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平松 憲二
アセアンの海洋汚染防止への協力 (06/04)
mami
会長挨拶 (04/10)
2010年度 海事の国際的動向に関する調査研究[2011年05月02日(Mon)]
2010年度 海事の国際的動向に関する調査研究 が公開されました。

1 委員会の開催
[海上安全]
5月7日 第1回海事の国際的動向に関する調査研究委員会
7月16日 第2回海事の国際的動向に関する調査研究委員会
11月10日 第3回海事の国際的動向に関する調査研究委員会
2月28日 第4回海事の国際的動向に関する調査研究委員会
[海洋汚染防止]
9月17日 第1回海事の国際的動向に関する調査研究委員会
1月18日 第2回海事の国際的動向に関する調査研究委員会
2 国際会議への出席・調査研究の実施等
下記会議参加に当たっては、政府代表を補佐するとともに、担当議題に関しあらかじめ指定された対処方針に従い、我が国意見の反映に努めた。また、会議全般の動向を把握し、国際情報及び関係資料の収集を行った。
[海上安全]
5月10日〜21日 IMO第87回海上安全委員会 (MSC87)
7月26日〜30日 IMO第56回航行安全小委員会 (NAV56)
11月24日〜12月3日 IMO第88回海上安全委員会(MSC88)
3月5日〜13日 IMO第15回無線通信・捜索救助小委員会(COMSAR15)
[海洋汚染防止]
9月27日〜10月1日 IMO第61海洋環境保護委員会(MEPC61)
2月7日〜2月11日 IMO第15回ばら積み液体及びガス小委員会(BLG15)
また、最新の海事の国際的動向調査として、以下の調査を実施した。
6月23日〜25日 上海における船舶動静把握システムに関する調査
1月23日〜28日 シンガポールにおける海賊問題に関する調査
3月13日〜15日 欧州における海上安全に関する調査

関連する成果物
海事の国際的動向に関する調査研究事業報告書(海上安全)
海事の国際的動向に関する調査研究事業報告書(海洋汚染防止関係)


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2010年度 準輻輳海域における船舶航行安全確保に関する調査研究[2011年04月21日(Thu)]
2010年度 準輻輳海域における船舶航行安全確保に関する調査研究 が公開されました。

平成21年度の調査研究では、船舶交通が集中し海難が多発する東京湾、伊勢湾および大阪湾を結ぶ太平洋沿岸海域(準輻輳海域)と北海道南岸・九州北岸海域を対象に、交通海難の発生状況、要因分析、船舶通航状況等を解析するとともに、AIS(船舶自動識別装置)の活用状況の調査、船舶の動静監視と情報提供、船舶交通の整流化の検討を行った。
平成22年度の調査研究では、過年度の検討結果を踏まえ、AISを活用して新たな対策を講ずべき準輻輳海域を対象に、船舶交通流等の航行環境について精緻に分析するとともに、自主分離通航帯の見直しや仮想航路標識の活用、AISを活用した船舶動静監視や情報提供、進路誘導等による交通整流化等について、総合的な調査研究を行って準輻輳海域における航行安全対策の提言を取り纏めた。

準輻輳海域における安全対策の提言
(1)AISの活用
@海上交通センターでレーダによる航行船舶の動静監視を行っているが、このエリア外でも、AIS搭載船舶に対しては、AIS陸上局から乗揚防止等を図るための動静監視や情報提供を行うことが可能であり、AISの普及とともに動静監視対象海域が拡大された場合には安全性の向上が期待される。
A日本では、500GT以上の船舶に搭載義務が課せられているが、海外ではSOLAS条約で定める基準より搭載義務船舶の範囲を拡大する傾向がみられる。こうした中、搭載義務のない船舶でもAISを活用することによる安全性向上への寄与が認識され、我が国でも搭載船舶が徐々に増加している。一方で、普及促進にはAISの有効性等の周知とともに利用者のニーズに合致した機能改善等が望まれる。
BAIS普及促進の阻害要因の一つとして機器の価格が高額であることがあげられ、低廉化が期待される。普及促進の方策として、国による補助金や保険料削減等のインセンティブの導入が考えられ、また、簡易型AISは価格が安価であり、その普及が期待される。
CAIS搭載船舶が増加すれば、電波混信やAISを経由する情報過多が表示画面を占有する等の問題の発生が懸念されることから、あらかじめ対策を検討しておく必要がある。

