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先輩研究者のご紹介(Emil Salimさん) [2021年03月29日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。本日は、2019年度に「力学的刺激によって誘導される非感染時の自然免疫応答メカニズム解明」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、金沢大学大学院医薬保健学総合研究科所属の、Emil Salimさんから助成時の研究について、コメントを頂きました。

<Emil Salimさんより>
Sterile Inflammation is the inflammation that caused by non-microorganism which induced by various factors including abnormal cell death, endogenous particulate such as cholesterol, mechanical stimuli, and environmental conditions such as ultra-violet radiation. This inflammation is related to many diseases such as cancer, myocardial infarction, stroke, and atherosclerosis. Much has been known about inflammation caused by microorganisms. However, the sterile stimuli-activated immune system remains poorly understood. The knowledge of how inflammation is activated and regulated under sterile condition is very essential to give insight on how sterile inflammation related diseases can be treated better. Because of this condition seems involve multiple and complex pathways, the utilization of animal models, such as insects and mammals, is very useful.

Fruit fly (D. melanogaster), a simple yet powerful genetic model organism, has been used to discover molecular mechanism in diverse biological processes, including the innate immune system. Our group, under the supervision of Assoc. Prof. Dr. Takayuki Kuraishi, found that pinching fruit fly larvae (Figure 1) can induce sterile inflammation and found that mechanism underlying this process is different to that of microorganism. Thus, we use this model to find responsible genes in sterile inflammation and study their function (Figure 2). This study will provide new insight on how sterile inflammation occur in human.

We thank to Sasakawa Scientific Research Grant of the Japan Science Society for their support to our study. This support has helped us to discover candidate genes that play role in sterile inflammation. We believe such support to researchers and students will give big contribution to the science.

Figure1.jpg
Figure 1. Pinching Drosophila larvae using forceps

Figure2.jpg
Figure 2. Sterile inflammation in Drosophila larvae may give new insight on
how sterile inflammation occurs in human

<以上>

 笹川科学研究助成では、留学生の方のご申請も受け付けております。日本での研究は言語の問題もあり大変かとは思いますが、様々な刺激を受けることができると思いますので、是非とも挑戦していただきたいと思います。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 14:58 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介(葛西 有代さん) [2021年03月15日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2019年度に「『かき混ぜ文』理解過程の脳波解析に基づく失語症に対するリハビリテーション」という研究課題で笹川科学研究助成実践研究部門を受けられた、総合リハビリ美保野病院リハビリテーション科所属の葛西 有代さんから、最近・助成時の研究について、コメントをいただきました。

<葛西さんより>
 私は青森県八戸市にある総合リハビリ美保野病院で言語聴覚士として、10年以上勤務しています。主に、脳卒中によりコミュニケーションに困難さが生じた方々のリハビリテーションに携わっています。助成時も現在も、東北大学大学院文学研究科言語学研究室にも所属しています。

 本研究は、失語症のある方々へのリハビリテーションやコミュニケーションの方法を考えるために行っています。
 「失語」は脳の疾患や外傷で生じる症状の1つで、脳の損傷により、一旦獲得された言語機能(聴いて理解する、話す、読む、書くなど)が低下する症状です。コミュニケーションに困難さが生じ、日常生活や社会生活に影響を及ぼします。

 失語症のある方々の中には、「太郎が花子を追いかけた」のような、「主語−目的語−述語動詞」の基本的な語順(以下、基本語順文)の文を理解することはできても、「花子を太郎が追いかけた」のような「目的語-主語-述語動詞」の語順をかき混ぜた文(以下、かき混ぜ文)を理解することが難しい場合があります。

ブログ_葛西有代_図1.jpg
図1 基本語順文とかき混ぜ文の構造

 そこで、今回の助成により、失語症のある方々10名(35〜63歳、以下、失語群)と、失語症のない定型発達の方々24名(39〜66歳、以下、定型発達群)に、基本語順文とかき混ぜ文を聴いていただき、脳波を測定しました。

 基本語順文の目的語とかき混ぜ文の主語を聴いた時の脳波を比較すると、定型発達群では、刺激文を聞き始めてから900-950ミリ秒後に、かき混ぜ文の主語において基本語順文の目的語に比べ有意な陽性波が観察されました。これは、先行研究では、高次な処理を行う課題で観察されている成分です。一方失語群では、そのような有意な差が認められませんでした。このことは、失語群は定型発達群と同じようには聴覚的な文処理ができていないということを示唆しています。この失語群の中には、様々な失語症の種類の方がいらっしゃるので、疾患や脳損傷の場所に応じた傾向を把握するために、現在も研究を継続しています。

ブログ_葛西有代_図2.jpg
図2 定型発達群における刺激開始後900〜950ミリ秒の頭皮上電位分布

ブログ_葛西有代_図3.jpg
図3 脳波測定実験の様子@

ブログ_葛西有代_図4.jpg
図4 脳波測定実験の様子A

 助成いただけたことで、所属先で報告し助言いただく機会をより多く得ることができました。また、所属している病院(八戸市)と東北大学(仙台市)を頻回に行き来し、研究をすすめることができました。
<以上>

