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準輻輳海域における航行安全確保に関する調査[2011年03月22日(Tue)]
「準輻輳海域における航行安全確保に関する調査」第4回委員会


日本海難防止協会主催による「第4回 準輻輳海域における航行安全確保に関する調査委員会」を2月8日(火)に海事センタービルの会議室で開催しました。東京海洋大学 今津副学長(委員長)をはじめ海上保安大学校 長澤名誉教授ら学識経験者4名、海事関係者11名、水産庁漁政部企画課1名、国土交通省総合政策局総務課1名、国土交通省海事局安全環境政策課1名、海上保安庁交通部2名、海上保安庁海洋情報部1名、第三管区・第四管区・第五管区海上保安本部 交通部長ほか数多くのオブザーバーの方にご参加頂きました。

今回の調査委員会では、AISを活用した船舶交通の新たな安全対策として、昨年度から引き続く2ヶ年目のまとめを以下の3点について整理し、準輻輳海域における安全対策の提言としました。

(1) 船舶におけるAISの活用 (2)船舶の動静監視と情報提供 (3)船舶交通の整流化

(1) 船舶におけるAISの活用

@ 現在輻輳海域においては海上交通センターによりレーダによる航行船舶の動静監視が行われていますが、レーダ・サービスエリア外においてもAIS陸上局で電波の受信可能な海域を航行するAIS搭載船舶に対して乗揚防止等を図る動静監視や情報提供を行うことが可能であることから、AISの普及が進めば動静監視対象が拡大される可能性も考えられます。

A 日本においては500GT以上の船舶に搭載が義務付けられていますが、海外においてはSOLAS条約で定められたAIS搭載義務をより厳しい50GT以上の船舶としたり、長さ15m以上の船舶とするなど、搭載義務を拡大している現状があります。このような国際情勢を踏まえれば日本においても搭載義務船舶を拡大することも考えられます。
一部の内航船社においてはAISの機能を活用することにより安全性の向上効果が認識され、搭載義務のない500GT未満の船舶においても新造を期に搭載し始める船舶が徐々に増加しています。しかし、任意での搭載では一部の船舶に限定されることから、搭載普及促進にはAISの有効な利用法やメリット等を周知すると共に、英語で表記される等といった機能面の改善や、利用者のニーズを汲み取った技術開発が望まれます。
(平成20年7月1日に「航海用具の基準を定める告示」の一部改正が施行され、レーダ画面上におけるAIS情報表示に関する要件等が追加された。
ただし、平成24年11月30日までに無線局の免許を取得したレーダで500GT未満の内航船に備えられるものは、従来どおりそのまま使用することができる。)

B AIS普及の阻害要因として本体価格が高額であることも挙げられます。普及と共に低廉化が期待されますが、国による補助金や保険料削減等のインセンティブの導入が普及促進の一助になると考えられます。最近国内で販売が始まった簡易型AISの普及については、価格が安価なことからAISの有効性の認知が高まってくれば普及が期待されます。

C また、AIS搭載船舶増加によって懸念される電波混信やAISを経由する情報過多が表示画面を占有する等の懸念も予測されます。そこでこれら普及に伴って発生する恐れのある新たな問題についても、その影響を評価し未然に防ぐためにも、予め対策を検討しておくことが求められます。

(2) 船舶の動静監視と情報提供

@ 過去の委員会でも明らかとなったように、準輻輳海域における衝突海難の多くは商船対漁船がその半数以上をしめています。商船の航行エリアと漁船の操業エリアが重複する海域では衝突のリスクが高まることから、商船運航者は航路選定にあたって操業漁船の有無を重視する傾向が強く、沿岸域における操業漁船に関する情報提供を望んでいます。

A 500GT以上の船舶が搭載しているAISに比べ簡易型AISは安価ではあるものの、漁業関係者には依然として漁獲高に直結する機器ではないことから、不必要に高額な機器との印象が強く、AIS搭載を普及させることは困難な状況となっています。AISによる動静監視では、対象船がAISを搭載している船舶に限定されることから、AISを搭載していない漁船の動静を把握し商船に対して漁船の操業位置情報を提供する等の注意喚起が必要になります。そのためには、現在輻輳海域に限定されるレーダによる監視エリア拡張することが必要になります。
 しかし、準輻輳海域でレーダによる監視エリアを拡張するには湾内等の限定された海域とは異なり、海域により気象・海象及びレーダの性能による制限を受けることを考慮しなければなりません。実際にどの程度の船型の動静把握が可能であるか検証が必要になります。