(2)船舶の動静監視と情報提供
@準輻輳海域における衝突海難は、商船対漁船がその半数以上を占めており、商船の航行エリアと漁船の操業エリアが重複する海域では、衝突のリスクが飛躍的に高まることから、沿岸海域における操業漁船に関する情報提供が望まれている。
AAISによる動静監視では、対象船がAIS搭載船舶に限定されることから、AISを搭載していない漁船の動静把握には、準輻輳海域でのレーダによる監視エリアの設定が必要になるが、その設定に当たっては、湾内等の限定された海域とは異なり、沿岸海域は気象・海象、レーダ性能等による制限を受けることを考慮しなければならない。
B準輻輳海域では、AISのメッセージ機能があまり利用されておらず、今後は、気象・海象情報、工事情報、水路情報等の他、海域内のすべての船舶に同一情報を送信するような活用方法を考慮することが望まれる。
C海上交通センター等による情報提供では、AISメッセージとともにVHF等の併用が効果的である。
D漁船の操業情報については、リアルタイム情報として取得するだけではなく、水路誌等の刊行物やパンフレット等により、対象海域の漁船操業活動の特徴をまとめた一般情報として提供する方法が考えられる。

(3)船舶交通の整流化
船舶同士の衝突海難等が多い海域においては、船舶同士の衝突リスクを減少させる方法として船舶交通の整流化が考えられる。
このため、日本船長協会が推奨している「自主分離通航帯」をIMO(国際海事機関)で採択し、法的拘束力を持たせ、船舶交通を整流化することが考えられるが、沿岸通航帯を設置する場合には、長さ20m以上の船舶がすべて対象となり、小型船まで沖合い航行を課すことになる等の問題がある。
しかし、調査結果を見ると、比較的船型の小さな船舶は沿岸域を航行する状況であり、すべての船舶を対象にしたIMOの分離通航方式の採用は航行実態にそぐわない。そこでIMOの採択によらず、沿岸通航帯の利用制限や小型船の沖合航行等の問題点を解消するため、一定の船舶のみを対象とした通航路を設定することも考えられる。
また、分離通航帯を設定する場合、通航路の側端や推薦航路を設定する場合の中央を表示したり、主要な変針点を示す場合に、「仮想航路標識」の機能を活用することが考えられる。日本航路標識協会が検討した「仮想航路標識」の活用に関する実証実験結果により、その有効性も確認されている。なお、「仮想航路標識」の活用にあたっては、IMOでの国際ルール化が必要である。

関連する成果物
準輻輳海域における航行安全確保に関する調査報告書


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2010年度 マ・シ海峡航行援助施設基金への支援[2011年04月21日(Thu)]
2010年度 マ・シ海峡航行援助施設基金への支援 が公開されました。

マ・シ海峡における主要な51基の航行援助施設の維持・更新を図るプロジェクトは、沿岸三国(インドネシア、シンガポール、マレーシア)が管理する航行援助施設基金がこれらの業務を担っている。当協会としては、日本財団からの支援を受けて、同基金に対し、マ・シ海峡における航行援助施設の維持・更新事業を支援した。

関連する成果物
マ・シ海峡航行援助施設基金への支援事業報告書


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2010年度 アジア海上保安機関長官級会合の開催[2011年04月21日(Thu)]
2010年度 アジア海上保安機関長官級会合の開催 が公開されました。

 平成22年10月14日及び15日の両日、中国(上海)において、アジアの17カ国1地域(23機関)の海上保安機関による「アジア太平洋長官級会合及び実務者会合」を開催した。

