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安全保障を強化  第3期海洋基本計画を閣議決定 [2018年05月29日(Tue)]

●日本の権益、深刻な脅威に直面

 政府は5月15日の閣議で、今後5年間の海洋政策の指針となる「第3期海洋基本計画」を決定した。
 日本周辺海域の情勢は中国の海洋進出、北朝鮮の核・ミサイル開発などによって一層厳しさを増し、日本の海洋権益は「これまでになく深刻な脅威・リスクにさらされている」と指摘。資源開発を重点とした従来の計画を転換し、海洋の安全保障の強化策を中核に展開する方針を掲げた。

 同計画は、海洋の諸施策を総合的・計画的に推進するために2007年に制定された「海洋基本法」に基づき、内閣総理大臣を本部長とする総合海洋政策本部が策定。08年3月から5年ごとに情勢の変化に応じて計画を見直している。

 今回の第3期海洋基本計画(全3部)の第1部では、海洋基本法が施行されてから10年間の諸施策を総括。最近の情勢を踏まえての「脅威・リスク」として、中国を念頭に「外国公船」による領海侵入や「外国軍艦」による領海内航行、「外国調査船」による我が国の排他的経済水域(EEZ)での調査活動のほか、北朝鮮漁船の違法操業や漂着、北朝鮮からの弾道ミサイル発射などを挙げた。

 さらに海外諸国に至るシーレーン(海上交通路)についても、海賊やテロ組織などによる不法行為のほか、中国による一方的な現状変更や既成事実化の試み、国際法上の根拠が不明な海洋権益に関する主張が展開されるなど「現状を放置すれば益々悪化していく可能性が高い」と指摘。その上で「総合的な海洋の安全保障」を政策の中核に据えて取り組む方針を掲げた。

 第2部では、今後5年間に総合的・計画的に推進すべき政策として「海洋の安全保障」をはじめ海洋の産業利用や海洋環境の維持・保全、「海洋状況把握(MDA)」の能力強化、海洋調査、北極政策の推進などの9テーマを選定。これらの計約370項目に及ぶ具体的施策を、実施主体となる府省名とともに列挙した。

 このうち、海上保安庁が関係する主なテーマと施策は次の通り。
【海洋の安全保障】海上法執行能力の強化、特に尖閣領海警備体制の緊急的整備▽弾道ミサイル発射時の迅速な情報手段の整備▽不審船・工作船の情報収集分析体制の強化と対応訓練の実施▽海上犯罪の未然防止、漂着・漂流船対応のための人員・体制・資機材の整備と関係機関との連携強化▽原発等の重要施設の監視警戒、特に東京五輪・パラリンピックでのテロ犯罪対応の体制整備▽人工衛星を利用する海洋監視体制の強化▽海上交通センターの機能充実と海難救助・海上防災体制の充実強化▽利便性の高い航海安全情報の提供と充実▽航路標識の耐震・耐波浪対策▽シーレーン沿岸国への海上法執行能力の向上支援、巡視船の派遣と共同訓練▽「アジア海上保安機関長官級会合」の主導、モバイル・コーポレーション・チームを活用した能力向上支援▽法とルールが支配する海洋秩序の維持・発展のために「世界海上保安機関長官級会合」(昨年9月開催)などの多国間の枠組みを活用した、基本的な価値観の共有化

【海洋調査】海洋権益の確保、海洋の総合的管理に必要な海底地形や地質、領海基線などの調査を継続

【離島の保全】低潮線データベースを維持・更新し、情報を一元的に管理する。

 第3部では、計画を着実に推進するために、総合海洋政策本部がその実務を担う総合海洋政策推進事務局と一体となって「政府の司令塔」としての機能を果たすこと。その役割と関係府省の取り組み方などについて記載している。             (小野信彦記者)
タグ:海上保安庁