B AISメッセージの活用方法としては、アンケート調査結果からあまり利用されていない現状が見えてきました。今後は気象・海象情報、工事情報、水路情報等の他、海域内のすべての船舶に同一情報を送信するような活用方法を考慮することが望まれます。

C また、海上交通センターより乗揚等を回避するために行われる情報提供においても、AISメッセージとともにVHFが併用されて海難回避に至った例が多い現状があります。乗揚等回避のための情報提供など、緊急性の高い内容については、従来どおり、VHFや船舶電話を積極的に活用した情報提供を行う必要があります。

D 漁船の操業情報については、漁船の位置をリアルタイム情報として取得することに拘泥することなく、水路誌等の刊行物やパンフレット等により、対象海域の漁船操業活動の特徴をまとめた一般情報として提供する方法が考えられます。

(3) 船舶交通の整流化

@ 船舶同士の衝突海難等が多く、安全対策を講ずべき海域においては、船舶同士の衝突リスクを減少させる方法として船舶交通の整流化が考えられます。現在日本船長協会が推奨している自主分離通航帯はIMOに採択されたものではないことから、法的拘束力を持たず、分離通航帯に従って航行する船舶と従わない船舶の航行が混在する等の問題が生じています。
従って、一つにはこれら「自主分離通航帯」を、IMOで採択し、法的拘束力を持たせることにより、船舶交通の整流化の実効性を担保することが考えられます。
しかし、これには以下の問題があることを念頭に置いておく必要があります。
● 沿岸通航帯を設置する場合、長さ20m以上の船舶が全て対象となり、小型船にまで沖合航行を課すこと
● 関係者との調整 等

A 二つ目には、沿岸通航帯の利用制限や小型船の沖合航行等の問題点を解消するため、一定以上の船舶にのみ、通航路に沿って航行させる新たな通航方式を採用することが考えられます。
調査結果を分析から、比較的船型の小さな船舶は沿岸域を航行する状況が判っており、すべての船舶を対象とした分離通航方式の採用は航行実態にそぐわない状況があります。そこでIMOの採択によらず、一定の船舶のみを対象とした通航路を設定することが考えられます。具体的には法規制面での整備が課題として存在しますが、分離通航帯を海図に表記することでその海域を航行する船舶に通航路の存在を知らしめる効果が期待できるようになると考えられます。

B 分離通航帯を設定する場合、通航路の側端を示したり、推薦航路を設定する場合の中央を表示したり、主要な変針点を示す場合において、「仮想航路標識」の機能を活用することが考えられます。調査にあたり日本航路標識協会からご提供いただいた「仮想航路標識」の活用に関する実証実験結果により、その有効性も確認されています。今後、沿岸域において分離通航方式を採用するにあたっては、「仮想航路標識」を活用した通航路の明示も考えられます。
「仮想航路標識」の活用にあたっては、国際的なルールの策定等IMOでの審議内容を踏まえて検討する必要があり、世界標準を利用することが求められます。国際的な流れを捉えつつ安全対策の構築を検討していくことが望まれます。


  2ヶ年にわたる調査から、全国の準輻輳海域における概要をとりまとめることができました。今後はこの成果を踏まえながら、個別の準輻輳海域に対して、最適な安全対策の構築を検討していくことが望まれます。
準輻輳海域における航行安全確保に関する調査[2011年01月13日(Thu)]
「準輻輳海域における航行安全確保に関する調査」第3回委員会

 日本海難防止協会主催による「第3回 準輻輳海域における航行安全確保に関する調査委員会」を12月1日(水)に日本財団ビルの会議室で開催しました。東京海洋大学 今津副学長(委員長)をはじめ海上保安大学校 長澤名誉教授ら学識経験者5名、海事関係者12名、国土交通省総合政策局総務課1名、海上保安庁交通部2名、海上保安庁海洋情報部1名、第三管区・第四管区・第五管区海上保安本部 交通部長ほか数多くのオブザーバーの方にご参加頂きました。

 今回の調査委員会では、前回の委員会終了後に調査した漁業協同組合におけるヒアリング調査結果を追加整理すると共に、AIS非搭載義務船舶である総トン数500トン未満の運航船舶に対して自主的にAISを搭載している内航船社にAIS導入のきっかけや航行安全面・船舶運航面におけるAIS利用方法、AISに対する要望、船舶におけるAISの活用状況をヒアリング調査しました。また、日本船長協会が設置する自主分離通航帯付近を中心とする海域についてAIS航跡データの分析を行い船長別に通航分布を調べると共に、船舶の目的地別に航跡を色分けすることで東京湾・伊勢三河湾・大阪湾への入出湾状況に応じた船舶のルートを明らかにし、進路交差状況を調査しました。