 実務者会合においては、日本から海上保安機関職員の教育に関する報告が行われたほか、キャパシティビルディングリスト、コンタクトポイントリストの更新が行われ、さらに各国間での情報共有化及び意見交換促進をさらに進めることが合意された。同長官級会合では実務者会合の結果が報告されたほか、日本、中国、フィリピンからキャパシティビルディングに関する進捗報告が行われた。また今後の長官級会合の議題について、テーマを海上保安分野全般に拡大し、会合ごとにテーマを定めて集中的な議論を実施することで合意した。
さらに、第7回会合となる次回会合はベトナムで開催することが決定された。



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2010年度 ASEAN地域におけるHNS事故対応体制の強化支援[2011年04月21日(Thu)]
2010年度 ASEAN地域におけるHNS事故対応体制の強化支援 が公開されました。

1.アセアン海洋汚染防止プログラムの開催
平成22年11月18日及び19日に、フィリピン(マニラ)において、アセアン地域の8カ国の関係者を招き、フィリピンコーストガードと共催で「アセアン海洋汚染防止プログラム」を開催した。18日午前には海洋汚染防止セミナーを開催し、18日午後及び19日にわたって、HNS(有害危険物質)緊急時計画策定ワークショップを行った。

2.HNS事故対応専門家の研修の実施
平成23年1月17〜21日に東京において、アセアン地域のうちHNS緊急時計画の策定に関し具体的な計画のある5ヵ国から、事故現場で対応する組織の指揮官クラスの担当官各2名を東京に招聘し、IMOが作成したHNSトレーニングマニュアルに基づく講義、横浜海上防災基地における化学防護衣等取扱い訓練、防除資器材メーカーにおけるゲル化剤使用実験、防護衣販売代理店における資機材の視察等の研修を実施した。


関連する成果物
アセアン地域におけるHNS事故対応体制の強化支援報告書
アセアン地域におけるHNS事故対応体制の強化支援報告書 [別冊]


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2010年度 海難防止等情報誌の発行・配布[2011年04月21日(Thu)]
2010年度 海難防止等情報誌の発行・配布 が公開されました。

記事の構成については、関係者、有識者からの寄稿記事のほか、座談会や現場取材、編集レーダーへの読者の意見掲載を行うなどして、読者目線を忘れない編集に努めた。
本年度も、引き続き、海難の撲滅と海洋環境の保全、さらには、海事思想の普及と高揚を図ることを目的に事業を推進してきた。
情報誌「海と安全」を媒体として、現場にとって有意義かつ必要な情報を周知することが、海難と海洋汚染防止に極めて有効と位置付け、関係者に年4回、各6,000部の発行・配布を行った。

1.夏号5月25日発行(545)B5判(56P)特集「AISと船舶の安全運航」
2.秋号8月25日発行(546)B5判(64P)特集「漁船の海中転落とライフジャケット」
3.冬号11月25日発行(547)B5判(70P)特集「21世紀を見すえた外航船員の確保育成」
4.春号2月25日発行(548)B5判(64P)特集「船陸間情報通信の現状と将来」

関連する成果物
No.545 特集「AISが安全運航に果たす役割」
No.546 特集「漁船の海中転落とライフジャケット」
No.547 特集「21世紀を見すえた外航船員の確保・育成」
No.548 特集「船陸間情報通信の現状と将来」


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2010年度 「漂着ごみ」の油化に関する調査及びモデル地区の設立[2011年04月21日(Thu)]
2010年度 「漂着ごみ」の油化に関する調査及びモデル地区の設立 が公開されました。

