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先輩研究者のご紹介(奥村 翔太さん) [2022年01月11日(Tue)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2020年度に「石基輝石結晶のナノスケール分析から探る、火道浅部環境と噴火様式の関連性」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、京都大学大学院理学研究科所属の、奥村 翔太さんからご専門の研究について、コメントを頂きました。

<奥村さんより>
 火山噴火には規模や継続時間などの点で様々なタイプがあり、特定の火山においても時間経過とともに噴火のタイプが変化することがあります。その要因として、マグマの化学組成だけでなく、マグマだまりから火口までの通り道(火道)をマグマがどのように上昇したかが重要であると指摘されています(図1)。具体的には、マグマは高圧の地下深部から地表へと上昇する際に減圧され、溶け込んでいたガス(水蒸気や二酸化炭素など)を気泡として析出します。これによりマグマ全体の体積が膨張し、密度が低下して浮力が強くなるため、爆発的噴火につながります。イメージとしては、炭酸飲料の蓋を開けた時を想像していただけると分かりやすいかもしれません。より厳密には、気泡が析出するのにかかる時間と上昇のタイムスケールとの兼ね合いや、気泡が火口や火道壁から抜けていくプロセスなど、火山内部で複雑なプロセスが絡み合うことにより、地表で起こる噴火の多様性につながります。従って、火山噴火という複雑な物理化学現象を予測するためには、過去の噴火におけるマグマの火道上昇履歴を明らかにし、それがどのような噴火につながったのか理解しておくことが重要です。

画像1.jpg
(図1)火山内部の模式図

 私の研究では、噴火の際に放出された軽石などの岩石試料を分析することで、その中に含まれている微小結晶の形状からマグマ上昇履歴を読み解くことを目指しています。火山岩石学分野の研究では、岩石試料の発泡度や化学組成、結晶量などがよく分析されますが、私の研究の特色は、結晶面の組み合わせのタイプ(専門用語で晶相といいます)に着目したことです。私は新燃岳や桜島といった火山の軽石を分析していく中で、数μm未満のサイズの結晶が、噴火の激しさに応じて晶相を変化させているようだと気づきました(図2)。そこで笹川科学研究助成を活用させていただき、噴火を模擬した減圧結晶化実験を行った結果、マグマ上昇に伴う減圧の激しさによって晶相が変化することを実証しました。この結果は、火山噴出物の分析において注目すべき組織を新たに示した点で重要であり、火道上昇履歴の理解を進展させることにつながると期待されます。

画像2.jpg
(図2)噴火時のマグマ上昇による減圧に応じた晶相変化

 笹川科学研究助成は地学分野でも応募できる数少ない助成金のひとつであり、当分野の方はぜひ挑戦すべきだと思います。私の研究がそうでしたが、手堅い研究よりも挑戦的で波及性の高そうな研究が好まれるかもしれません。また、コロナ禍で出張ができなくなった際、急な支出計画の変更にもご対応いただけたので助かりました。予算使途に学会発表や投稿論文の校閲・掲載料が含まれている点も大きなメリットです。
 最後に、貴重な機会を与えてくださった日本科学協会の関係者の皆様に改めて感謝申し上げます。
<以上>

 日本には多くの火山があり、災害防止のためなどにも噴火のメカニズムを研究することは非常に重要であると思います。今後も独創的な着眼点によって、様々な事が分析できるよう、頑張っていただきたいと思います。
 笹川科学研究助成では、様々な分野の研究や、分野を跨ぐような研究も募集していますので、皆様、是非ともご申請いただければ幸いです。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 09:27 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)