 調査結果から見えてきた意外な点として、40年以上も前に日本船長協会によって設定された自主分離通航帯の位置が漁船の操業場所を上手く避けて設定されており、仮に全ての商船がこの分離通航帯を航行することになれば漁船と商船の住み分けが可能となる可能性があることが分かりました。実際には内航船は航行区域による制限を受けるために目的地への直行ルートではなく、陸地から20マイルの距離に沿って航行している点や、船舶の堪航性の制限から沖合を航行することが出来ず、沿岸沿いを漁船の操業と競合する状態で航行している状況が浮き彫りになりました。従来から海上交通の安全性を考えるとき、漠然と漁船vs商船という構図を思い描きがちでしたが、今回の調査から海域利用に関しては漁船vs中小型船vs大型船という構図となっている現状が明らかになりました。

 今後の準輻輳海域を中心とした日本沿岸域における安全対策としては、一般船舶同士あるいは一般船舶と漁船との間で多発する衝突海難のリスクを減少させる方策として、船舶交通の整流化が考えられます。現在日本船長協会による自主分離通航帯は主要沿岸域で設定されてはいるものの、法的拘束力を有していないために、船舶交通の整流化効果が限定的となっている現状があります。各海域ではこれまでに行ったAIS航跡データの分析や漁業協同組合・内航船に対するアンケート・ヒアリング調査結果等から、一律的な対応策では整流化を図ることは困難であり、それぞれの海域に応じた分離通航帯の位置・形状・幅員の検討、そして漁業関係者との調整が必要となります。

 今回の調査では現在IMOで議論されている仮想航路標識の将来的な利用を含め、今後安全対策を検討する際に海域毎に検討することが求められる留意すべき事項を整理することができました。

 次回委員会は2月8日(火)に開催予定です。
準輻輳海域における航行安全確保に関する調査[2010年10月20日(Wed)]
「準輻輳海域における航行安全確保に関する調査」第2回委員会


 日本海難防止協会主催による「第2回 準輻輳海域における航行安全確保に関する調査委員会」を9月14日(火)に日本財団ビルの会議室で開催しました。東京海洋大学 今津副学長(委員長)をはじめ海上保安大学校 長澤名誉教授ら学識経験者5名、海事関係者13名、国土交通省総合政策局総務課1名、海上保安庁交通部2名、海上保安庁海洋情報部1名、第三管区・第四管区・第五管区海上保安本部 交通部長ほか数多くのオブザーバーの方にご参加頂きました。

 今回の調査委員会では、先ず全国漁業協同組合連合会の協力の下、太平洋岸に位置する漁業協同組合において実施したヒアリング調査結果を整理しました。調査内容として操業する漁船の漁法、漁場、操業時期、操業時間、そして漁船の大きさや乗組員数を基礎調査内容として、その他にヒヤリハット体験や操業に使用する情報の種類や入手経路等を尋ね、単にアンケート調査のような一律な書面ではなかなか回答頂けない漁業者の意見をまとめました。留意点として、調査にあたってヒアリング対象者が限定された点、また、調査した漁船操業場所が現在の状況を反映してはいるものの恒久的なものではない点が挙げられますが、今後の安全対策を検討するにあたって貴重な資料となりました。単に関係者に対する参考資料としての役割ばかりでなく、AIS航跡解析において漁船操業時間と商船通航時間帯の重複の有無を検証する際にも重要な役割を果たすデータとなることが見込まれました。引き続き太平洋岸の漁業協同組合に協力を仰ぎながらヒアリング調査を続け、情報データでカバーすることができる海域を広げていく予定です。

 次にAIS航跡データの解析例を整理しました。昨年度の検討結果では商船の航跡を通過点ごとについて解析しましたが、今回は時間ごとに商船の通航密度を解析しました。これにより漁船操業時間と商船交通の輻輳する時間帯にズレがあることを把握することができました。主に日本船長協会が設置する自主分離通航帯付近の海域においてAIS航跡データを時間ごとに分析することで、船舶交通の安全対策に寄与できる解析結果に結び付けられるデータが得られるのではないかと期待される結果が示されました。

