【レポート】関西の中小企業のためのCSRセミナーin大阪 [2007年02月21日(Wed)]
2007年2月7日(水)に大阪で開催された、
【関西の中小企業のためのCSRセミナーin大阪】 のレポートをお送りします! 【レポート】 ■CSRを応援するNPOネットの取り組みから 早瀬 昇 / (社福)大阪ボランティア協会 事務局長 ○CSRを応援するNPOネット ・大阪ボランティア協会 ・環境市民 ・IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所] ・NPO政策研究所 ・消費者ネット関西 ・子どもの参加サポートセンター ・ダイバーシティ研究所 以上7団体から構成される ○CSRの基礎 ・2003年がCSR元年 ・グローバルコンパクト ・CSRは企業だけの問題だけでなく、市民やNPOの問題でもある。 ・ISO26000によって、CSRは企業だけでなく、全ての組織の社会的責任へ。 ・しかし、市民やNPOのCSRへの当事者意識は低い。 ・2006年5月に「CSR購入」に関するシンポジウムを開催した。 ・東横インの不正改造事件をきっかけに。あの事件直後に開業した東横イン神戸は満室だった。 ・利用するビジネスユーザー、そして企業の意識はどうなのか? ・現在は、東横インはCSRには積極的に取り組んでいる。 以上 ■CSR報告書調査から見えるもの 田村太郎 / IIHOE研究主幹・ダイバーシティ研究所代表 ○CSRとは? ・東京に本社のある大きな企業が中心だった。 ・CSRは欧米からの動きの中で進んできたので、どうしても大企業が多い。 ・日本は、報告書の発行数は多い。 ○中小企業のCSRへの関心が高まる ○BtoB企業の場合 ・取引先の社会的責任も求める動き。 ・調達基準の作成などで、先行した取り組み。 ○BtoC企業の場合 ・消費者の志向の変化。 ・地域に密着した顔の見えるCSR。 ・社会性、環境性、経済性のトリプルボトムライン。 ・現在のCSRでは、環境系は進んでいるが、その他の分野では取り組みが遅れている。 ○これからのCSR ・差別無く雇用することとダイバーシティ(人的多様性)は異なる。 ・CSRといえば社会貢献、環境問題から、労働環境などに重点がシフト。 ・出来ていないことそのものよりも、隠していることの方が問題。 ・まずは情報開示から。取り組めていない、という情報を開示することが次につながる。 ・ただ義務を満たすための報告書から、積極的にコミュニケーションするための報告書へ。 以上 ■関西の中小企業のCSR〜現状とこれから〜 ○代島裕世さん(サラヤ株式会社) ・2006年に朝日新聞の第3回企業市民賞を受賞 ・意思決定の迅速さとお金よりも人を ・2006年に第4回日本環境経営大賞 ・これらの受賞の結果、社内での理解が深まった。社内で居場所ができた。 ・少ない資源投入をコア事業に投入。 ・非上場企業なので、消費者が一番のステークホルダー。 ・Webサイトから情報を簡単に入手できるので、情報の伝播が早い。 ・地球にやさしいという表現の陳腐化。 ・ヤシノミ洗剤はもとはココヤシ=ココナッツを原料としていた。 ・アブラヤシ=オイルパームも使うようになってきた。 ・アブラヤシは収穫後48時間以内に搾油しないと腐ってしまうので、プランテーション方式が拡大。 ・主な産地は、マレーシアとインドネシア。この2国で世界の生産量の9割を占める。 ・2005年、パーム油は植物油の中で一番の生産量になった。 ・宇宙船地球号でオイルプランテーションのことが取り上げられ、非難が集中した。 ・マレーシアのサバ州では、急激にオイルプランテーションが拡大し、今では、川沿いの一部の地域にしか森林は残っていない。 ・サプライチェーンマネジメント全体にわたる視野と取り組みが求められる。 ・サラヤのCSRの取り組みは、社長自らの関心と推進で成立している。 ・マレーシアの地域住民にとって、アブラヤシは貴重な収入源。 ・ヤシノミ洗剤の売り上げの1%を、ボルネオの自然保護活動に寄付することを消費者に約束する予定。 ・活動を一過性ではなく持続的なものにしていきたい。 ○福田久美子さん(株式会社美交工業) ・清掃業は社会的困難者の受け皿としての社会的役割を担ってきた。 ・バブル崩壊後、価格競争の激化で労働環境はますます劣悪に。 ・ホームレスの中には自分の住んでる公園を一生懸命清掃している人もいる。これを見て、ホームレスの雇用を始めた。 ・ただ受け入れるだけでなく、ホームレスの抱える様々問題にもサポートするため、ソーシャルワーカーとの取り組みも進めてきた。 ・このような取り組みが評価され、小さな会社だが市役所の清掃を受注できるところまで成長してきた。 ・ハートフル企業大賞を受賞した。 ・小さな企業だけに、このようなことが社員の姿勢に大きな影響を与え、どんどん取り組みが進んできた。 ・福祉施設の管理業務でNPOと協働して園芸福祉活動に取り組むなど、NPOとの協働にも活動が広がってきた。 ・コミュニケーションを取ることが全ての原点。 ・企業とNPOの協働には双方にメリットがある。 ・NPOにとっては市場への参入、企業にとっては社会的事業の拡がりへ。 ・CSRというよりは営業戦略として取り組んでいる。 ・やらなければいけないCSRではなく、営業戦略の中でのCSR。 ・今後の課題は一社の取り組みから業界へ活動を広げていくこと。 ○津村昭夫さん(アジェンダ21フォーラム) ・CSRの本質は地球環境の保全、持続可能な発展。 ・今の世代にとっては良くても、将来の世代にとっては危機。 ・持続可能な発展のキーワードは地域コミュニティの創造。 ・KESは取り組みやすく、低コストな環境マネジメントシステム。 ・1997年の京都議定書をきっかけに2001年に活動をスタート。 ・環境への取り組みがコストダウンという企業へのメリットを生む。 ・学校を媒介することで、環境教育を通じて企業と地域住民をつなぐ。 ○法橋聡さん(近畿労働金庫) ・法令順守→本業の社会的価値→さらなる社会的価値創造。 ・価値の評価は今後の課題。 ・本業の社会的価値が原点であり、生命線でもある。 ・NPOは社会トレンドの水先案内人。 ・消費者自身の社会的責任も重要。 ・ろうきんのビジョンは「グッドマネーバンク」 ・NPO事業サポートローン、社会福祉法人事業資金融資の制度。 ・金融機関には、CSR度が顧客企業の評価軸に入ってくる方向の動きあり。 ・企業が生きている地域を豊かにする視線が必要。 ・NPOと連携することで、地域のニーズやトレンドに対する感度を高める。 ・NPOにもCSRとつきあう視点がもっと必要。 ○ディスカッション(評価について) ・メディアやネットの評価に潜む危険性。 ・金融機関のCSR評価軸の動き。 ・大阪市役所の発注による美交工業の社会的評価の高まり。 ・評価に関する社会的仕組みの創設が課題。 ・サラヤはBtoC企業なので、消費者からの評価が全て。 ・広報、情報公開に多額の資金は投入できないので、ホームページでの情報公開に力を入れている。 ・美交の場合も、活動の発信・アピールに力を入れている。陰徳ではだめ。 ・取り組みが自己満足で終わってしまってはだめ。 ・地域とのつながりをつくることがCSRの第一歩。 ・リストラすると株価が上昇する、というような現実も認識しなければいけない。 ・評価に対する過敏な反応。評価と聞くと、マイナス評価を受けないように防御的になってしまう。 ・プラスを評価していく、いい取り組みは褒めていく、やさしいCSRを進めていくことが必要。 ・市民にできる企業評価の第一歩は、購入すること、そして余裕があれば投資すること。 ・コミュニケーション、知ることの大切さ。 ・個々の取り組みだけでは社会は変わらないという側面も忘れてはいけない。 ・社会全体を変える仕組みも必要。 以上 【関西の中小企業のためのCSRセミナーin大阪】 ■趣旨: 『CSR(企業の社会的責任)』はどのように会社を、社会を変えることができるのでしょうか? NPOと企業が協働することで、社会的課題の解決を模索するCSRを考えてみませんか? CSRの全国的な傾向と情報ツール、主に関西でキラリと光る取り組みから、 ともにヒントを見つけましょう。 ■日時:2007年2月7日 (水) 13:30〜18:00 ■会場:大阪NPOプラザ ■定員:60人 ■参加費: (企業・一般) ¥2,000 / (NPO・学生) ¥1,000 ■プログラム <13:30〜基調講演> NPOからみたCSRの取り組みについて ◆CSRを応援するNPOネットの取り組みから 早瀬 昇 / (社福)大阪ボランティア協会 事務局長 ◆CSR報告書調査から見えるもの 田村太郎 / IIHOE研究主幹・ダイバーシティ研究所代表 ◆ウエブでのコミュニケーションの提案 荻上健太郎/ 日本財団 情報グループ CANPANチーム <15:30〜シンポジウム> 関西の中小企業のCSR〜現状とこれから〜 ◆CSRに取り組む企業からの事例報告 [サラヤ株式会社] 商品開発本部商品企画室 次長 代島裕世さん [株式会社美交工業] 専務取締役 福田久美子さん [アジェンダ 21フォーラム KES認証事業部] KES認証事業部長 津村昭夫さん ◆中小企業を支える金融機関の立場から 近畿労働金庫地域共生推進センター長 法橋聡さん ◆コーディネーター:癘{(すぎもと)育生/(特活)環境市民代表 ■主催 CSRを応援するNPOネット ■協力 CANPAN(日本財団) ■後援 大阪商工会議所(予定) |