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先輩研究者のご紹介 上野 弘人さん [2024年02月13日(Tue)]
 こんにちは。科学振興チームです。
 本日は、2020年度「海洋での海浜性昆虫の“浮遊分散”による分布拡大仮説の提唱および検証」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、九州大学地球社会統合科学府の上野 弘人さんからのお話をお届けします。

<上野さんより>

 2020年度笹川科学研究助成学術研究部門にてご支援頂きました、九州大学地球社会統合科学府の上野です。今回は、研究内容について一部を紹介させていただきます。

 陸域に生息する生物にとって、一般的に海域は分散を妨げる大きな障壁となります。しかし、陸生生物がそのような障壁である海域を越えて生息範囲を拡大させる場合があり、“海流分散”はその一例となります。海流分散は、時に陸生生物自身が持つ分散能力をはるかに超えた長距離分散を可能とします。このため、陸域に生息する生物の海流を介した分散様式を明らかにすることは、日本列島のように複数の海流の影響を受ける地域の陸生生物相の成立過程を予測するうえで欠かせず、生物多様性の創出や維持機構の解明にも繋がる重要なテーマです。しかしながら、海流を介した分散に関する知見は、植物では数多くあるものの、陸上動物でははるかに少ない状態にありました。
 そこで、私は笹川科学研究助成のご支援のもと、昆虫の中で最大の多様性をもつ甲虫を対象に、 特に海流による移動分散という側面から研究を進めております。具体的な内容としては、まず、500 mlペットボトルを用いて海浜性、内陸性を含む幅広いグループの甲虫を用いて海水上での生存率(海水耐性)を測定しました(図1)。

図.jpg

その結果、50%生存期間が数日から1 ヵ月を超えるものまで幅広い種間の相違が存在し、最大生存期間が 3 ヵ月を超える種も確認されました。さらに、 このうち9種の砂浜性甲虫についてCOI遺伝子領域の集団遺伝学的な解析を行った結果、飛翔能力を持たず分散能力が低いと予想されるゴミムシダマシ科の複数種で、 海流分散の影響を示唆する結果も得ております。これらの結果は、砂浜性甲虫を中心に多くの種で海流分散の可能性を示唆するものです。
 今回、笹川科学研究助成にご支援をいただけたおかげで、海流に沿った九州から東北まで広範囲にわたる調査及び、そのサンプルを用いて充実した遺伝解析が可能となりました。現在もこれらのサンプル、データをもとに新しい発見が出てきております。今後もさらなる知見を皆様のもとへ届けられるよう、研究を進めてまいりたいと思います。
 最後に、このような形で研究のご支援いただいた日本科学協会に心より感謝申し上げます。

<以上>


 日本科学協会では過去助成者の皆さんより、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 14:03 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)