えると、地域の総力を集めて全力で取り組む必要がある。 ・東国原宮崎県知事も県内向けには「県民総力戦」と表現している。 ・できないフリしない、あきらめない、他力本願にならない、甘えない、この4つが必要。 ○協働とは? ・協働のcollaborationはco=共に、labor=働くという意味。 ・「共通の目標(目的ではなく目標!)」のために、「責任と役割を共有・分担」し、「ともに汗をかき」、「成果を共有」すること。 ・責任はやらされる側=市民にあり、権限はやらせる側=行政にある、では協働ではない。 ・協働の目的は「自治の回復」=まち・むらの課題をまち・むらの力で解決するためである。 ・例えるなら、「レストランで行政が決めたメニューを食べる」のは下請け、行政的協働。 ・例えるなら、「レストランのメニュー決めも含めて経営を一緒に行う」のが本当の協働。 ・協働には、市民と行政双方の「当事者性」と「専門性」の両方が必要。 ・八王子市は、行政職員の研修も市民との協働で実施することを義務づけている。それは、職員が研修するのは、市民により良い行政サービスを提供するためだから。 ○行政の誤解 ・行政改革と財政改革は異なる。 ・コスト削減の手段として協働を利用(NPOを安い下請け先として利用)するのは根本的に間違い。 ・行政サービスの「質」と「スピード」を改善すれば、その成果として「コスト削減」が実現できる。 ・まずは自分たち自身で改善の努力をすること。 ・その上で、自分たちだけでは難しい場合には、パートナーとしてNPOを選んでもらいたい。 ・責任をゆだねるなら、予算と権限も委ねるのが当然である。企業より安い下請け先、ボランティアだからタダで当然という感覚は×。 ・誤った協働は、地域の時間と力を奪ってしまう。かつ将来に向けて育つチャンスも奪ってしまう。 ○指定管理者制度の問題 ・指定管理者制度の本来の目的は、「多様化するニーズ」に「効率的に対応する」ため、「民間の能力を活かし」て、「サービス向上」を図る。 ・現実は、多くのところが「コスト削減第一主義」の運用をされている。 ・OBや業界団体のための施設、都合の良い運営になっていないか? ・狩猟型=搾取の行政から農耕型=地域を耕す行政になってほしい。 ・3年後、5年後にどんな地域でありたいか?をもとに制度設計や運用を考えて欲しい。 ○NPOの誤解 ・活動資金の財源として行政に期待してはいけない。 ・今の日本の状況では、10年後も行政に今の規模で予算を確保することはほぼ不可能。 ・自発的に収入をかせぐことをもっと考えなければいけない。 ○協働は特定の部署や事業でしかできないことなのか? ・佐賀県の協働市場化テストや杉並区の民間サービス導入の事例など。 ・協働できない事業は本当にないのか? ○行政がすべきこと ・行政は、全体の方針だけでなく、各課ごとの実施計画を立てることで取り組まなければいけない状況にする。 ・行政とNPOが相互によく分からないという状態を打破するには、行政とNPOが出会う場をつくることも必要。偶然の出会いではなく必然の出会いの機会を増やす。 ・事例:たねからみのり(静岡県浜松市)と協働市場(千葉県)、協働化テスト(佐賀県)。 ○協働環境調査について ・2004年、2005年、2007年の3回実施。 ・第3回目の2007年は、全国の都道府県、政令指定市、県庁所在地、中核市、東京都の特別区など、計252自治体を対象に調査。 ・協働環境とは、「条例や指針」、「策定プロセス」、「人材育成」、「推進体制」、「提案制度」、「情報公開」がどう整っているか?それを7段階で点数化。 ・3回を比較すると、制度の制定は進んできたが、制度の活用、プロセスへの参加はまだまだ。 ・地域が小さくなればなるほど、選考のフィードバックが適切に行われるかどうかが非常に大事。 ■ワーク「協働を進めるためのQ&Aづくり」 ○ワークの内容 ・個人ワーク:A3用紙に、協働を始める、進める上で、左側半分には分からないこと、知りたいことを、右側半分には足りないこと、補いたいことを書き出す。 ・グループワーク:個人ワークで書き出した内容を共有し、質問を10問まとめ、その回答を作成する。 ・共有ワーク:各グループのQ&Aをみんなで共有する。 ○川北さんからコメント ・NPO側の協働意識が低いのは、これまでの「おまかせ民主主義」のツケ。すぐには直らないが、徹底して事実と事例を伝えていくことが対策になる。 ・市民に届く紹介をするには、市報なども効果的。 ・また、新聞やマスメディアでの露出には、行政の声がけが効果あるので、このようなところでも協力のしようがある。 ・行政のOB・OGがクレーマー市民になってしまう場合が多い。こうならないように。 ・地域を耕すために、行政も市民も協働する。市民をお客様扱いしすぎるのも良くない。 ・メンバーが少ない、固定することは、必ずしも悪いことではない。 ■事例報告「協働を進める上での情報公開の重要性について」 荻上健太郎(日本財団CANPAN運営事務局ポータルプロジェクト担当) ■開催要項 開催要項はこちら 以上 |