海岸に漂着する大量のごみは、美観を損ねるばかりか、生態系まで破壊するような影響を与えること等から、長年にわたり問題視されてきた。海岸漂着ごみのうち、容積率で約40%を占めると言われる発泡スチロール類は、油化装置によってスチレンを主成分とするエネルギーに変換することが可能である。スチレンはガソリンなどと同じ引火性の液体で、ディーゼル機関、ボイラー、焼却炉等の燃料として利用することができる。
本調査研究は、こうした離島の海岸漂着ごみ問題に関して、回収した海岸漂着ごみを油化装置によってスチレンに変換し、これを島内でエネルギーとして有効活用することにより、離島の海岸の美化及び島内の省エネの促進といったエネルギー問題を解決しようとするものである。
平成21年度及び22年度において、「宝の島プロジェクト」と呼称し、沖縄県竹富町の鳩間島をモデル地区として、島内に設置した屋内固定式の油化装置を用いて、漂着ごみ処理に係る一般市民主導・参加型の社会実験を実施した。

この社会実験の結果、海岸漂着ごみの新たな処理システムが、離島における海岸の美化や島内の省エネに貢献するばかりか、ごみ由来のエネルギーを利用した起業を通じ、過疎化・高齢化など離島が抱える社会問題の解決にも寄与する等様々な面で効果をもたらすことが実証された。
本システムが海岸漂着ごみ問題やエネルギー問題、過疎化や高齢化などに悩む全国の離島に広まり、いずれも採算性を伴う実稼動や地域の活性化につながることが期待できるものと考えている。
なお、平成23年度からは、利便性や機動性を向上させた移動式の小型軽量油化装置を車両に搭載し、全国各地の離島の海岸を巡回する広域的な社会実験を予定しており、全国の離島海岸のさらなる美化及び島内省エネの促進、さらには“離島振興”にもつながる社会貢献を目指している。
なお、海岸に漂着する硬化プラスチック製の漁具やナイロン製の魚網など、発泡スチロール以外のプラスチック系の漂着ごみの油化について、神奈川県・産業技術センターと共同で調査研究を進めたところ、本調査研究で用いた油化装置は、下処理をすることにより、油化の可能性が高いことが認められている。

関連する成果物
「漂着ごみ」の油化に関する調査及びモデル地区の設立報告書


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準輻輳海域における航行安全確保に関する調査[2011年03月22日(Tue)]
「準輻輳海域における航行安全確保に関する調査」第4回委員会


日本海難防止協会主催による「第4回 準輻輳海域における航行安全確保に関する調査委員会」を2月8日(火)に海事センタービルの会議室で開催しました。東京海洋大学 今津副学長(委員長)をはじめ海上保安大学校 長澤名誉教授ら学識経験者4名、海事関係者11名、水産庁漁政部企画課1名、国土交通省総合政策局総務課1名、国土交通省海事局安全環境政策課1名、海上保安庁交通部2名、海上保安庁海洋情報部1名、第三管区・第四管区・第五管区海上保安本部 交通部長ほか数多くのオブザーバーの方にご参加頂きました。

今回の調査委員会では、AISを活用した船舶交通の新たな安全対策として、昨年度から引き続く2ヶ年目のまとめを以下の3点について整理し、準輻輳海域における安全対策の提言としました。

(1) 船舶におけるAISの活用 (2)船舶の動静監視と情報提供 (3)船舶交通の整流化

(1) 船舶におけるAISの活用

@ 現在輻輳海域においては海上交通センターによりレーダによる航行船舶の動静監視が行われていますが、レーダ・サービスエリア外においてもAIS陸上局で電波の受信可能な海域を航行するAIS搭載船舶に対して乗揚防止等を図る動静監視や情報提供を行うことが可能であることから、AISの普及が進めば動静監視対象が拡大される可能性も考えられます。

