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ソマリア海賊への対応が抱える問題[2008年12月05日(Fri)]
ソマリア海賊事案のたどるコースは、@ソマリア沖を航行する船舶がAソマリア海賊に重火器で襲撃されB海賊は船・乗組員を拘束、身代金を要求しC船主は交渉後結局身代金を支払い、D最長5−6週間後、乗組員・船は無事解放、のパターンである。
ソマリア海賊の横行は人命、財産、ひいては世界経済の観点から正に深刻な問題であり、これに対し、これまで取られてきた対応がどのような側面を持つのか考察する。
1.「ソマリア沖を航行する船舶が、」
⇒ソマリア沖を通さない措置:低速船が襲撃に遭いやすいとの統計もあり、喜望峰回りで航行させる船社がでてきた。「ソマリアを通す経済的損失(身代金と運航阻害)のリスク」と「遠回りすることで生じる実損害」を純粋に比較考慮したもので、ここでは人命の安全に係る「リスク」は割引いて評価されているふしがある(後述)。
2.「ソマリア海賊に重火器で襲撃され、」
 ⇒襲撃されない努力:@本船対応(航行時刻調整、増速・操舵、放水銃、電気網等)、A軍艦等の対応(「安全回廊」の設定、軍艦によるエスコート、軍用機による監視、襲撃時の緊急対応等)、B商船の武装(武装警備要員の乗船等)。これまで@、Aの対応では100%の安全確保は不可能。新国連安保理決議により、各国軍艦が統一した海賊対策ROEを持たない状況下で、乗組員の安全を確保しつつ武器をどのように活用するのか未知数。Bは一部船舶が実施済みなるも、事態をエスカレートさせるとして一般には否定的な評価。
3.「船・乗組員を拘束、身代金を要求し、」
 「船主は交渉後結局身代金を支払い、」
「最長5−6週間後、乗組員は無事解放、」
 ⇒解放への努力:海賊の目的は「身代金の獲得」と明確で、これまで人的被害はないことから、船主の努力は最初から現状復帰のための海賊との身代金の額の交渉である。交渉は、交渉人を通じて行われ、その交渉人はその道のプロで身代金をいくら値切るかで報償が変わるとされ、またソマリア長老なる者が口利き料や仲介料と称して、船主に無心するといったタカリも横行する。そのような交渉を経て双方納得する額が了解されれば身代金が海賊の手に渡り、乗組員・船は無事解放される。 
4.海賊行為を犯罪として正面から捉える
海賊への身代金支払いには、それが海賊を勢いづかせるとの批判はあるも概ね寛容で、身代金は相変わらず支払われ続けている。その根っこには、多くの人々が「ソマリア海賊はテロリストと違い命には手を出さない」という確信に近い期待を有しているからである。実はこのことがこれまでのソマリア海賊対策のいずれもが決定打に欠けた理由と考えられる。しかし、新たに国連安保理決議を得て、今後、海賊と武力で対峙する局面が増えてくれば、「人命は安全」との神話は崩れる。
国際社会は、改めて海賊を犯罪として正面から捉え、国際法に基づき問題を解決するとの原点に立返ることが求められている。
(日海防ロンドン所長)

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