 最後に、過年度において財団法人 日本航路標識協会が調査した研究内容に基づき、既存の情報整理と確認を行うとともに、現在IMOに日本から提案中である新たな仮想航路標識に関する紹介が行われました。AISを使用した安全対策として現在技術的に可能であることが多くあることを認識しつつ、今後の動向として基本的な技術は国際的に共通にしておかなければならず、安全対策の構築に向けて議論していくには世界的な情勢を見据えながら最新の情報を常に確実に把握していくことの必要性を確認しました。

 次回委員会は12月1日に開催予定です。

準輻輳海域における航行安全確保に関する調査[2010年07月26日(Mon)]
「準輻輳海域における航行安全確保に関する調査」第1回委員会


日本海難防止協会主催による「第1回 準輻輳海域における航行安全確保に関する調査委員会」を6月30日(水)に海事センタービルの会議室で開催しました。東京海洋大学 今津副学長(委員長)をはじめ海上保安大学校 長澤名誉教授ら学識経験者5名、海事関係者12名、国土交通省総合政策局総務課1名、海上保安庁交通部2名、海上保安庁海洋情報部1名、第三管区・第四管区・第五管区海上保安本部 交通部長ほか数多くのオブザーバーの方にご参加頂きました。

今年度の調査委員会では、昨年度に行った調査分析結果から、準ふくそう海域(東京湾、伊勢湾及び大阪湾のふくそう海域を接続し、且つ、船舶交通が集中し海難が多発する沿岸海域)において検討することが必要な具体的な安全対策として抽出された以下3点
@ 船舶におけるAISの活用 
A 船舶の動静監視と情報提供
B 船舶交通の整流化
を踏まえ、仮想航路標識等の次世代型の航行支援システムの活用も視野に入れながら、AIS情報を活用した船舶交通整流化について総合的に検討し、船舶の航行安全の確保に寄与することを目的としています。
 第1回委員会では、上記の調査計画を検討すると共に、昨年度の調査結果のレビューとアンケート調査回答結果を再整理し、今年度に予定しているヒアリング調査計画を検討・議論しました。
ヒアリング調査に関しては、全国漁業協同組合連合会の協力の下、太平洋岸に面する千葉県から和歌山県にある漁業協同組合を訪問し、第2回委員会を目処に、漁船操業実態について実際に漁撈の現場を熟知した方々から情報提供を受ける予定です。
また、次回以降に議論する仮想航路標識に関しては、過年度において財団法人 日本航路標識協会が調査した研究内容に基づき、既存の情報整理と確認を行いました。
今後は、AIS情報を基に船舶動静を昨年度とは異なる視点で再分析すると共に、仮想航路標識を利用した船舶交通の整流化に係る検討を行い、ヒアリング調査で得られた情報を踏まえながらAISを使用した情報提供のあり方等についても検討する予定です。
 
次回委員会は9月中旬に開催予定です。

「準ふくそう海域及び沿岸域における安全対策の構築に関する調査」第4回委員会[2010年04月23日(Fri)]
  日本海難防止協会主催による「第4回 準ふくそう海域及び沿岸域における安全対策の構築に関する調査委員会=AISを活用した船舶交通の新たな安全対策の検討=」を2月19日(金)に日本財団の会議室で開催しました。東京海洋大学 今津副学長(委員長)をはじめ海上保安大学校 長澤副校長ら学識経験者4名、海事関係者12名、国土交通省海事局安全環境政策課1名、水産庁漁政部企画課1名、海上保安庁交通部3名、海上保安庁海洋情報部1名、第三管区・第四管区・第五管区海上保安本部 交通部長ほか数多くのオブザーバーの方にご参加頂きました。

 第4回委員会では、平成21年度に実施した準ふくそう海域を航行または操業する商船と漁業組合を対象に実施したアンケート調査回答結果に基づき、当該海域における問題点や、AISに対する要望、必要とされる情報等について整理し、中間報告をまとめました。そしてこの結果をもって、平成22年度に引き続き具体的な安全対策の検討を行うこととしました。

