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先輩研究者のご紹介 坂井華海さん [2025年01月14日(Tue)]
 こんにちは。科学振興チームです。
 本日は、2022年度「民間による国際協力の可能性の検証」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、熊本大学大学院自然科学教育部工学専攻博士後期課程所属の、坂井華海さんからのお話をお届けします。

<坂井さんより>
 わたしは、現在熊本大学大学院自然科学教育部工学専攻の博士後期課程でパブリックヒストリーに関する研究に取り組んでいます。

 2022年度に笹川科学研究助成から支援を受けた「民間による国際協力の可能性の検証」では、民間による国際協力の可能性について、元駐ラオス特命全権大使・坂井弘臣氏が発起人となって熊本ラオス友好協会が2000年に開始した「ラオス遠隔地高校生就学支援事業」(以下、就学支援事業)を通じて検証を試みました。

 就学支援事業は、ラオス全国の中学卒業予定者のうち、各県2名を選抜、首都・ビエンチャンにあるビエンチャン高校へ進学させ、そこでの生活を支援する、というものです。調査の過程で、2000年から2022年までの間、運営の主体や方法は変化をしながらも、一貫して顔の見える支援にこだわって実施されてきたこと、これまでに500人を超えるラオスの子どもたちが高等教育を受ける機会を得てきたことが分かっています。2022年度は、支援者と被支援者に対しアンケート調査とインタビュー調査を実施しました。その結果、@支援事業は坂井氏以外にもこれまでマスメディア等では取り上げられることはなかった少なくないキーパーソンの存在と行動があって現在まで継続されてきたこと、A被支援者の間でしか知られていなかった支援事業の実態の一端を明らかにすることができました。


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写真1 熊本ラオス友好協会員の挨拶を通訳する元奨学生。



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写真2 ビエンチャン高校男子寮(現熊本ラオス友好協会員・立山夫妻寄付)の外観


 支援を受けた2022年度はコロナ禍が終息に向かっていく途中で、海外調査を実施するにあたっては抗体検査(陽性となった場合の追加の宿泊費や再検査費用)などの費用も必要でしたので、調査活動において必要になる経費が柔軟に支出可能である笹川科学研究助成を受けられたことは大変心強かったです。

 本研究対象・フィールド自体は、“知る人ぞ知る”国際協力の現場やその歴史の一つであると思います。しかし、本助成を受けられたことにより学会発表等が可能となり、日本の民間、草の根による国際協力が現在抱えている課題(担い手の高齢化、後継者不足、支援のあり方など)について、多くの研究者や実務家の方たちと共有、議論する機会を得ることができました。研究を開始した当初は想像もしなかった研究の方向性や価値も見出すことができました。今後も“ふつうの人”の情熱や物語に注目をして調査活動を続けることにより、過去と現在と未来、地域と地域、そして人と人をつないでいきたいと考えています。

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写真3 熊本20期生の卒業セレモニー集合写真。
ビエンチャン高校女子寮(日本のODA)前にて


<以上>



 日本科学協会では過去助成者の皆さんより、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 11:46 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)