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人事院総裁賞に小泉専門官 [2016年01月15日(Fri)]

トップ人事院賞.jpg

 国民の信頼を高めた国家公務員を表彰する平成27年度(第28回)人事院総裁賞に、海上保安庁海上保安試験研究センター化学分析課の小泉敏章(としあき)専門官(61)=写真=が輝いた。
海上犯罪の証拠品などの分析・鑑定業務に長年地道に取り組み、海上保安学校の教官として初任教育に尽力したことなどが認められた。
 個人部門で一人受賞した小泉さんは、他の受賞4団体とともに昨年12月10日、明治記念館(東京都港区)での授与式に出席。天皇皇后両陛下の接見もたまわった。
 
 小泉さんは北海道足寄(あしょろ)町出身。
 海にあこがれて海上保安学校へ。卒業して昭和49年4月に赴任したのが川崎保安署の巡視艇「うみかぜ」。公害が社会問題化している時代、さっそく先輩職員らと、地元の化学工場による海の赤い水♂染を発見し摘発した。その時に工場側が説明のため示したのが、亀の甲≠フ化学構造式。ほとんど理解できなかった。

 「その悔しさ、さらに海の汚染に対処するのは海保しかない」との思いから大学進学を決意。51年4月に中央大学理工学部(二部)工業化学科に私費で入学した。
 その後3年間は「うみかぜ」での業務と夜間の勉学。大学4年の時に、当時、横浜・桜木町にあった同センター化学分析課に配属され、実務経験を積みながら研究論文をまとめ、55年3月に卒業した。
 
 「5年間も同じ船で勤務し、大学に通えたのも、上司たちの理解、同僚の仕事のカバーがあったから」と今も感謝する。
 
 以来、小泉さんは化学分析官一筋。海上の油類や排水などから被疑者を特定する「油・水の分析業務」、船舶に残された微細な塗膜片から加害船を特定し衝突の事実を証明する「船舶塗膜の鑑定業務」、ほかに大麻や覚せい剤の鑑定業務などにも取り組み、多くの重油流出事故や当て逃げ、密輸などの事件解決に結びつけた。
 
 小泉さんにとって「今でも印象に残る」のが「新生丸衝突加害逃走事件」(平成11年1月)。八丈島東方沖でマグロ漁船「新生丸」(19d、6人乗り組み)が貨物船と衝突して浸水横転、1人が行方不明となった。ところが加害船はそのまま逃走。当時の航行記録から、カナダ・バンクーバーに入港中のパナマ船籍の貨物船(1万3539d)の可能性が浮上した。
 
 直ちに貨物船の塗膜が小泉さんの元へ届けられ、新生丸の船体に残された塗膜片との照合が始まった。「塗膜片といっても大きさは1_四方ほど。重ね塗られた5層構造と各成分がすべて一致しなければ衝突の証拠品とならない。4人のスタッフと1カ月半、毎晩徹夜の鑑定作業だった」
 
 また、海保校教官として通算8年間、計約2000人の学生に現場鑑識や分析鑑定の技術を教えた。
 
 小泉さんは昨年3月に定年退職し、現在は再任用の専門官。「27年間で得た分析官としてのノウハウを後進に残し伝えたい」と話している。
                                  (小野信彦記者)