 【具体的な安全対策の検討項目】
@ 船舶におけるAISの活用
  AIS搭載船舶同士では相手船の情報を把握することが可能ではあるものの、AISの機能については他の計器との接続やテキスト入力の煩雑さ等の理由から、未だ十分に活用されてはいない実情があることから、AISの活用促進を積極的に行っていく必要があります。
A 船舶の動静監視と情報提供
  船舶の動静監視では、対象となる船舶がAIS搭載船に限定される事から、海難回避の効果を高めるためには、監視対象船が拡大されることが重要と思われ、AIS搭載義務のない船舶に対するAISの普及促進や当該海域における動静監視体制の強化が必要となります。
  また、陸上局から船舶への情報提供の手段としてAISメッセージの活用が考えられますが、利用の最も多い気象・海象に関する情報でも、全体の40%以下の利用に留まっていることから、緊急性の高い内容についてはVHF等を積極的に活用した情報提供を行う必要があります。そして、一般情報についてはAISによる情報提供の活用方策を整理すると共に、利用者が求める情報を踏まえた上で運用することが必要であり、緊急情報のあり方も含めて検討する必要があります。
B 船舶交通の整流化
  現在、日本沿岸域にはIMOの航路指定で定められる分離通航帯は設定されておらず、準ふくそう海域においては、日本船長協会が推奨する自主分離通航帯が設けられています。この自主分離通航帯が設定されている海域は操業漁船が多い海域でもあることから、より実効性を高めていくために、今年度の調査で明らかとなったAISによる航跡を分析し、付近の状況を踏まえながら、位置の見直し等が必要となっています。
  また、近年では次世代型航行支援システムである仮想航路標識により、電子海図上に航行経路を示して船舶交通の整流化を図る技術が開発されていることから、このような新たな技術を利用する可能性についても検討する必要があります。
「準ふくそう海域及び沿岸域における安全対策の構築に関する調査」第3回委員会[2010年01月05日(Tue)]
「準ふくそう海域及び沿岸域における安全対策の構築に関する調査」第3回委員会

日本海難防止協会主催による「第3回 準ふくそう海域及び沿岸域における安全対策の構築に関する調査委員会=AISを活用した船舶交通の新たな安全対策の検討=」を12月11日(金)に海事センタービル会議室で開催しました。東京海洋大学 今津副学長(委員長)をはじめ海上保安大学校 長澤副校長ら学識経験者4名、海事関係者11名、国土交通省総合政策局総務課交通安全対策室1名、国土交通省海事局安全環境政策課1名、海上保安庁交通部2名、海上保安庁海洋情報部1名、第三管区・第四管区・第五管区海上保安本部 交通部長ほか数多くのオブザーバーの方にご参加頂きました。

 第2回委員会で委員各位から頂いたご意見を踏まえて、商船用・漁船用それぞれのアンケート調査票を見直し、各海事関係団体並びに全国漁業協同組合連合会などのご協力を得て配布しました。
第3回委員会では、特に船舶の航行安全に大きく関わりのある@ 風向・風速、A 波高、B 視程の3項目について、準ふくそう海域を含む日本沿岸域を対象に海上気象状況を解析し気象海象の地域特性を把握した結果、交通海難の発生と深く関わりを持つことがデータを通してある程度確認できました。







また、AIS航跡データから船舶同士の進路交差点と出会い状況を求め、見合い関係を解析することで、交通海難の潜在的な発生危険海域をデータとして捉えることが可能になり、海難を未然に防ぐための対策が必要な海域を視覚化することができるようになりました。(添付図参照)更に海難データの解析で、500トン以上の船舶の関わった交通海難に的を絞って分析を行うことで、海難に漁船の存在が無視することができない要素であると窺える結果が示され、交通海難防止の対策には単に汽船を対象として捉えるだけでは十分でないことがデータとして示されました。今後は、現在実施中のアンケート調査結果から、海難と漁船との関係を特定することの可能性について解析を続け、来年度に向けて、問題解決の糸口となる対策を検討していくことになります。
今年度は準ふくそう海域の中でも特に新たな対策を講ずべき海域を絞り込み、また日本船長協会が設定する自主規制航路と実際の船舶航跡や海難との関わりについて、関連の有無も含めてまとめ、具体的な安全対策については来年度議論していく予定です。

尚、第4回委員会は2月19日(金)に開催予定です。
「準ふくそう海域及び沿岸域における安全対策の構築に関する調査」第2回委員会[2009年11月13日(Fri)]
「準ふくそう海域及び沿岸域における安全対策の構築に関する調査」第2回委員会

