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先輩研究者のご紹介(金 東cさん) [2021年09月13日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2020年度に「両イオン性鎖とイオン性鎖からなるジブロックコポリマーの合成とその複合体形成および刺激応答性」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、京都大学所属の、金 東cさんから助成時から最近までの研究について、コメントを頂きました。

<金さんより>
 一つの繰り返し単位にアニオンとカチオンを併せ持つベタインポリマーは、細胞を構成する資質(PC)と類似な構造であり、その生体適合性の高さより、生体・医療材料への展開が進んでいる。ベタインは官能基によってカルボキシベタイン(CB)、フォスフォベタイン(PB)、スルホベタイン(SB)で分かれる(図 1a-1c)。その中で、スルホベタインは上限臨界溶液温度(UCST)型の温度応答性を示すことが知られており、新規な温度応答性材料への応用が期待されるが、応答性の発現機構は、まだ明確にはなっていない(図 1d)。

図 1..png
(図 1)ベタインポリマーの種類: (a)カルボキシベタイン、(b)フォスフォベタイン、(c)スルホベタインと(d)スルホベタインの温度応答性

 両イオン性ポリイオンコンプレックス(PIC)ミセルは、ポリアニオンとポリカチオンのポリイオンコンプレックスをコアとし、両イオン性ベタインをコロナ(シェル)とする新規自己組織体である。一般的な両親媒性ブロックコポリマーは、疎水鎖の会合によりコアが形成され高分子ミセルとなるが、PICミセルではその駆動力が、ポリアニオンとポリカチオン間の静電引力および会合により放出されるカウンターイオンによるエントロピーの増大である。よって、ミセルとしての安定性や、添加塩に対する応答などは、両者で大きく異なると予想される。また、通常のPICミセルのシェルは、水溶性ながら非イオン性のポリエチレングリコール(PEG)である場合がほとんどである。
 本助成では、温度応答性を有するPICミセルの創成およびその転移温度の制御や応答性の発現機構について検討を行った。高温領域においてPICミセルは、単独のミセルで存在し、温度減少に従って転移温度付近からスルホベタイン鎖が収縮し始め、転移温度以下ではミセルの凝集体を構築した(図 2)。その転移温度は、高分子水溶液の濃度とスルホベタイン鎖の重合度を調節することにより制御できることが明らかになった。さらに、塩を添加してPICミセルを崩壊し、また透析により再形成することによりミセルの大きさと均一性が制御できることがわかった(図 3)。最近は、PICミセルのミセルーベシクル変換およびスルホベタイン含有全イオン性トリブロックシステムの開拓とその自己組織化について研究を進んでいる。

図 2..png
(図2)温度変化によるPICミセルの凝集体形成挙動

図 3..png
(図 3)塩添加によるPICミセルの崩壊挙動および透析による再形成挙動

 笹川科学研究助成は大学院生でも応募できる数少ない研究助成である。特に、外国人留学生や女性研究者が行う研究を優先的に採択している。申請書は、助成期間内に自分が突き止められるくらいの研究計画を立つことが大事で、様々な学術分野の基礎となる新規研究をすることが良いと思う。本助成は自由度が高く、研究の進歩状況に応じて研究計画の変更も可能である。
 最後に、研究の機会を下さった日本科学協会の皆様に深くご礼申し上げます。
<以上>

 笹川科学研究助成では、若手研究者の第一歩を応援しておりますので、日々の研究で疑問に思ったことや解決したいこと等を申請書にまとめ、是非とも挑戦していただきたいと思います。申請書に文字としてまとめることでも、新たな発見があったりもします。皆様の自由な発想による申請をお待ちしております。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 09:28 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)