 意思疎通を図るために、当たり前のように言葉を使っていますが、脳の中では様々な反応が起きており、非常に複雑なことなのだと思いました。今後も、リハビリテーション等で困っている方のための役に立つような研究となるよう、陰ながら応援させていただきます。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 15:07 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介(市川 寛也さん) [2021年03月01日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2019年度に「重要伝統的建造物群保存地区における保存物件の創造的活用モデルの構築―岩手県胆沢郡金ケ崎町の事例から」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、群馬大学共同教育学部所属の市川 寛也さんから、助成時の研究とその後の展開について、コメントを頂きました。

<市川さんより>
 群馬大学共同教育学部の市川です。大学では、美術教育講座の教員として、美術理論や美術史に関する科目を担当しています。専門分野は芸術学です。特に、アートプロジェクトをはじめとする地域社会における芸術活動について、理論と実践の両面から研究を進めてきました。2019年度に笹川科学研究助成を受けて取り組んだ実践研究もこうした関心の延長線上にあります。
 具体的なフィールドは岩手県内陸南部に位置する金ケ崎町です。この町には、近世に仙台藩の要害が築かれ、現在も当時の町割が残されていることから、2001年に国の重要伝統的建造物群保存地区(以下、伝建群)に選定されました。この中にある一軒の保存物件(旧菅原家侍住宅)を地域に開かれた学びの拠点「金ケ崎芸術大学校」として活用しようというのが実践の主眼です。(図1)

図1 金ケ崎芸術大学校外観.jpg
図1 金ケ崎芸術大学校外観

 構想にあたっては、「生涯教育」と「農民芸術」という二つのキーワードを設定しました。金ケ崎町では、1979年に全国に先駆けて「生涯教育の町」を宣言して以降、教育がまちづくりの柱となっています。この理念を踏まえ、伝建群に芸術に焦点を当てた学び合いの場をつくることを目指しました。ただし、一口に芸術と言っても、絵画や彫刻、音楽など既存のジャンルに限定されるものではありません。宮沢賢治の「農民芸術」の理想に照らし合わせながら、生活そのものを芸術として実践することを試みています。(図2)

図2 金ケ崎芸術大学校「藍の時間」(畑への移植).jpg
図2 金ケ崎芸術大学校「藍の時間」(畑への移植)

 金ケ崎の伝統的建造物には、侍住宅でありながら農家としての構造を持つ「半士半農」と呼ばれる特徴があります。このような地域性を生かし、敷地内の畑で藍を栽培しながら、収穫した生葉で染色するプログラムなどを行ってきました。ご近所にお住いの染色愛好家が講師を務め、近隣市町村からも参加者が集まりました。この他にも、生け垣を刈ったり、庭を眺めたり、鬼のお面をつくったりしながら、四季の変化に合わせて「あり得たかもしれない暮らし」を創造するアートプロジェクトを展開しています。(図3・4)

図3 金ケ崎芸術大学校「藍の時間」(生葉染め).jpg
図3 金ケ崎芸術大学校「藍の時間」(生葉染め)

図4 金ケ崎芸術大学校「鬼の時間」.jpg
図4 金ケ崎芸術大学校「鬼の時間」

 このような日々の実践を通して、保存物件の公開のあり方について研究を進めてきました。伝建群は文化財であると同時に生活の場でもあります。そのため、いわゆる「有形文化財」のように、博物館に収蔵して保存することはできません。そのような中にあって、生活の一つひとつの場面を広義の芸術として実践することにより、参加する一人ひとりが意識するしないにかかわらず環境保全に関わっていることを改めて実感しました。ここから活動そのものに「動態保存」としての意義を見出したことがひとまずの結論です。
 最後に実践研究について私見を述べます。現実の地域社会は研究のために純粋培養された実験室ではありません。そこに暮らす人や外側から訪れる人など、様々な立場にある人々の思惑の絶妙なバランスの中で成り立っています。私自身は「研究者」としてフィールドに入り込むわけですが、同時に「実践者」として現場と深く関わりながら研究を進めてきました。プロジェクトを進めていくにつれ、もはや両者の境界線は曖昧になっていることを実感するようになります。無論、そのいずれであっても、私にとっての「理想の世界」の実現に向けた道のりを探ることには変わりはありません。このダイナミズムに実践研究の醍醐味があると思っています。

なお、金ケ崎芸術大学校では2020年の秋にこれまでの活動をまとめた記録集を発行しました。もしご興味のある方がいらっしゃいましたら以下のアカウントまでご一報ください。こちらで最新の活動状況についても発信しています。
金ケ崎芸術大学校広報部(https://twitter.com/kanegasakiart
<以上>


 家などの建物は、人が住んだり使ったりするために造られたものですので、人が出入りすることが保存することにつながり、大事なのかと思いました。また、フィールドに入り込み研究を行うことで、様々なことが見えてくるのだと思いました。今後も、このような実践研究を続け、頑張っていただきたいと思います。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 12:37 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)