昨年10月にフィリピン東方沖で発生した香港籍貨物船「エメラルド・スター」(3万3205d、26人乗り組み、E号)の沈没海難事故で乗組員5人を救助した貨物船「SM SAMARINDA」(5万1265d、20人乗組み、S号)に対し3月9日、S号の運行会社であるKLCSM社(韓国・釜山)で十一管本部から感謝状と盾が手渡された。
この事故は昨年10月13日午前2時ころ、ニッケル鋼5万5000dを搭載しインドネシアから中国に向け航行中のE号が、フィリピン東方沖約280`で、積荷が液状化したことにより復元力を失い沈没し、乗組員全員(全員がインド人)が遭難したもの。
海上保安庁から巡視船や固定翼機などが救助に向かった。船体傾斜から沈没まで短時間であり、事故当時は夜間のうえ、台風20号の影響で海が大荒れとなっていたため、一刻も早い救助が求められた。
付近を航行していたS号乗組員は、E号からの救助要請を受けて直ちに現場に向かい、暗夜荒天の困難な状況下で、救命浮環とロープを使って波間に見え隠れするE号乗組員5人を救助した。
感謝状は在釜山総領事館の近藤洋介領事から、朴チャミンKLCLSM社代表理事に手渡された。
同社のコメントは以下の通り。
「台風の影響もあり、かなりの悪条件だったが、5人の尊い命を救うことができてうれしい。海上保安庁から、感謝状と盾までいただき本当に光栄である。数年前、我が社が管理運行する船舶が、韓国を出港しオーストラリアに向かう途中、沖縄本島沖で救急患者が発生し巡視船に救助してもらったこともあり、海上保安庁とは深いつながりがあると思っており、この縁を大事にしていきたい」