A 日本においては500GT以上の船舶に搭載が義務付けられていますが、海外においてはSOLAS条約で定められたAIS搭載義務をより厳しい50GT以上の船舶としたり、長さ15m以上の船舶とするなど、搭載義務を拡大している現状があります。このような国際情勢を踏まえれば日本においても搭載義務船舶を拡大することも考えられます。
一部の内航船社においてはAISの機能を活用することにより安全性の向上効果が認識され、搭載義務のない500GT未満の船舶においても新造を期に搭載し始める船舶が徐々に増加しています。しかし、任意での搭載では一部の船舶に限定されることから、搭載普及促進にはAISの有効な利用法やメリット等を周知すると共に、英語で表記される等といった機能面の改善や、利用者のニーズを汲み取った技術開発が望まれます。
(平成20年7月1日に「航海用具の基準を定める告示」の一部改正が施行され、レーダ画面上におけるAIS情報表示に関する要件等が追加された。
ただし、平成24年11月30日までに無線局の免許を取得したレーダで500GT未満の内航船に備えられるものは、従来どおりそのまま使用することができる。)

B AIS普及の阻害要因として本体価格が高額であることも挙げられます。普及と共に低廉化が期待されますが、国による補助金や保険料削減等のインセンティブの導入が普及促進の一助になると考えられます。最近国内で販売が始まった簡易型AISの普及については、価格が安価なことからAISの有効性の認知が高まってくれば普及が期待されます。

C また、AIS搭載船舶増加によって懸念される電波混信やAISを経由する情報過多が表示画面を占有する等の懸念も予測されます。そこでこれら普及に伴って発生する恐れのある新たな問題についても、その影響を評価し未然に防ぐためにも、予め対策を検討しておくことが求められます。

(2) 船舶の動静監視と情報提供

@ 過去の委員会でも明らかとなったように、準輻輳海域における衝突海難の多くは商船対漁船がその半数以上をしめています。商船の航行エリアと漁船の操業エリアが重複する海域では衝突のリスクが高まることから、商船運航者は航路選定にあたって操業漁船の有無を重視する傾向が強く、沿岸域における操業漁船に関する情報提供を望んでいます。

A 500GT以上の船舶が搭載しているAISに比べ簡易型AISは安価ではあるものの、漁業関係者には依然として漁獲高に直結する機器ではないことから、不必要に高額な機器との印象が強く、AIS搭載を普及させることは困難な状況となっています。AISによる動静監視では、対象船がAISを搭載している船舶に限定されることから、AISを搭載していない漁船の動静を把握し商船に対して漁船の操業位置情報を提供する等の注意喚起が必要になります。そのためには、現在輻輳海域に限定されるレーダによる監視エリア拡張することが必要になります。
 しかし、準輻輳海域でレーダによる監視エリアを拡張するには湾内等の限定された海域とは異なり、海域により気象・海象及びレーダの性能による制限を受けることを考慮しなければなりません。実際にどの程度の船型の動静把握が可能であるか検証が必要になります。

B AISメッセージの活用方法としては、アンケート調査結果からあまり利用されていない現状が見えてきました。今後は気象・海象情報、工事情報、水路情報等の他、海域内のすべての船舶に同一情報を送信するような活用方法を考慮することが望まれます。

C また、海上交通センターより乗揚等を回避するために行われる情報提供においても、AISメッセージとともにVHFが併用されて海難回避に至った例が多い現状があります。乗揚等回避のための情報提供など、緊急性の高い内容については、従来どおり、VHFや船舶電話を積極的に活用した情報提供を行う必要があります。

D 漁船の操業情報については、漁船の位置をリアルタイム情報として取得することに拘泥することなく、水路誌等の刊行物やパンフレット等により、対象海域の漁船操業活動の特徴をまとめた一般情報として提供する方法が考えられます。

(3) 船舶交通の整流化

@ 船舶同士の衝突海難等が多く、安全対策を講ずべき海域においては、船舶同士の衝突リスクを減少させる方法として船舶交通の整流化が考えられます。現在日本船長協会が推奨している自主分離通航帯はIMOに採択されたものではないことから、法的拘束力を持たず、分離通航帯に従って航行する船舶と従わない船舶の航行が混在する等の問題が生じています。
従って、一つにはこれら「自主分離通航帯」を、IMOで採択し、法的拘束力を持たせることにより、船舶交通の整流化の実効性を担保することが考えられます。
しかし、これには以下の問題があることを念頭に置いておく必要があります。
● 沿岸通航帯を設置する場合、長さ20m以上の船舶が全て対象となり、小型船にまで沖合航行を課すこと
● 関係者との調整 等

