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上原亀一・八重山漁協組合長に「尖閣」について聞く [2014年11月20日(Thu)]

▼尖閣を 安全、安心の漁場に
▼気象施設や漁港の整備を
▼サンゴ密漁 中国漁船への取締り強化を
▼台湾漁船とは”住み分け”

組合長.JPG


 尖閣諸島周辺の領海警備の専従体制として、海上保安庁が来年度末までに新造する10隻の巡視船のうち1、2番船「たけとみ」「なぐら」が10月、石垣保安部に配属された。
 石垣港には6隻が同時係留できるドルフィン型桟橋や船艇用品庫、市内にも職員住宅などが整備される。
 職員も増員されて現在の約170人から600人規模の大きな保安部となる。
尖閣専従体制の強化に対する地元の受け止め方や考え方などを、八重山漁業協同組合の上原亀一(うえはら・かめいち)組合長(52)に聞いた。
           (小野信彦記者、写真撮影は米田堅持)
――専従体制では、石垣に新造船を含む12隻の巡視船が集結することになる。

 それだけの増強、対応は仕方のないことだ。
 これまでは海上保安庁が尖閣周辺海域を実効支配していたが、2年前の尖閣国有化以降、中国がこれまでにない圧力をかけてきた。多数の中国の船を、少数の海保の船で取り締まるのは無理だ。
 本来はそんなこともなく、安全、安心な周辺環境になり、操業できれば、それに越したことはない。
 体制の増強もある程度は仕方がないが、さらに過剰な増強になると、対中国的には逆効果になるのではないかと心配する。そうかと言って、南シナ海の中国の西沙諸島、南沙諸島などでのやり方を見ると、尖閣周辺でも中国がどんなことをやってくるのか不安になる。
 この2年間、海保はしっかりやっていると思う。個人的にも知っている人もいて、苦労も聞いているが、海保官たちはなかなか泣きごとを言わない。
 しかし異常ですよ。尖閣警備だけのために、これだけ全国から巡視船や職員を集めてローテーションで回すなんて。

――尖閣諸島についての要望は。
 
 尖閣諸島海域は好漁場だ。
 しかしここから遠いので、小型船が安心して向こうに行けない。そのための停泊できる漁港を尖閣に作ってほしいと政府に要望している。
 同時に航路の安全のための灯台や漁業無線の中継局や気象観測の施設なども必要だ。
 とくに気象観測施設は、中国船や台湾船などを含めた周辺漁業者のための情報施設となる。
 北緯27度以南の海域は中国や台湾の漁船も操業できるわけだし、その漁業者のための人道的な施設となれば、中国にも建設反対の理由はないのでは。
 気象情報はなるべく近い島から発した方が有効だし、そうした地道な実効支配ができればいい。
 例えば北から時化(しけ)るにしても、こちら(石垣島)では与那国島での海象情報が出てから約2時間後に時化てくる。
 尖閣・魚釣島からだと約6時間後だ。
 この海域には漁船のほかに多くのレジャー船や海洋・海運関係施もあるので、早くウォッチして、早めの対応ができる。
 尖閣に施設を作ることが、多くの人々の安全・安心につながると思う。

――日中漁業協定では対象外となっている尖閣諸島を含む北緯27度以南の東シナ海について、日本と台湾は昨年4月「日台漁業取り決め」を締結した。尖閣諸島の領有権を主張する中国と台湾との連携を阻むのが狙いとみられるが、漁獲高や操業方法などのルールを決めないまま翌5月に発効した。その後の状況は。

 漁業者同士の交渉でルールはできつつあるが、日本側に不利な部分があるので、少しでも有利な方向になるよう交渉を続けている。
 例えば、「漁業取り決め」で定めた「法令適用除外水域」の一部海域では、マグロはえ縄漁(注:長さ50〜60`の幹縄(みきなわ)に釣り針付き枝縄を多数付けて投縄(とうなわ)し、揚げ縄して行う漁法)を台湾漁船は1マイルの船間距離、日本漁船は3〜4マイル空けてやっている。
 ところが投縄の方向は基本的に台湾が東西、日本は南北に仕掛けるので、台湾漁船が先に投縄すると、日本漁船が仕掛けるすき間がない。
 あえて操業すればトラブルになるので、こちらが操業を控えざるを得ない。

――台湾漁船との競合はどうしたらよいか。
 
 目指しているのが、操業時間を違えての住み分け≠セ。台湾漁船は夜中に投縄し朝に揚げる。日本漁船は朝に投縄し夕方までに揚げることで、同じ海域を分けることはできないかと。実際に取り組んでみたが、まだお互いに十分検証しきれていない。この方法での操業範囲をもっと増やしてはどうかと提案している。

――「法令適用除外水域」には尖閣諸島も含まれる。
 
 確かに尖閣周辺の日本の領海も含まれているが、台湾漁船は尖閣周辺の領海を侵犯しないはずだ。
 台湾とは話し合いができており、領海侵犯をしないことを前提に「漁業取り決め」を結んだ。それだけに台湾漁船の取り締まりは、海保にとっては重荷にならないはずだ。
 海保が力を入れているのは、むしろ中国公船への対応では?

 ――中国公船による領海侵入は続いているが、かえって中国漁船による領海内での違法操業が目立つ状態になっている。
 
 それは我々の認識とは逆だ。尖閣周辺では現在も、領海侵犯をしない限り中国漁船の操業は認められている。
 中国漁船による巡視船衝突事件(平成22年9月)前までは、尖閣諸島の北の海域で約150隻の中国漁船が操業していることは聞いていたが、その後の操業は聞いていない。マスコミからは中国公船の領海侵入の情報ばかりだ。
 中国漁船による違法操業が増えているなら、もっと情報を流し、明らかにすべきだ。

 ――中国漁船との競合は。
 
 基本的に尖閣から北の海域では沖縄の漁船は操業していないので、中国漁船とかぶることがない。
 沖縄の漁船は尖閣以南が基本的な操業区域。マグロはえ縄漁でかぶるのは台湾漁船の方だ。
 巻き網漁やトロールも中国、台湾にはあるが、沖縄にはない。巻き網漁は長崎にもあるので、中国漁船とかぶるのは長崎の方かもしれない。
 むしろ中国漁船で問題なのはサンゴ漁だ。小笠原諸島の方でも問題になっているが、沖縄でももっと取り締まってもらわないと。
元々沖縄ではサンゴ漁はやっていない。
 問題は中国の漁法だ。サンゴを錘で砕いて、網で引っかかったものを船に引き揚げる。それでは資源を枯渇させる。
 ほとんどサンゴは根絶やしになっているのではないか。
 サンゴ漁の中国船の数は、それこそ尖閣周辺での比ではない。先日、石垣保安部がサンゴ漁の中国人船長を逮捕したが、ほんの氷山の一角だ。
 宮古島沖のある領域では、100隻以上の船が集まってサンゴ漁をしていたこともある。
 すべて中国船だ。北緯27度以南での自由操業ができないように、中国とも改めて漁業協定を結ぶべきだという声もこちらの漁業者から出ている。



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