日本海難防止協会主催による「第2回 準ふくそう海域及び沿岸域における安全対策の構築に関する調査委員会=AISを活用した船舶交通の新たな安全対策の検討=」を10月2日(金)に日本財団会議室で開催しました。東京海洋大学 今津副学長(委員長)をはじめ海上保安大学校 長澤副校長(委員長代理)ら学識経験者4名、海事関係者13名、国土交通省海事局安全環境政策課1名、海上保安庁交通部2名、海上保安庁海洋情報部1名、第三管区・第四管区海上保安本部 交通部長ほか数多くのオブザーバーの方にご参加頂きました。

 犬吠埼から室戸岬までのふくそう海域を結ぶ準ふくそう海域等におけるAIS搭載船の船舶交通流と交通海難(乗揚げ・衝突)の発生状況に重点をおいた分析資料が説明され、準ふくそう海域での船舶交通に係る問題点の抽出や安全対策の検討に向けて、海難審判所裁決録データベースの事故事例、沿岸海上気象データの分析例等の基礎資料も紹介されました。
 
 AISデータによる船舶交通流の分析では、主に船の大きさ(長さ)別の航跡図や主要海域に設けたゲートラインごとの断面交通量(船型別・船種別・時間帯別ゲートライン通過隻数)について整理するとともに、交通海難の発生状況と重ね合わせて表示することで、船舶交通が収斂し進路が錯綜する海域で問題があることが浮き彫りになりました。(下図参照)







 今後は、準ふくそう海域における船舶交通流の交差点や交差角度を捉えるために、船舶航跡の進路交差に着目して、これまでの船型別分類に加えて通航船舶の通過方向別やOD(Origin:出発地/Destination:目的地)別に海域ごとの特性を考慮した追加解析を行うことが提言されました。また、交通海難が多発する海域を中心に、海難を未然に防ぐための対策として、どのような安全対策が構築できるかといった視点で、船舶交通流と交通海難の事例分析を行うこととしました。

 また、準ふくそう海域で船舶交通流を形成する商船が進路を選択する要素・判断基準や漁船の操業実態と、航行船舶と操業漁船等の競合する海域に潜む危険性を掘り出すために、準ふくそう海域を航行する商船と漁船を対象としたアンケート調査を実施する計画です。委員会での検討で、AISデータによる船舶交通流の解析結果と関連付けるアンケート内容に絞り込むこと、設問内容を吟味しアンケート回答者の負担を極力抑えること等に関する助言を頂き、今後アンケート調査票の見直し・調整を行った上で、商船については外国人を含む内外航船の船長を対象に、漁船については準ふくそう海域を操業海域とする各漁業組合を対象に、関係団体等を通じて実施することとなりました。

 次回委員会では、現在海上保安庁の海上交通センターで実施されているふくそう海域におけるAISデータの活用方法等を紹介するとともに、AISデータによる船舶交通流の詳細分析を行って、特に重点的に安全対策の構築が必要とされる海域の絞込み、航行安全の確保に寄与できる仕組み作りについて調査・検討する予定です。

 第3回委員会は12月11日(金)に開催する予定です
「準ふくそう海域及び沿岸域における安全対策の構築に関する調査」第1回委員会[2009年08月05日(Wed)]
日本海難防止協会主催による「第1回 準ふくそう海域及び沿岸域における安全対策の構築に関する調査委員会=AISを活用した船舶交通の新たな安全対策の検討=」を7月9日(木)に日本財団会議室で開催しました。東京海洋大学 今津副学長(委員長)をはじめ海上保安大学校 長澤副校長(委員長代理)ら学識経験者3名、海事関係者11名、水産庁漁政部1名、国土交通省総合政策局1名、海上保安庁交通部3名、海上保安庁海洋情報部1名、第三管区・第四管区・第五管区海上保安本部 交通部長ほか数多くのオブザーバーの方にご参加頂きました。

湾内や港内などの船舶交通がふくそうする海域におけるAIS(Automatic Identification System:船舶自動識別装置)を活用した安全対策については、平成19年度の「港内航行安全システムの見直しに係る調査」および平成20年度の「港内航行管制基準の改定に関する調査」成果を踏まえ、先の国会で成立した港則法及び海上交通安全法の法改正に基づいて、今後、港内の航路管制基準や管制手法の見直しなどが進められることとなります。

本調査では、ふくそう海域とふくそう海域を結ぶ沿岸域で船舶交通が収斂し針路が錯綜する所謂“準ふくそう海域”においても、平成20年7月までに全ての義務船舶にAISが搭載されたことから、新たに運用が開始された沿岸域のAIS陸上局を活用し、航行安全の確保に寄与できる仕組み作りについて調査・検討する計画です。

