【レポート】CSR学習会「地域の企業が本気でCSRしなきゃいけない10の理由」in和歌山 [2009年03月14日(Sat)]
昨日、和歌山県和歌山市で、わかやまNPOセンターさん主催により、
CSR学習会「地域の企業が本気でCSRしなきゃいけない10の理由」in和歌山 が開催されました。 この学習会には、23名(荻上カウントで)の方にご参加いただきました。 みなさま、どうもありがとうございました! 【一言】 今回の和歌山でのCSR学習会で、2008年度にIIHOEさんと一緒に推進してきた「地域・テーマ公益ポータル推進プロジェクト」でのワークショップはすべて終了となりました。 全国18の中間支援組織のみなさんとともに、「情報開示・NPOと自治体の協働、CSR」という3つのテーマで41回におよぶワークショップを開催しました。 あらためて、このプロジェクトにご協力をいただきました、IIHOEのみんさん、そして全国各地の中間支援組織のみなさんに厚く感謝申し上げます。 それでは、最終回となる和歌山の勉強会のレポートをお送りします。 【レポート】 ■講義「地域の会社が本気でCSRしなきゃいけない10の理由」 川北秀人さん(IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]) ![]() ○IIHOEとは? ・市民団体の運営のお手伝いをしている。特定の地域ではなく、各地を飛び回っている(流しの支援センター)。 ・年間の予算規模は約5500万円。そのうちの6割は市民団体の運営サポートから。2割は行政の協働、2割は企業のCSRなど。 ○CSRレポートについて ・日本の企業でCSRレポートを出しているのは1000社くらい。 ・CSRレポートを読むときには、まずは目次に目を通してほしい。その企業がレポートで何を伝えようとしているのかが分かる。 ・パンフとレポートの違いは何か?パンフは自分たちに都合が良いことだけ書けばよいが、レポートは不都合なことも書く必要がある。 ・CSRレポートの末尾には第三者意見がある場合がある。 ・監査と第三者意見の違いは何か?監査は報告内容の正否を問うが、第三者意見は取り組みそのものについて問うもの。 ・前年度の第三者意見に対して、翌年度にどう取り組めたのかの回答も求めている。 ○CSRとは? ・CSRは社会責任全般のことで社会貢献活動ではない。 ・CSR活動は×(頭痛が痛いというの一緒)、CSRの取り組みが○。 ・CSRは企業の社会における全ての責任のこと。社会的(っぽい)責任ではない。 ・大きな会社には大きな期待と責任が、小さな会社にも小さな期待と責任が。すべての会社に責任があるということであり、できるできないという話ではない。 ・CSRは、地域の企業が地域で生き残るために必要な、すべてのこと。 ・船場吉兆や赤福も、法律違反が問題だったのではなく、消費者の信頼を裏切ったことが社会問題になった。 ・なぜ障害者を雇用するのか?社会貢献のためではなく、それが自社の利益につながり、生き残ることに必要だと判断したため。 ・リーバイスは途上国で児童労働の問題が起きたときに、法律を超えた対応(教育機会の提供)をした。 ・一方でナイキは、児童労働しない宣言をしたが、翌年に監査を行ったらまだそのままだったので、不買運動が広がった。 ・ユニクロの障害者雇用率は7.3%。これは法律を超えた取り組みだが、あくまでも本業の売り上げを考えてのこと。 ○法律を超えた社会責任を果たす ・法律の変化よりも社会の変化の方が早い。 ・安全と安心は異なる。 ・安全であることを主張しても安心に結びつくとは限らない。安心はお互いの関係性に基づくもの。 ・原発で事故があった後に、企業側が安全です安全ですと言っても、地域住民は安心と重うとは限らない。 ・白い恋人も事件後に品質管理を徹底しているからこそ消費者の信頼を回復してきた。 ・対話を通じて責任範囲を確認し、期待に応えていく。 ・お互いの関係性を築くためにも、不都合なことも含めて日頃から情報開示していくことが必要。 ・社会変化の激しい時代だからこそ、まずはしっかりと守りのCSR(華やかさがないが大事なこと)に取り組む。 ○CSRからSRへ(ISO26000) ・ISO26000が2010年に発効予定。 ・CSRからSR(すべての組織の社会責任)へ。 ・産業界、NPO、消費者、労働者の代表が策定に参加している。 ・自主目標設定、自主取り組み、自主開示して社会に評価、という自主性を基本とするガイドライン。 ・この自主性という考え方は、日本の産業界が提案したこと。だからこそ、自信を持って、責任を持って向き合ってもらいたい。 ・NPO自身も社会責任を果たしているのか?が問われる時代がやってくる。 ○本気でCSRしなきゃいけない10の理由 ・守りのCSR(それをしないと会社の持続が危うくなる)と攻めのCSR(それをすることで会社の強みを高めることができる)。 ・CSRで大事なことの一つが関係者の関係性を良い状態で維持すること。そして、この関係性は中小企業ほどCSRは取り組みやすい。 ・自治体も本気でSRに取り組まないと生き残れない。(暮らしやすい、働きやすい、育ちやすいまちとそうでないまちの差が大きくなる) ・コンプライアンスは法令遵守だけでなく、法令と期待にきちんと応えること。 ○どう始めるか?どう進めるか? ・CSRは小さな会社ほど関係者が少ないので取り組みを始めやすい。 ・まずは本業の基盤の強化、持続性向上につながるところに目を向ける。 ・日本でもっとも進んだ取り組みをしているのはデンソー。デンソーは現場で小集団活動がきちんと機能しているから。 ・CSRは伊達や酔狂で取り組むものではなく、本業を守り抜くために取り組むもの。 ・千葉県の大里綜合管理の取り組みや山口県のミチガミ医院の取り組み。 ・朝日酒造(久保田)の取り組みも社員自らが始めみんなで取り組んでいる。 ・ただし、これは自然保護が目的ではなく、久保田というブランドを存続していくために自然保護が必要だったから。 ・運送会社でのエコ安全ドライブの取り組み。エコドライブに取り組んだら、結果的に事故が半分に減った。そして事故が減ったので保険料が大幅に下がった。 ・本業をいかに生きながらえさせるかが柱になり、そのために従業員が本気で取り組める。 ・同業他社と一緒に取り組むこと、あるいは地域の他者と一緒に取り組むことで、結果的にお互いの利益や存続につながることもある。 ・NPOは課題解決の専門家。企業は地域のNPOのユーザーになってもらいたい。 ■話題提供「地域の企業のCSR推進を応援するウェブサイトのご紹介」 荻上健太郎(日本財団CANPAN運営事務局) ■ワークショップ(身の丈からCSRを実践するために世界一簡単なSRレポートをつくってみよう!) ![]() ○個人ワーク ・A3用紙を二つ折りし、1枚目の上半分「社名(団体名)、企業理念・行動原則、事業概要、事業の経緯」、2枚目の下半分に「安全に関する、これまでの取り組み、今後の取り組み」、裏の上半分に「人権・健康に関する、これまでの取り組み、今後の取り組み」、裏の下半分に「環境に関する、これまでの取り組み、今後の取り組み」を書いてみる。 ○グループワーク ・他社・他者のつくったレポートを読んで、第三者意見を書いてみよう。 ・付箋(企業の方:緑、市民団体の方:ピンク、行政の方:黄色)に「助言・提案」「気付きを与える質問」を書く。 ・もらった付箋をもとに意見交換(=ステークホルダーダイアローグ)。 ○川北さんからコメント ・せっかくなので課題も記載するようにした方がよい。 ・出来てることも出来てないことも書くことが次につながる。 ・紙、ゴミ、電気は環境負荷でカウント取れる基本項目。 ・小集団活動にすることで従業員一人一人が自分のこととして認識できるようになる。 ・木材資源の豊かな和歌山では県内材の活用をもっと考えてほしい。コスト的には厳しいのは分かっているが、CO2排出量的には有利。これを顧客にもアピールしていく。 ・屋上緑化や壁面緑化では実りがありかつ国内植物(サツマイモやゴーヤなど)で。 ・時短勤務などのワークライフバランスに本気で取り組むなら、まずは現場に意志決定の権限をおろすこと。 ・月曜日朝や夕方以降の会議を減らすことがワークライフバランスに効果を発揮する。 ■開催要項 開催要項はこちら(PDFファイル) 以上 |