A 二つ目には、沿岸通航帯の利用制限や小型船の沖合航行等の問題点を解消するため、一定以上の船舶にのみ、通航路に沿って航行させる新たな通航方式を採用することが考えられます。
調査結果を分析から、比較的船型の小さな船舶は沿岸域を航行する状況が判っており、すべての船舶を対象とした分離通航方式の採用は航行実態にそぐわない状況があります。そこでIMOの採択によらず、一定の船舶のみを対象とした通航路を設定することが考えられます。具体的には法規制面での整備が課題として存在しますが、分離通航帯を海図に表記することでその海域を航行する船舶に通航路の存在を知らしめる効果が期待できるようになると考えられます。

B 分離通航帯を設定する場合、通航路の側端を示したり、推薦航路を設定する場合の中央を表示したり、主要な変針点を示す場合において、「仮想航路標識」の機能を活用することが考えられます。調査にあたり日本航路標識協会からご提供いただいた「仮想航路標識」の活用に関する実証実験結果により、その有効性も確認されています。今後、沿岸域において分離通航方式を採用するにあたっては、「仮想航路標識」を活用した通航路の明示も考えられます。
「仮想航路標識」の活用にあたっては、国際的なルールの策定等IMOでの審議内容を踏まえて検討する必要があり、世界標準を利用することが求められます。国際的な流れを捉えつつ安全対策の構築を検討していくことが望まれます。


  2ヶ年にわたる調査から、全国の準輻輳海域における概要をとりまとめることができました。今後はこの成果を踏まえながら、個別の準輻輳海域に対して、最適な安全対策の構築を検討していくことが望まれます。
準輻輳海域における航行安全確保に関する調査[2011年01月13日(Thu)]
「準輻輳海域における航行安全確保に関する調査」第3回委員会

 日本海難防止協会主催による「第3回 準輻輳海域における航行安全確保に関する調査委員会」を12月1日(水)に日本財団ビルの会議室で開催しました。東京海洋大学 今津副学長(委員長)をはじめ海上保安大学校 長澤名誉教授ら学識経験者5名、海事関係者12名、国土交通省総合政策局総務課1名、海上保安庁交通部2名、海上保安庁海洋情報部1名、第三管区・第四管区・第五管区海上保安本部 交通部長ほか数多くのオブザーバーの方にご参加頂きました。

 今回の調査委員会では、前回の委員会終了後に調査した漁業協同組合におけるヒアリング調査結果を追加整理すると共に、AIS非搭載義務船舶である総トン数500トン未満の運航船舶に対して自主的にAISを搭載している内航船社にAIS導入のきっかけや航行安全面・船舶運航面におけるAIS利用方法、AISに対する要望、船舶におけるAISの活用状況をヒアリング調査しました。また、日本船長協会が設置する自主分離通航帯付近を中心とする海域についてAIS航跡データの分析を行い船長別に通航分布を調べると共に、船舶の目的地別に航跡を色分けすることで東京湾・伊勢三河湾・大阪湾への入出湾状況に応じた船舶のルートを明らかにし、進路交差状況を調査しました。

 調査結果から見えてきた意外な点として、40年以上も前に日本船長協会によって設定された自主分離通航帯の位置が漁船の操業場所を上手く避けて設定されており、仮に全ての商船がこの分離通航帯を航行することになれば漁船と商船の住み分けが可能となる可能性があることが分かりました。実際には内航船は航行区域による制限を受けるために目的地への直行ルートではなく、陸地から20マイルの距離に沿って航行している点や、船舶の堪航性の制限から沖合を航行することが出来ず、沿岸沿いを漁船の操業と競合する状態で航行している状況が浮き彫りになりました。従来から海上交通の安全性を考えるとき、漠然と漁船vs商船という構図を思い描きがちでしたが、今回の調査から海域利用に関しては漁船vs中小型船vs大型船という構図となっている現状が明らかになりました。