 第1回委員会では、準ふくそう海域における船舶の航行環境(添付図参照:AISデータによる沿岸域での船舶航跡の解析例)や海域利用の現状、日本船長協会が設定している自主分離通航帯などの準ふくそう海域での安全対策やそれの抱える問題点等を整理し、漁船やプレジャーボート等のAIS搭載義務のない船舶の取扱いや当該海域で発生した交通海難と船舶交通流との関連、更にAISを活用した安全方策や船舶交通流の基礎的な分析などについて、出席された委員・関係官庁の方々から積極的なご提案ご意見を頂きました。
特に、AISを活用した船舶交通流や海難分析等に関する検討の方向付けとして、従来では為し得なかった

@ AISデータから得られる通年での船舶交通流の解析
A 今までは漠然と捉えられていた沿岸域での交通流の形成に影響を及ぼすことが考えられる海潮流や風浪等の海象の影響と季節変動
等、関係機関の協力を仰ぎながら関連するあらゆる情報を収集し、AISデータを中心に様々な観点での船舶交通流の基礎的な分析に努めることとしました。今後とも関連した研究結果を整理し、そこから得られる多角的な視野に基づくアイデア提起を含め、更に調査の深度を深めAISを活用した航行安全への寄与を目的として調査研究を進めることとしました。

次回委員会は10月上旬に開催予定です。


図 1 航跡図と通過位置図(全長100m未満、平成20年3月)



図 2 航跡図と通過位置図(全長100m以上150m未満、平成20年3月)


図 3 航跡図と通過位置図(全長150m以上200m未満、平成20年3月)


図 4 航跡図と通過位置図(全長200m以上、平成20年3月)
見習い研究員の初投稿[2008年12月10日(Wed)]
今回の記事は“見習い研究員”のわたくしTが担当いたします。はじめまして、よろしくお願いいたします。
さて、師走に入り、間もなく一年の終わりを迎えようとしています。私たち日本海難防止協会は、海難防止や海洋汚染防止のため、日夜さまざまな調査研究事業などを進めてまいりました。
残念なことに今年も悲惨な海難が発生しました。突然の事故により、一家の大黒柱などを失ったご遺族の心情は、察するに余りあるものです。毎年この時期、私たちは海難遺児への支援を目的とした募金活動に参加しています。しかし、募金活動に参加するたびいつも、一年間に起こった悲惨な海難の状況があたかも走馬灯のように脳裏を巡ります。自分たちの努力の至らなさを思い知り、居た堪れなくなります。
 こうした悲劇を少しでもなくすため、私たちは今後も海難防止に向けた調査研究活動に精一杯の努力を積み重ねてゆきたいと思います。今年、特に私の印象に残った海難をいくつか取り上げ、振り返ってみたいと思います。

1)明石海峡多重衝突海難(2008.3.5)
 本年3月5日午後2時55分頃、神戸市・垂水区沖の明石海峡で3隻が関係する衝突海難が発生、ベリーズ船籍のゴールドリーダーが沈没、外国人船員三人が死亡、一人が行方不明となった。
オーシャンフェニックス(液化ガスタンカー/2,948総トン)、第五栄政丸(砂利運搬船/496総トン)及びゴールドリーダー(貨物船/1,466総トン)は、明石海峡航路の東側入口から同航路にそれぞれ進入しようとしていた。
オーシャンフェニックスとゴールドリーダーの二隻は同航の関係にあり、航路に沿った針路で航行していた。一方、栄政丸はおおむね北東方向から航路に進入しようとしていた。まずは、航路の入口付近で栄政丸の船首にオーシャンフェニックスの船尾が衝突し、その衝突を避けようとして左転したオーシャンフェニックスの船首が同航していたゴールドリーダーの右舷中央に衝突した。
衝突の結果、ゴールドリーダーは間もなく沈没した。船長ほか2人が死亡し、1人が行方不明となった。一時期、同船からは燃料油などが流出し、付近一帯海域に汚染を生じさせた。9月18日、この事故の海難審判が結審となり、間もなく裁決が言い渡される見通しである。沈没したゴールドリーダーから、さらなる油の流出を危惧する漁業者らは、船内に残された油の抜き取り作業を強く求めているが実現には至っていない。
(所見)
各船とも見張り不十分であったため、接近してくる船舶を早期に発見することができず、衝突を回避するための処置が遅れたことが原因の一つであると感じました。
航路航行の際に船長が昇橋しなかったこと、無線の聴取がされていなかったこと、当直体制が確立されていなかったことなど、副次的要因もいくつか見出せます。船内環境の整備の必要性を改めて思い知らされました。

