【レポート】CANPANフォーラム「スポーツとチャリティ〜国内外の事例を学び、これからの取り組みを考える〜」(2018年10月9日開催) [2018年10月10日(Wed)]
CANPANフォーラム「スポーツとチャリティ〜国内外の事例を学び、これからの取り組みを考える〜」に参加しました。
殴り書きですが、備忘録的なレポートとして。 【レポート】 ◆レクチャー1 「チャリティスポーツイベントの研究動向とイベントマネージャーへの調査結果からみる価値の共創について」(醍醐笑部さん(早稲田大学スポーツ科学部助教)) ○イントロ ・娘さんのドネーションの機会。毎月1ドルコインをちょうだいと言ってくる。その理由はドネーションのため。 ・回数を重ねるにつれ、娘さんは参加する(寄付する)機会を自身で取捨選択するようになってきた。 ○バックグラウンド ・チャリティスポーツイベントに関する研究に、オーストラリア在住時の2016年から開始する。 ・チャリティスポーツイベントの参加者はコミュニティ感覚を育むことができると示唆。 ・チャリティスポーツイベントの参加動機として、レクリエーションの参加動機と寄付行為の参加動機の相互作用がある。加えて、潜在的成果として地域社会への意識向上があるという示唆も。 ・東日本大震災後、多くのスポーツ関連団体が復興関連事業を行ったが、そのことを認識している人は極めて少ないという調査結果。 ・チャリティスポーツを捉える全体像の構築が必要(日本だけでなく、欧米もまだ十分ではない)。 ・スポーツ組織のガバナンス、チャリティに関わる団体の信頼性の低さ。 ・サービスドミナントロジック(マーケティングのロジック)を活用したチャリティスポーツの研究。 ・従前はグッズドミナントロジック(主に有形のモノやサービスを交換する関係性)→サービスドミナントロジック(使用する経験することで価値が生まれる。さらに相互関連文脈に依存する共創価値) ○日本におけるチャリティスポーツイベントの現状と課題 ・論文:http://www.ssf.or.jp/Portals/0/resources/encourage/grant/pdf/2017/2017rs_27.pdf ・チャリティスポーツイベントの類型。@参加型or観戦型、A社会的課題型orスポーツ関連課題型、B独立イベント型or大規模イベントの一部門型。 ・チャリティスポーツイベントによる貢献の類型。@チャリティコーズへの貢献、Aイベントマネジメントへの貢献、Bスポーツとチャリティをつなぐ機会への貢献、C日本のチャリティ文化への貢献、D日本のスポーツ文化への貢献。 ・今後、スポーツイベント運営事業者の必要性と存在感は大きくなる。特に、参加者1000人以上の規模になってくると、リスクマネジメント力が大きく問われる。 ・今後の課題。@共同消費、Aガバナンス、B・・・(←メモできず) ◆レクチャー2 「プロスポーツにおけるチャリティの新たな可能性」(岡田真理さん(NPO法人ベースボール・レジェンド・ファウンデーション代表)) ○イントロ ・現役プロアスリートのマネージャーを4年間勤める。 ・担当アスリートは、自身の環境問題への関心から、米国の政治家やハリウッド俳優とのご縁が生まれた。 ・担当アスリートの引退後、フリーランスのスポーツライターとして活動を開始。2014年にNPO法人ベースボール・レジェンド・ファウンデーションを設立。 ・2017年にはプロ野球静岡県人会を立ち上げ、准認定ファンドレイザーの資格も取得。 ○プロスポーツ×チャリティの組み合わせの特徴 ・プロスポーツには、社会貢献意識の有無に関わらず、ファンや同じ競技をする人を巻き込む力がある。 ・選手や競技のファンであることが支えとなり、支援に継続性が生まれやすい。 ・参加して楽しい支援の体験ができる。 ・プロ選手はチャリティーを通じて競技関係者以外と人とも接点ができ、社会性を身に付けられる。。 ・社会性を身につけることがスポーツ以外の専門性の取得にもつながり、セカンドキャリア形成にも効果が期待できる。 ・ボストン・レッドソックスの事例。2013年のボストンマラソン爆弾テロ事件の際に、わずか1ヶ月で2億円以上の寄付が集まった。 ○ベースボール・レジェンド・ファウンデーションの取り組み ・チャリティの活動をしたいが、どうしたらよいか分からない、なにからはじめたらよいか分からないという選手が多い。 ・メニューの組み方としては、@寄付活動(具体的な活動への寄付)、A啓発活動(情報発信や露出への協力)の2種類がある。 ○プロ選手によるチャリティ活動の課題 ・成績連動型は安定性や継続性が保証できない。また、選手への心理的(不振時の罪悪感)・経済的負担も大きい(年俸5千万円レベルの選手でもイメージほどは経済的余裕がない)。 ・スポンサーシップを組み合わせる方法の模索。 ・この方法のメリットは、@選手側(安定性、社会性の向上)、Aスポンサー企業側(スポンサーシップ自体がCSRになり、そのCSRを単体で積極的にアピールできる) ・スポンサーシップの成功事例@。NTUCインカム(シンガポール)×リバプールFCのオレンジエイドプログラムのプロモーション。 ・スポンサーシップの成功事例A。ENEOS×ボストン・レッドソックスのENEOSブランドプロモーション。地域貢献活動(学校の美化)等を通じてブランドリヤリティが向上した。 ・参考図書「Good is the New Cool」 ・ミレニアル世代は社会貢献志向が高く、フィランソロピー性がマーケティング上の重要課題。 ・Goodだけでは十分ではなく、Coolさも必要。 ・スポーツはこのCoolさの創出に向いている、力を持っている。 ・参考事例:清水エスパルスの福祉基金。ゴール数×5万円+入場者数×5円+無失点試合×6万円=2,726,515円を積み立て。 ・最初はゴール数と入場者数だけだったが、その後、デイフェンスの選手から自分たちも頑張る目標がほしいと無失点試合が追加された。 ・10年間で約2600万円を積み立てた。この仕組は、選手はもちろんのこと、ファンもスタジアムに来るだけで社会貢献できる優れた仕組み。 ◆PRタイム ・HEROsプロジェクトの紹介(長谷川隆治さん(日本財団HEROsチーム)) ・寄付月間〜Giving December〜2018(山田泰久さん(日本財団CANPANプロジェクト常務理事)) ◆質疑応答 ・動機やきっかけとしては、周りの環境の影響(先輩選手など)が大きい。 ・選手からの相談からスタート(はじめは提案しない)。 ・チャリティランナーは一般的な日本人像(陰徳的)とは異なり、出したがりが多い。 ・チャリティの行き着く先(効果、メリット)を明示していくことが必要。 ・例えば、新人研修にスポーツチャリティイベントを活用し、チームビルディングや協調性の育成につなげている。 ・プロスポーツクラブのチャリティ予算はほとんどない。基本的にはファンドレイジングする。 ・「スポーツは結果が明確、うそがつけない」これが企業との親和性の一因。 ・東京2020でビッグマネーや話題性が動く中、従来からある活動がつぶされてしまっているケースがあることには注意が必要。 ・東京2020がきっかけになることは良いが、そこで終わってしまわないようにする意識が大切。 以上 ![]() ![]() ![]() |