先週の金曜、土曜に、北海道札幌市で、
北海道NPOサポートセンターさん主催により、
NPO推進北海道会議&北海道NPOサポートセンターNPO法人化、 NPO越智基金助成開始10周年記念のつどいが開催されました。
【一言】今回のイベントは北海道NPOサポートセンターさんを中心とする札幌の中間支援組織のみなさんの法人化10周年を記念するつどいでした。
初日のパネルディスカッションでは、「世代交代」がテーマとして取り上げられました。
もともと、二日間のつどいの初日は60歳前後の世代の人がこの10年を振り返ることを中心テーマに、二日目は40歳前後の人がこれからの10年を考えることを中心テーマにと設定されてました。
ちなみに、この世代交代ですが、「60歳前後の世代の人はどうせ引退するタイプではない。世代交代というよりは世代継承と外だしを考えよう」ということで盛り上がりました。
私も、二日目で分科会とパネルディスカッションで出番をいただきました。
それでは、私なりにこのつどいのレポートをお送りします。
【レポート(一日目)】■開会挨拶田口晃さん(
NPO推進北海道会議 代表理事)
・ゲーテの詩「ただ前進あるのみ」。これはただの前進ではなく成熟するということ。
・NPOもただ前進するのではなく、これからどう成熟するかを考えたい。
■事例報告「全国第1号」森田武さん(
ふらの演劇工房 理事長)
・ふらの演劇工房はNPO法人第一号(認証番号第1番)。
・認証第1号は最初からねらっていた。
・1997年12月1日にNPO法人の申請書を提出し、1998年2月23日に全国初のNPO法人として認証された。
・情報公開は常に意識している。以前に経理での不正事件が起きてしまったときもすぐに公表した。
・NPOも、従来の奉仕性だけではなく、自己資金による運営(自立経営)の継続が重要課題。
■シンポジウム「NPO法人誕生から10年を振り返る」コーディネーター:山岡義典さん(
日本NPOセンター 代表理事)
パネリスト:加藤哲夫さん(
せんだい・みやぎNPOセンター 代表理事)
杉岡直人さん(
北海道NPOバンク 理事長)
杉山さかゑさん(
北海道NPOサポートセンター 理事長)
田口晃さん(
NPO推進北海道会議 代表理事)
森田裕子さん(
旭川NPOサポートセンター 事務局長)
○この10年を振り返る(山岡さんから)
・公益の概念がこの10年で大きく変わった。
・国家公益が民間公益へと代わり、そして市民公益と民間公益は併存へ。
・NPO法人は10年間で36,000団体へ増加。(北海道は認証が1,468件、解散79件。)
・年間の認証数は2006年度以降は急速に減少している。一方で解散数は増加している。
・常勤有給スタッフが0人の団体が半数以上。
・総収入額が1,000万円を超える団体は半数以下。
・新公益法人制度とNPO法の比較。
○この10年を振り返る(加藤さんから)
・15年前、1993年頃、自分は市民運動家だった。
・15年前、1993年頃、宮城県は知事と市長がダブるで汚職事件。
・15年前、1993年頃、薬害エイズ問題の初期段階、多くの人が死んでいく中、国、法などと直面するようになった。
・15年前、1993年頃、国、法、システムなどの犠牲になった人たちの後始末をしている自分に気がついた。
・個別課題への活動ではなく、法や制度を変える活動へシフトしていった。
・社会の変化として、分野別で支援の仕事をしている組織が増えた。また、官設の組織であっても民的な公の心をもっている職員がすごく増えた。
・社会の変化として、市民の側にも機会はすごく増えている。ただし、この機会を活かせているかどうかは別として。
・もともと安心型社会から頑張らないと手に入らない信頼型社会へと変化している。
○この10年を振り返る(杉岡さんから)
・構造的にはこの10年であまり変化していない。
・自己資金の調達を中心とする組織づくりはあまり上達していない。
・全ての基本は「自分たちでなんとかしなければいけない」ということ。
・世代交代ができずに消滅してしてしまう団体が多い。
・マネジメントの問題もあるが、資金調達に大きな問題がある。そもそも人を確保できるだけの資金がない。
・北海道NPOバンクはこの資金の問題を解決するための社会システムの一つ。
○この10年を振り返る(杉山さんから)
・北海道グリーンファンドも10年になる。
・市民風車は11基にまで増えた。
・独りよがりの運動ではだめ。
・組織の作り方が一番難しい。いかに市民が主体性を感じながら関われる組織にするか。
○この10年を振り返る(田口さんから)
・NPO推進北海道会議と北海道NPOサポートセンターの役割分担。