2)第58寿和丸海難(2008.6.23)
本年6月23日午後1時30分ころ、千葉県・犬吠崎の沖合の太平洋上で、福島県・いわき市の巻き網網漁船、第58寿和丸(135トン)”が転覆・沈没、4人の死者と13人の行方不明者が発生した。
同丸は僚船とともに漁を中断し、パラシュート状のシーアンカー(パラシュートアンカー)を使用して漂泊中の出来事だった。
事故原因については、当初、三角波による転覆ではないかなどと報じられたが、船体は約5,000メートルの深海底に沈んでいるものと見られ、今のところ特定には至っていない。同丸が所属する小名浜機船底曳網漁協などは、署名活動などを通じ、事故原因究明のための潜水調査の必要性を訴えている。
(所見)
この海難の原因については、潜水艦との衝突説なども報じられました。しっかりとした科学的根拠に基づく原因究明を行なわなければ、今後の海難事故防止につなげることはできません。運輸安全委員会による調査も継続中ですが、私たちのような調査研究機関も、あらゆる可能性を視野に入れ、確かな情報をもとに科学的に検証しなくてはならないと思います。

3)わかしまね海難(2008.10.8)
本年10月8日午後6時45分ごろ、鳥取県・境港市の境港の入口付近において、沖合いから入港中のわかしまね(島根県所有の漁業実習船/196総トン)と、出漁のため境水道から出航中の第22事代丸(巻網漁船/222トン)が衝突し、わかしまねが沈没した。
第22事代丸の船長は出航前まで他の乗組員と境港市内の飲食店で飲酒していたと報じられた。一方、わかしまねの船長は、出航する第22事代丸を航海灯で確認していたが、ほかの乗組員に十分な見張りをさせていなかったと報じられた。
 わかしまねはその後引き揚げられたが、廃船処分とすることが決定した。事故原因については、運輸安全委員会の調査が継続中である。
(所見)
飲酒操船をしないなどの法律事項は必ず守るべきです。一方、練習船は教育という大切な使命があり、状況次第では操船に集中できないケースも考えられます。しかし、両方を無難にこなしてこそ、大切な生徒を預かった教育機関のあるべき姿だと考えます。

(全体所見)
船舶の安全運航に関しては、技術や知識面でどんなに優れている人材を集めても、全体としてしっかりと組織化され、機能的なチームが構築されていない限り、十分な能力を発揮できないものと思います。
逆に、こうしたチームの安全運航面での能力は、個人の能力を足し合わせたもの以上になると思います。理想的な船内環境を整備することは難しいかもしれません。しかし、海難の原因を明らかにし、それをより多くの海技者が把握し、共通認識として携えることは、優れたチームの育成にもつながると思います。正に海難防止の第一歩なのではないでしょうか。
大自然である海の上では、人間の能力では対応できないことも数多く起こるかと思います。海との最も良い付き合い方を研究の成果として多くの方々に提示することができるよう、私は一生懸命努力していきたいと思います。
那覇港(那覇ふ頭)道路(空港線)航行船舶安全対策[2008年11月17日(Mon)]
那覇の空港地区の交通渋滞(国道58号線)を緩和するために那覇港の水路の海中に沈埋函(1函:長さ約90m幅約40m)を埋めてバイパス道路を作る事業で実施されております。この工事が那覇水路を横断する工事となりますので、海上工事区域の設定で、この水路を航行する船舶交通に影響がありますので、工事及び通行船舶の安全が十分保持されるための安全対策をとる必要があります。
沈埋函を8函埋めて道路を作成する予定で、現在7函埋めておりまして、平成21年度に残りの1函を埋めることで完成となっております。
那覇水路は平常でも航路幅が130mと狭い水路でありまして、工事中には航路幅が110mとなることもありました。このような航路で5,000総トンクラスのフェリーが朝夕に通航しておりまして、安全性が詐害される状況になりかねないのです。
そのため当協会が代替航路の安全対策、また航路標識変更工事中の安全対策などいろいろと検討してきました。
この沈設工事の一般船舶と作業船等との安全対策、また水路利用者の理解を得るために協議会や幹事会を開催実施してきました。
本年11月に、この最後の沈埋函の沈設工事に向けての協議会もほぼ終わりまして、いよいよ約2年後の道路の開設されるのを待つばかりとなりました。
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