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海上保安庁が「海難」の定義を見直し [2018年05月02日(Wed)]

◎民間組織による救助増に対応
◎「船舶事故(アクシデント)」と「インシデント」への区分も

 海で起きた船舶関連の事故について、海上保安庁は統計上の「海難の定義」を見直し、これまで同庁が「認知していなかった事案」も新たに「海難」として取り扱うことにした。
 民間組織などによる救助事案が近年増加し、同庁がすべての海難事案を把握しきれない現状から、外部に検討委員会を設けて海難事案の集約方法などを検討していた。
 さらに個々の海難事故についても、影響が大きな「船舶事故」(アクシデント)とそれ以外の「インシデント」に区分し、より効果的な安全対策を目指す。
同庁はこれまでも海難事案の時代の動向に合わせて統計上の定義を見直しており、今回が17年ぶり3回目の変更となる。

 「海難」のそもそもの定義は海難審判法(1947年法律第135号)で示され、@船舶の運用に関連した船舶または船舶以外の施設の損傷A船舶の構造、設備または運用に関連した人の死傷B船舶の安全または運航の阻害――が生じた場合とされる。

 これを基に、海上保安庁は1948(昭和23)年の開庁以来「海上保安庁による救助の必要性がある事案」を統計上の「海難」と定義してきた。
 その後66年からは、同庁の救助の必要性がない衝突や乗り揚げも「海難」に加え、さらに2001(平成13)年からは、同庁が118番通報などによって「認知したすべての事案」を「海難」に加えて、統計上も取り扱ってきた。
 
 ところが近年は、日本海洋レジャー安全・振興協会による「プレジャーボート救助事業」(BAN)のような民間救助組織の充実や、通報のない個人同士の救助などもあって、同庁が「認知し得ない事案」が増えてきた。
 そのため、海難の現況を把握するには「より幅広い事案の情報収集が必要となってきた」(同庁交通部安全対策課)。
 また従来の統計の方法では、大型船の衝突や旅客船の火災などといった影響の大きな重大事案から小型船の燃料欠乏といった事案まで、それぞれをすべて1件の海難事故として取り扱っていたことから、今後の安全・事故防止活動に活用するためにも、個々の事案の重大性に応じた区分が必要視されてきた。

 そこで同庁は昨年、海事関係の学識経験者8人をメンバーとする「海難調査及び防止対策のあり方検討委員会」(委員長、今津隼馬・東京海洋大学名誉教授)を設置。
 同委員会は今年1月25日に、従来の統計方法に対して▽民間救助組織に救助された事案など、これまで(同庁が)認知できなかった事案を「海難」として取り入れる▽船舶の運航に関連した損害や危険が発生した事案を「船舶事故」(アクシデント)、それ以外の事案を「インシデント」として区分する――ことなどの結論をまとめた。これを受けて、同庁は今年1月にさかのぼり海難事案を見直し、毎年の統計に集約していく。
                           (小野信彦記者)