・経済社会と政治社会に対して市民社会も一定程度は必要。
・行政の縦割りを批判しながら、実はNPOも縦割りになっているのではないかという問題意識。
○この10年を振り返る(森田さんから)
・旭川NPOサポートセンターは1999年に準備会を発足。
・10年前は個人的に活動していた。
・民設民営のセンターで、設立当初の年間予算は7万円だった。
・NPO法以降、ヒエラルキー型の活動からネットワーク型の活動へと変化した。
・初期の頃は行政の人に会いに行ってもお茶すら出してもらえなかった。
・行政とNPOの関係もこの10年で変わってきた。(良い意味で)
・ただし、行政からNPOへの委託金については桁が一桁小さいのではという問題意識がある。
・旭川市職員給与の100円以下?の端数を寄付してもらう端数クラブという制度で年間数十万円の寄付が集まる。
○この10年を振り返る(小林さんから)
・北海道内には28地域でNPO支援センターがある。
・官設型もあるが、本日来場されてる函館や釧路のように民設のセンターも。
○北海道の印象(加藤さんから)
・環境系の団体は力強いのが印象的。
・活動を事業のレベルにまで発展させている団体が多いのが特徴。
・この背景には、北海道は不便だからという事情があるのではないか。
・不便なので各地でまちづくりセンター的に活動を展開せざるを得なくなるのかもしれない。
○質疑応答
Q.どういう風に世代交代していくのか?といいつつ、これまでの第一世代の人たちは生涯最前線世代だから、世代交代というよりはスピンオフかも。
A.パネリストのみなさんから
・NPOは誰でも自由につくれるものだから、スピンオフは簡単なはず。
・NPOはN(なんと)P(パワフルな)O(おばさん)の略称。
・これからの事業型NPOは、代表理事は専従でなければいけないのではないかと考えている。
・所得と待遇の問題が大きい。ボランティア型から事業型へ変えていくことも必要。
Q.業者との契約時に主婦である理事長の印ではだめと言われた。
A.パネリストのみなさんから
・契約時に個人の保証印を取るのは日本社会の慣例だが、断固として反対するのが正しい姿。
○ディスカッション(人材)
・専従職員の人材育成と理事の人材育成は分けて考えるべきである。
・理事は、ボランティアベースで地域を良くする政策レベルへの関わりを。
・専従職員は、団体運営事務能力の向上が必要。
○問題提起(加藤さんから)
・情報開示をきちんとすることを運動として取り組んでいきたい。
・NPO法人の事業報告書はあまりにもずさんな内容。県が出している事例がそもそも間違いのもと。
・現状のような事業報告書では、支援をしたいと思っている企業に見せたら笑いものになる。
・社会福祉法人は福祉の分野では大きな存在。このような法人格を超えたサードセクターのことを議論する文化が足りない。
・英国にはACEVOという非営利組織の理事が個人加盟で参加する組織がある。
・福祉は課題が多くかつ今後はますます大きくなっていくが、社会福祉法人の多くはNPOという意識がなく、NPO側もほとんど意識がない。
○コメント(森田さんから)
・旭川市のNPO法人数は71法人。
・旭川市も2010年度に官設民営センターが設立され指定管理者制度で出される。
・経産省の事業で食と農に関するコミュニティビジネス(コミュニティレストラン)を展開中。
○コメント(田口さんから)
・町内会とNPOの関係性も今後の課題。
○コメント(杉山さんから)
・市民参加型協同組合である生協なども含め、点から面への広がっていくことが必要。
・自画自賛だが、北海道内でのNPO法人の増加には北海道NPOサポートセンターとしてい一定の役割が果たせたと思う。
○コメント(杉岡さん)
・協同組合主義への回帰。
・NPO市民としての生活の定着が、文化の醸成には必要。
・協同組合主義とは、一人一人は出資者であり、利用者であり、事業者であり、サービス提供者であり、評価者である、という複数の役割を果たす。
○コメント(加藤さん)
・北海道のように機能を分けて外出しするという手法は大いに学びたい。
・小さなまちになるほど、自治体にとっての協働相手はNPO法人ではなく地縁型組織となる。
・支援センターが自分たちの培ってきたノウハウをこのような地縁型組織とも連携していくことも必要。
○コメント(山岡さん)
・志は成功し過ぎても劣化するし、貧乏過ぎても劣化する。
・NPO法人だけがNPO(市民セクター)ではない。社会福祉法人、協同組合、地縁組織などなども含めて、市民セクターのことを考えていくことが必要。
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