 今後の準輻輳海域を中心とした日本沿岸域における安全対策としては、一般船舶同士あるいは一般船舶と漁船との間で多発する衝突海難のリスクを減少させる方策として、船舶交通の整流化が考えられます。現在日本船長協会による自主分離通航帯は主要沿岸域で設定されてはいるものの、法的拘束力を有していないために、船舶交通の整流化効果が限定的となっている現状があります。各海域ではこれまでに行ったAIS航跡データの分析や漁業協同組合・内航船に対するアンケート・ヒアリング調査結果等から、一律的な対応策では整流化を図ることは困難であり、それぞれの海域に応じた分離通航帯の位置・形状・幅員の検討、そして漁業関係者との調整が必要となります。

 今回の調査では現在IMOで議論されている仮想航路標識の将来的な利用を含め、今後安全対策を検討する際に海域毎に検討することが求められる留意すべき事項を整理することができました。

 次回委員会は2月8日(火)に開催予定です。
準輻輳海域における航行安全確保に関する調査[2010年10月20日(Wed)]
「準輻輳海域における航行安全確保に関する調査」第2回委員会


 日本海難防止協会主催による「第2回 準輻輳海域における航行安全確保に関する調査委員会」を9月14日(火)に日本財団ビルの会議室で開催しました。東京海洋大学 今津副学長(委員長)をはじめ海上保安大学校 長澤名誉教授ら学識経験者5名、海事関係者13名、国土交通省総合政策局総務課1名、海上保安庁交通部2名、海上保安庁海洋情報部1名、第三管区・第四管区・第五管区海上保安本部 交通部長ほか数多くのオブザーバーの方にご参加頂きました。

 今回の調査委員会では、先ず全国漁業協同組合連合会の協力の下、太平洋岸に位置する漁業協同組合において実施したヒアリング調査結果を整理しました。調査内容として操業する漁船の漁法、漁場、操業時期、操業時間、そして漁船の大きさや乗組員数を基礎調査内容として、その他にヒヤリハット体験や操業に使用する情報の種類や入手経路等を尋ね、単にアンケート調査のような一律な書面ではなかなか回答頂けない漁業者の意見をまとめました。留意点として、調査にあたってヒアリング対象者が限定された点、また、調査した漁船操業場所が現在の状況を反映してはいるものの恒久的なものではない点が挙げられますが、今後の安全対策を検討するにあたって貴重な資料となりました。単に関係者に対する参考資料としての役割ばかりでなく、AIS航跡解析において漁船操業時間と商船通航時間帯の重複の有無を検証する際にも重要な役割を果たすデータとなることが見込まれました。引き続き太平洋岸の漁業協同組合に協力を仰ぎながらヒアリング調査を続け、情報データでカバーすることができる海域を広げていく予定です。

 次にAIS航跡データの解析例を整理しました。昨年度の検討結果では商船の航跡を通過点ごとについて解析しましたが、今回は時間ごとに商船の通航密度を解析しました。これにより漁船操業時間と商船交通の輻輳する時間帯にズレがあることを把握することができました。主に日本船長協会が設置する自主分離通航帯付近の海域においてAIS航跡データを時間ごとに分析することで、船舶交通の安全対策に寄与できる解析結果に結び付けられるデータが得られるのではないかと期待される結果が示されました。

 最後に、過年度において財団法人 日本航路標識協会が調査した研究内容に基づき、既存の情報整理と確認を行うとともに、現在IMOに日本から提案中である新たな仮想航路標識に関する紹介が行われました。AISを使用した安全対策として現在技術的に可能であることが多くあることを認識しつつ、今後の動向として基本的な技術は国際的に共通にしておかなければならず、安全対策の構築に向けて議論していくには世界的な情勢を見据えながら最新の情報を常に確実に把握していくことの必要性を確認しました。

 次回委員会は12月1日に開催予定です。

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