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先輩研究者のご紹介 大西 康平さん [2024年04月22日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームです。
 本日は、2021年度「線虫の温度馴化における温度受容体GPCRの分子生理学的解析」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、広島大学大学院医系科学研究科 研究員の大西 康平さんからのお話をお届けします。

<大西さんより>
 温度は常に存在して、すべての生体反応に影響を与えるため、生命には温度を感じ、生存するための機構が備わっています。例えば、私たちは体温を保つために寒いときに震え、暑いときに汗をかき、また心地よい場所に移動します。これらには核酸やタンパク質などの生体分子が温度センサーとして働いて環境温度を知る必要があります。よく研究されているのが、細胞膜に存在するタンパク質型温度センサーであり、2021年に「温度感受性TRPチャネル」の発見に対してノーベル医学・生理学賞が授与され、最近注目されました。

 学部生時代からお世話になっていた研究室ではモデル生物「線虫C. elegans」の温度馴化を用いて解析を行っていました。私はその中で、線虫の感覚神経がどのように温度を感じるかに興味を持ちました。まず、線虫のTRPチャネルが温度センサーとして機能することを確認しました。一方で、従来のTRPチャネルと比べて温度に対する反応性が弱かったことから、TRPチャネル以外の温度センサーも存在しているのではないかと予想し、一般に味覚や視覚の感覚応答にかかわることが知られるGタンパク質共役型受容体「GPCR」が温度センサーとして機能している可能性を考えました。そこで私は、線虫の温度馴化を指標に、線虫にある約1000個のGPCRの中から温度受容体を同定して解析を行いました。笹川科学研究助成金はこの解析を進めるための試薬購入などに使用させていただき、しっかりと研究を進めることができました。

 現在は広島大学医学部に移って研究をしており、新たな環境で大きな刺激を受けながら日々楽しく研究を行っています。私はこれまで動物の温度受容に関して、個体・組織・細胞レベルの研究を行ってきました。一方で、現在の研究室では膜タンパク質などの分子レベルの研究を行っていて、電気生理学や最新の生物物理学解析の技術を用いて解析を行っています。センサータンパク質自体の機能ももちろん大事ですが、実はその周りにある細胞膜などの生体分子との関係も大変重要であり、ミクロな世界で何が起こっているかを調べることは大変興味深いと感じています。

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図:温度感覚研究の例。
例えば線虫は神経などで温度を感じて行動などを変化させる。神経の先端の膜上に存在する温度感受性タンパク質が温度によって活性化され(分子レベル)、先端で受け取られた温度情報が細胞体に伝えられて(組織・細胞レベル)、神経細胞が次の神経細胞や他の組織に情報を送る(個体レベル)ことで個体が制御される。

 笹川科学研究助成より助成いただいたのは学位取得後すぐで、私にとっては初めての研究助成でした。研究者としてまだまだ未熟で、研究計画書作成などに不安がありましたが、助成をいただくことができて自信にもなりましたし、研究者としての成長の第一歩を大きく助けていただいたと感じています。また、現在の楽しい研究生活はいろいろな縁によって成り立っていて、周りの方々や笹川科学研究助成のおかげで研究が続けられたことが大変大きかったと感じています。研究に協力くださった皆様や日本科学協会の皆様に深く感謝申し上げます。

<以上>


 日本科学協会では過去助成者の皆様より、研究成果や近況についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 10:59 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)