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九州南西海域工作船事件20年 オンラインミュージアムを公開 [2021年12月22日(Wed)]

 2001年12月に発生した「九州南西海域工作船事件」から今年(2021年)12月22日でまる20年がたった。公財・海上保安協会では、これを機に、工作船事件の経緯や海上保安資料館横浜館(横浜市)に展示されている工作船関連資料などをデジタル映像で記録・展示する「海上保安資料館横浜館オンラインミュージアム」(日本財団助成事業)を12月22日から公開している。
 ミュージアムの意義などについて、石川裕己・海保協会会長(元海上保安庁長官)に聞いた。        
                                
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(オンラインミュージアムに展示されている工作船の画像)

――工作船事件とのかかわりは
 事件当時、私は国土交通省の鉄道局長をしていた。事件発生2日後の12月24日(月)午前、国交省の予算案を決める省議の場に、扇千景大臣(当時)が入いってくるや否や「あれを見せなさい」と職員に指示した。海保が撮影した工作船事件の映像がモニターに映し出され、国交省幹部たちが生々しい映像に見入ったことを記憶している。
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(石川裕己会長)

――工作船は海中から引き揚げられ、04年12月から海上保安資料館横浜館に展示された。
 工作船は、日本財団の助成などによって東京お台場の「船の科学館」で約9カ月間、展示された。その後、「常設展示が必要」ということで民間から集まった1億500万円の寄付をもとに、海保協会が横浜に資料館を建設し、展示した。私は同年7月に海上保安庁長官に就任し、12月の竣工式に永井浩海保協会会長らとともに出席した。お台場での展示に約163万人、横浜の資料館に362万人(2021年10月末まで)もの人たちが訪れた。計約525万人というのはすごい人数。国民の関心の高さを示した。
――資料展示の意義は
 事件そのものは、日本にとって公船(巡視船)が外国の船に本格的な銃撃を行った歴史的事件だが、工作船の展示には二つの意義があると思う。一つは、日本近海でこんな不審な船が徘徊していることを国民に知ってもらったこと。もう一つは、海上保安庁がしている仕事を理解してもらったことだ。工作船船尾の観音開き構造を見れば、この船が普通の船でないことは一目でわかる。
――ミュージアム開設の意義は
 工作船本体や展示品は20年経って老朽化している。貴重な歴史的資料をデジタル化して恒久保存する。またオンラインなので、横浜まで来なくても、ネットから世界中の人がアクセスできる。家庭のパソコンやスマホから見ることができる。
――ミュージアムでは工作船事件が海保の「警察」行動だったことを映像などで再現している。
 これは重要なことだ。工作船との攻防は「戦争」ではなく、海保は法律に沿って冷静に対処した。停船命令を出し、それでも逃走する不審船に対し上空や海面への威嚇射撃、さらに船尾への射撃と手順を踏んで対処した。
 相手が自動小銃やロケットランチャーまで撃ってきたので、海保は正当防衛射撃を行い、工作船が自爆、沈没した。
――工作船引き揚げの経緯も紹介している。
 90bの海底から引き揚げるのには多くの人々の苦労があった。船の中から出てきた証拠によって北朝鮮の工作船だと断定できた。
――最後に訴えたいこと
 ミュージアムには、海上保安大学で保存している巡視船「あまみ」の被弾した船橋の映像も展示している。これら貴重な資料の数々を、ぜひ多くの人に見てほしい。

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  (工作船に搭載されていた対空機関銃)

引き揚げ3.jpg
(工作船引き揚げ作業)

◎オンラインミュージアムへのアクセス
 オンラインミュージアムには、ここをクリックすればアクセスできる。また海上保安協会のHPからもアクセスできる。
海上保安資料館横浜館の展示物をストリートビュー形式で見学したり、工作船関係の貴重な写真をフォトギャラリーで鑑賞できる。また、工作船と巡視船との攻防を時系列を追って再現した映像を視聴できる。解説は日本語だが、今年度内に英語版も公開予定。
 ストリートビューでは、普段は公開されていない工作船の内部も見学できる。