【レポート】HP Reinvent World 2019 〜テクノロジーによる革新の体験とビジネスの創造〜(2019年2月18日開催) [2019年02月18日(Mon)]
2019年2月18日(月)に株式会社日本HP主催で開催された「HP Reinvent World 2019 〜テクノロジーによる革新の体験とビジネスの創造〜」に参加しました。
HPのPRイベントであることは踏まえつつも、グローバル企業の視野・思考・志向を知ることができたのは勉強になりました。 メガトレンド→革新→改善というバックキャストは、非営利にも通じるものですし、グローバルなメガトレンドを踏まえた上で、自分たちのポジショニングや向き合う課題を明確にし、強み化することの必要性は、日本の未来を考える上でも多くの示唆がありました。 備忘録的なメモをアップします。 ![]() 【レポート:HP Reinvent World 2019 〜テクノロジーによる革新の体験とビジネスの創造〜(2019年2月18日開催)】 ◆世界のメガトレンドとHPの成長戦略 ●HPの紹介(岡隆史氏(株式会社日本HP代表取締役社長執行役員)) ・HPは創立80周年。 ・HPの2018年の業績は、6.4兆円、4.6千億円、12%成長。 ・全地域、全事業で成長を果たしたが、今後の戦略分野への投資を加速。 ・日本では、国内PC事業は、シェア15%、成長も20%強。 ・キーワードは、世界初イノベーションの連続=Keep Reinventing。 ・オーディオ発振器からスタートし、2018年は、3Dプリンター、レザーデザインまで。 ・HPのイノベーションアプローチは、進化(先進的開発)(〜2年)、革新(応用研究)(〜5年)、メガトレンド(創造的研究)(20年+)のスパン単位で。 ●メガトレンド(岡隆史氏(株式会社日本HP代表取締役社長執行役員)) ・世界の変化の流れ。 ・@都市の巨大化、A人口動態の変化、B超グローバル化、C加速するイノベーション。 ・急速な都市化。 ・2030年の世界人口は86億人(毎年約1億人増加) ・2050年の都市居住率は70%。 ・2030年のメガ都市数(人口1000万人以上)は41都市。そのほとんどは先進国以外で増える。 ・@都市の巨大化。 ・2025年、天津市のGDPはスウェーデンと同レベルに。 ・新市場と新ビジネスが生まれる。 ・そのキーワードは、省スペースと共有(所有よりシェア)。 ・A人口動態の変化。 ・2030年の60歳超人口は14億人(六人に1人)。 ・2030年の55歳超の就労人口は30%。 ・Z世代の世界人口は26億人。 ・2020年のシルバー世代の購買力は15兆ドル。 ・就労者の高齢化とデジタル医療。 ・働く人や場所の変化。ギグ・エコノミー。 ・労働力の確保、オフィスがなくなるなど。 ・B超グローバル化。 ・新興市場でのインターネット起業数は毎年143,000社。 ・2025年までに新興国に本社を置くフォーチュン500企業の割合は46%に。 ・C加速するイノベーション。 ・30年後の携帯電話の性能は、現在の10億倍に。 ・今ある様々な制約が、将来はなくなる。 ・2020年のネット接続デバイス数は204億台に。 ・リアルとデジタルが融合し、より、パーソナライズが進む。 ・メガトレンドは、10年後、20年後に突然表れ、変わるわけではない。 ![]() ●メガトレンドとコンピューティングの将来(九嶋俊一氏(株式会社日本HP専務執行役員パーソナルシステムズ事業統括)) ・メガトレンドを踏まえたコンピューティングのテーマ。 ・都市の巨大化。 ・東京圏は現在、世界一のメガシティ。2030年の時点でも世界一。 ・しかし、東京発の新しいビジネスは少ない。 ・PCは、物理的な商品から、サービスと体験を提供するサービスへ。 ・労働力は、人間の労働者から、労働者のいない世界へ。 ・2025年までに、ホワイトカラーの仕事の1/3はロボットやスマートマシンに置き換わる。 ・クリエイティブな仕事をするのは、コラボレーションが重要。 ・デジタルデバイドの問題が、コラボレーションの部分でより顕在化。 ・セキュリティの攻防が進化。 ・セキュリティ=経営課題になる。 ・ほぼゼロデイ攻撃。 ・防御よりも、攻撃された後の対処が重要。 ・検知と回復がキー。 ・日本でも国の基準が変わる(NIST)。 ・自己回復力の高さが求められる。 ・HPのノートPCには、自己回復機能(自動検知から自動復旧まで)が搭載されている。 ・コンピューターと新しいテクノロジーを組み合わせることで、どのような新たなサービスを生み出せるのか? ![]() ●印刷媒体のイノベーション〜テクノロジーがもたらす破壊と創造〜(小池亮介氏(株式会社日本HP執行役員デジタルプレス事業本部)) ・プリティングに関する動向。 ・あらゆるビジネスは消費と関連。 ・あらゆる消費には、販促とマーケティングが関連。 ・テクノロジーの進化で、印刷の概念が変わっていく。 ・2018年の総印刷枚数は50.2兆枚。 ・そのうち、デジタルの割合は35.5%。 ・新規市場としてはテキスタイルなどがある。 ・グローバルな広告のトレンド。 ・2000年から2020年を振り返ると、新聞が激減し、デジタルに置き換わってきた。 ・商品のライフサイクルは、2000年代は1年ちょっとあったが、現在は半年ちょっとしかない。 ・Z世代。 ・クラウドライブラリーとレコメンド。 ・現在の印刷は、大量印刷を前提にしている。 ・このビジネスモデルに未来はない。 ・印刷はどこに向かうのか? ・事例:LOTTEのキシリトールガム。世界に一つだけのパッケージ。 ・P&Gの元CEOの”First moment of truth”。7秒で決まってしまう。 ・Googleの”0 moment of truth”。もはや、選ばれる前で勝負が決まっている。 ・パッケージのパーソナル化。 ・事例:コカコーラのファーストネームラベル。 ・リオオリンピックでは、金メダリストのコメントが、翌日の商品パッケージに。 ・事例:ニュースボトル。 ・新聞記事がペットボトルのラベルに印刷される。 ・事例:パーソナライズ絵本。 ・オンラインのみの出版で、200万冊も販売。 ・事例:パーソナライズ料理本。 ・オンラインのみで100万冊も販売。 ・事例:カート離脱者向けに、カートに入れたけど購入しなかった商品のDMを即日発送。 ・事例:名刺データの直接印刷サービス。 ![]() ●3Dプリンティングに関する動向(秋山氏(株式会社日本HP)) ・HPの3Dプリンティング事業は、@自動車・輸送機関、A工作機械・ロボット、B医療、Cコンシューマー製品の4分野。 ・アプリケーション開発に注力を入れている。 ・事例:電気自動車のリチウムイオンバッテリーの冷却システムを、3Dプリンターで効率的な開発を実現。 ・事例:工作ロボットのロボットアームの軽量化。 ・事例:歯の矯正用の矯正アライナー(マウスピース)や義肢装具。 ・事例:パーソナライズしたヘルメットやメガネなど。 ・HP自体が、自社のサービス開発に3Dプリンターを活用“HP on HP” ●最後に(岡隆史氏(株式会社日本HP代表取締役社長執行役員)) ・持続可能性という今世紀最大の課題。 ・今のままでは、2050年までに地球が2.3個必要になる。 ・HPサステナビリティ・インパクト戦略。 ・社会・環境要件を含む販売額は1.7兆円。 ・社会・環境要件を含む案件数は+38%。 ・HP、顧客、サプライヤーすべての利益。 ![]() ◆トークセッション「体験の時代」に向けたビジネス破壊と創造 太田直樹氏(New Stories代表) 石角友愛氏(パロアルトインサイトCEO/AIビジネスデザイナー) 九嶋俊一氏(株式会社日本HP専務執行役員パーソナルシステムズ事業統括) 佐々木紀彦氏(株式会社NewsPicks CCO/NewsPicks Studios CEO) ![]() ●メガトレンド(AI関連)(石角氏) ・米国と中国の競争。 ・日本は競争のリングにも上がれていない。 ・日本のポジショニング、AI国家としてのポジショニングをどうとるのか? ・危機感と焦り。 ●メガトレンド(太田氏) ・ギリギリのところにいる印象。 ・中小企業の経営者の平均年齢は66歳。 ・20年前は47歳。つまり、事業承継がほとんど起きていない。 ・一方で、平成の初期は、平均年齢が50歳を切っていたとも言える。 ・事業承継の流れが起こり始めてもいる。 ・日本はソサエティ3.0(工業化の時代)のチャンピオン。 ・ソサエティ5.0の時代には、新しいプレーヤーで挑む必要もある。(世代交代が必要) ●日本でAIが普及するには(石角氏) ・99%が中小企業。 ・最先端のAI技術は、中小企業こそ利活用の可能性が多い。 ・AIは、ビッグデータ、ディープラーニングなど、難しいもの、お金のかかるもの、という思い込みが強い。 ・脱ビッグデータが、日本のAIを変える。 ●GAFA時代への向き合い方(太田氏) ・テクノロジー企業への不信感が表出した。 ・欧州は、GDPRや税制など、国の枠組みで臨んでいる。 ・日本は、コミュニティや市民、地域主導での展開が生まれ始めている。 ●GAFA時代への向き合い方(石角氏) ・ボリュームでは叶わない。 ・局所的な課題に寄り添う。 ・地域や中小企業はその切り口の一つ。 ![]() ●中小企業のAI活用例(石角氏) ・京都の100人規模の中小企業。 ・目視検査へのAI導入。 ・スモールデータでの導入にチャレンジ。 ●超グローバル化(九嶋氏) ・パーソナライズがキーワード。 ・GAFAは超グローバル、グローバルプラットフォーム。 ・そうではなく、パーソナライズ、ローカルで。 ・HPはプラットフォームビジネスでは負け組。 ●石角氏 ・すり合わせ(ハイブリッド)はキーワード。 ●コミュニティ(太田氏) ・福島県の会津若松市の事例。 ・2万人くらいのデータを協議会で共有。 ・個人の意思で、データの利活用をコントロールする。 ・データのインフラ化、民主化。 ・パーソナルデータストア。 ・国内の動きは増えている。 ・米国は企業が独占、欧州は個人の権利が軸、日本は中間的。 ●(石角氏) ・2018年のFBスキャンダル以降、企業と個人データのあり方の議論は高まっている。 ●AIと働き方(石角氏) ・日本ではAIへの脅威感が先行。 ・AIはツール。 ・人間にできなかったことができるようになる。 ・そのためには、人間からAIへの指導や検証が必要。 ●AIと働き方(太田氏) ・産業レベルでの新陳代謝がらあまり起こらなかった。 ・ソサエティ3.0時代は、個人と企業は一心同体。 ・ソサエティ5.0時代は、個人と人のキョリは変わってきている。 ・企業の新陳代謝を阻むものは、色々ある。 ・自分の企業を友だちに進めるか?という質問に対するYES率が、日本は低く、かつ、毎年下がっている。 ・ハイパフォーマーだがローエンゲージメントな社員が増えている。 ●オープンイノベーションについて(石角氏) ・人材の流動性が高まっているとはいえ、シリコンバレーと日本は文化が異なる。 ・オープンイノベーション戦略についても、場をオープンにするのではなく、課題とデータをオープンにしてほしい。 ![]() ●シビックテックの動き(太田氏) ・オープンデータを使って、地域の人が地域の課題を解決する、シビックテックという取り組み。 ・コードフォーシャパン。 ・日本でオープンデータに取り組んでいる自治体は2割程度。 ・シビックテックの動きが日本でも広がり始めている。 ・加古川市や神戸市では、子どもの見守りデータを、自治体と企業が共有し、取り組みにつなげている。 ●九嶋氏 ・大量のデータを持っているのは大企業が多い。 ・エッジの効いたデータを持っているのは中小企業であることが多い。 ・SI(システムイングレーター)の下請け的カルチャー。 ・規模と変革のすみわけ。 ●人材育成(石角氏) ・ジェネラリスト型のSEを、どうやって専門性の高いAIエンジニアに育成するか、というプロジェクトもある。 ・米国ではSEという言葉は使わない。 ・専門性とエンジニアを掛け算。 ●日本のSE(太田氏) ・日本のSEは100万人近い規模。 ・その8割近くがSIベンダーもしくはその下請け。 ・給与水準はインド以下。 ・20代前半くらいになると、カルチャーが変わってきている。 ●日本の若者(石角氏) ・日本でトップクラスで優秀な若者に生き方をたずねる。 ・山の中にこもって暮らしながら、リモートでAIをつくって暮らしたい、と答える。 ●これからの時代の日本らしいバランス(九嶋氏) ・日本企業で働いたことがない。 ・採用や育成に関しては、柔軟性と好奇心、前向きさを養うがキーワード。 ・一方で、プロセスの中では極端に管理されているという二面性を持つ。 ●人材育成(太田氏) ・尖った人。バウンダリースパナー。 ・若い人には大人のいうことは聞くなとアドバイス。 ・経営者には、越境学習を促すことを勧める。 ●中小企業の可能性(石角氏) ・中小企業の面白さ。 ・社長にビジョンがある中小企業では、0→1と1→10のどちらもできる可能性があること。 ●女性活躍について(石角氏) ・ある程度トップダウンの取り組みは必要。 ・経営陣に女性を登用。 ・認めてはいるけど、受け入れていない段階。 ・当たり前にダイバーシティがあり、意識しなくても ・強制的にすることのアンフェアさという問題もある。 ・要は、なんの課題を優先的に解決しようとするのか。 ●最後に一言(九嶋氏) ・技術がなくても、技術に自信がなくてもチャレンジを。 ・チャレンジを許容するカルチャーを。 ●最後に一言(石角氏) ・脱ビッグデータ型のAIを。 ・「実は、その問題AIで解決できるんです」をキャッチコピーに。 ●最後に一言(太田氏) ・中身のない人間中心主義はNG。 ・面白いサービス、事業を起こしているベンチャーや個人も増えている。 ・自分の潜在的 ●最後に一言(佐々木氏) ・思考停止の前に、感情停止状態。 ・楽しむ、笑う。 以上 |
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