準輻輳海域における航行安全確保に関する調査[2011年01月13日(Thu)]
「準輻輳海域における航行安全確保に関する調査」第3回委員会
日本海難防止協会主催による「第3回 準輻輳海域における航行安全確保に関する調査委員会」を12月1日(水)に日本財団ビルの会議室で開催しました。東京海洋大学 今津副学長(委員長)をはじめ海上保安大学校 長澤名誉教授ら学識経験者5名、海事関係者12名、国土交通省総合政策局総務課1名、海上保安庁交通部2名、海上保安庁海洋情報部1名、第三管区・第四管区・第五管区海上保安本部 交通部長ほか数多くのオブザーバーの方にご参加頂きました。
今回の調査委員会では、前回の委員会終了後に調査した漁業協同組合におけるヒアリング調査結果を追加整理すると共に、AIS非搭載義務船舶である総トン数500トン未満の運航船舶に対して自主的にAISを搭載している内航船社にAIS導入のきっかけや航行安全面・船舶運航面におけるAIS利用方法、AISに対する要望、船舶におけるAISの活用状況をヒアリング調査しました。また、日本船長協会が設置する自主分離通航帯付近を中心とする海域についてAIS航跡データの分析を行い船長別に通航分布を調べると共に、船舶の目的地別に航跡を色分けすることで東京湾・伊勢三河湾・大阪湾への入出湾状況に応じた船舶のルートを明らかにし、進路交差状況を調査しました。
調査結果から見えてきた意外な点として、40年以上も前に日本船長協会によって設定された自主分離通航帯の位置が漁船の操業場所を上手く避けて設定されており、仮に全ての商船がこの分離通航帯を航行することになれば漁船と商船の住み分けが可能となる可能性があることが分かりました。実際には内航船は航行区域による制限を受けるために目的地への直行ルートではなく、陸地から20マイルの距離に沿って航行している点や、船舶の堪航性の制限から沖合を航行することが出来ず、沿岸沿いを漁船の操業と競合する状態で航行している状況が浮き彫りになりました。従来から海上交通の安全性を考えるとき、漠然と漁船vs商船という構図を思い描きがちでしたが、今回の調査から海域利用に関しては漁船vs中小型船vs大型船という構図となっている現状が明らかになりました。
今後の準輻輳海域を中心とした日本沿岸域における安全対策としては、一般船舶同士あるいは一般船舶と漁船との間で多発する衝突海難のリスクを減少させる方策として、船舶交通の整流化が考えられます。現在日本船長協会による自主分離通航帯は主要沿岸域で設定されてはいるものの、法的拘束力を有していないために、船舶交通の整流化効果が限定的となっている現状があります。各海域ではこれまでに行ったAIS航跡データの分析や漁業協同組合・内航船に対するアンケート・ヒアリング調査結果等から、一律的な対応策では整流化を図ることは困難であり、それぞれの海域に応じた分離通航帯の位置・形状・幅員の検討、そして漁業関係者との調整が必要となります。
今回の調査では現在IMOで議論されている仮想航路標識の将来的な利用を含め、今後安全対策を検討する際に海域毎に検討することが求められる留意すべき事項を整理することができました。
次回委員会は2月8日(火)に開催予定です。
日本海難防止協会主催による「第3回 準輻輳海域における航行安全確保に関する調査委員会」を12月1日(水)に日本財団ビルの会議室で開催しました。東京海洋大学 今津副学長(委員長)をはじめ海上保安大学校 長澤名誉教授ら学識経験者5名、海事関係者12名、国土交通省総合政策局総務課1名、海上保安庁交通部2名、海上保安庁海洋情報部1名、第三管区・第四管区・第五管区海上保安本部 交通部長ほか数多くのオブザーバーの方にご参加頂きました。
今回の調査委員会では、前回の委員会終了後に調査した漁業協同組合におけるヒアリング調査結果を追加整理すると共に、AIS非搭載義務船舶である総トン数500トン未満の運航船舶に対して自主的にAISを搭載している内航船社にAIS導入のきっかけや航行安全面・船舶運航面におけるAIS利用方法、AISに対する要望、船舶におけるAISの活用状況をヒアリング調査しました。また、日本船長協会が設置する自主分離通航帯付近を中心とする海域についてAIS航跡データの分析を行い船長別に通航分布を調べると共に、船舶の目的地別に航跡を色分けすることで東京湾・伊勢三河湾・大阪湾への入出湾状況に応じた船舶のルートを明らかにし、進路交差状況を調査しました。
調査結果から見えてきた意外な点として、40年以上も前に日本船長協会によって設定された自主分離通航帯の位置が漁船の操業場所を上手く避けて設定されており、仮に全ての商船がこの分離通航帯を航行することになれば漁船と商船の住み分けが可能となる可能性があることが分かりました。実際には内航船は航行区域による制限を受けるために目的地への直行ルートではなく、陸地から20マイルの距離に沿って航行している点や、船舶の堪航性の制限から沖合を航行することが出来ず、沿岸沿いを漁船の操業と競合する状態で航行している状況が浮き彫りになりました。従来から海上交通の安全性を考えるとき、漠然と漁船vs商船という構図を思い描きがちでしたが、今回の調査から海域利用に関しては漁船vs中小型船vs大型船という構図となっている現状が明らかになりました。
今後の準輻輳海域を中心とした日本沿岸域における安全対策としては、一般船舶同士あるいは一般船舶と漁船との間で多発する衝突海難のリスクを減少させる方策として、船舶交通の整流化が考えられます。現在日本船長協会による自主分離通航帯は主要沿岸域で設定されてはいるものの、法的拘束力を有していないために、船舶交通の整流化効果が限定的となっている現状があります。各海域ではこれまでに行ったAIS航跡データの分析や漁業協同組合・内航船に対するアンケート・ヒアリング調査結果等から、一律的な対応策では整流化を図ることは困難であり、それぞれの海域に応じた分離通航帯の位置・形状・幅員の検討、そして漁業関係者との調整が必要となります。
今回の調査では現在IMOで議論されている仮想航路標識の将来的な利用を含め、今後安全対策を検討する際に海域毎に検討することが求められる留意すべき事項を整理することができました。
次回委員会は2月8日(火)に開催予定です。



