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先輩研究者のご紹介(LEE KANGさん) [2021年07月19日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2020年度に「酸性紙図書の長期保存技術の確立:紙の自然劣化を正確に予測できる新規加速劣化試験法の提案」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、東京学芸大学教育学部自然科学系文化財科学分野所属の、LEE KANGさんから最近・助成時の研究について、コメントを頂きました。

<LEEさんより>
 近代の西欧で生産された書物には紙の製造工程で硫酸アルミニウムを添加するため、紙が酸性を示す「酸性紙」になります。そして酸性紙の低いpHと不適切な環境管理は書籍用紙の物性を急速に低下させてしまいます。酸性劣化した図書の中には歴史的価値の高い記録資料が膨大に残っていますので、これらを長期間保存することは世界的にも大きな課題となっています。もし、紙の寿命が予測できれば、紙の強度を維持できる期間が分かりますので、厳密に保存管理することで寿命を延ばせます。
 紙の劣化挙動を観察するためには高温、高湿度の過酷な条件下で加速劣化試験を行うことが一般的です。しかし、どのような条件下でどれくらいの期間加速劣化を行えば紙の自然劣化速度を正確に予測できるかについては不明です。閉じた図書の中で経年により有機酸が蓄積される状態を再現するとして米国議会図書館では2001年にチューブ内に紙を密封して恒温条件で加速劣化する方法(ISO 5630-5)を開発していますが、多種の紙に同じ劣化条件を適用しても紙の自然劣化速度を定量的に推定することまでは難しいです。そこで、紙資料の実際の保管環境を模した加速劣化条件を適用した試験法に改良するために、個別の紙中の水分量に着目してチューブ中の湿度条件を変えることで紙資料の寿命を定量的に予測する方法を考えました(図1)。
 加速劣化を行い、アレニウス・プロットを作成し、紙の自然劣化速度を算出すれば、初期物性値が推定できるため、劣化条件が正しければ製造当時の初期値と一致することになります。しかし、製造当時の初期値の分かる紙サンプルを入手することは難しいことです。そこで、@異なる環境で保管された4種の同じ図書 (The dark flower)と、A同じ環境で保管されていた年代の異なる同じ紙質の雑誌 (山岳)を入手しました (図2)。これらの資料に加速劣化を行い、アレニウス・プロットを作成して初期値を推定した結果、概ね類似した初期値に集束する結果となりました。以上のように、紙の保管環境に応じて水分量を調整することでより精度の高い寿命予測が可能になることが示唆されました。

チューブ法による加速劣化試験の様子.jpg
図1 チューブ法による加速劣化試験の様子

The dark flower.jpg 山岳.jpg
図2 実験に用いた自然劣化した紙資料

 この研究テーマは大学院時代から基礎研究を行っており、その成果を基に行ったものです。この研究を続けられるように研究費を助成してくださった日本科学協会に深く感謝を申し上げます。コロナの危機の中で研究スケジュールにも変動が生じ、予算計画を見直さないといけない状況でもご丁寧に相談にのっていただき、安心して研究に専念することができました。これからも研究成果を国内外へ広く発信していき、後続研究にもつなげて多くの紙文化財の保存に寄与できればと思います。
<以上>

 データの電子化が進んできましたが、図書館などに行けばわかるように、今でも書籍などの紙の資料は、たくさん使われています。そういった貴重な資料が失われないようにするためにも、研究を続けていただきたいと思います。陰ながら応援させていただきます。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 13:04 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介(熊谷 佳余子さん) [2021年07月05日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2019年度に「病院で働く介護福祉士に他職種が求める連携課題」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、川崎医療短期大学 医療介護福祉科所属の、熊谷 佳余子さんから介護の魅力と研究成果のその後について、コメントを頂きました。

<熊谷さんより>
 川崎医療短期大学 医療介護福祉科の熊谷です。大学では、介護福祉士になる学生の教育に携わっています。
 介護福祉士の仕事は一般には「老人の生活介護」、つまり、食事や入浴、排せつの介助、・・・などをすることだととらえられています。確かに、やっていることはそうなのですが、そこには、専門的知識とともに、対象者の個性や状態をよく観察し、コミュニケーションをとり、価値観や考え方、想いに共感する力が必要です。「その人らしさ」を尊重した介護を行うことが介護福祉士だからです。また、介護福祉士の観察力は対象者の危険や異常の早期発見につながります。体得している技術により、無駄のないボディメカニクスで患者に負担を及ぼさない身体移動を可能にします。私は、看護師資格を持つ教員として教育現場に入りましたが、知れば知るほど、介護福祉士の生活支援の意義を実感するようになりました。
 このような介護福祉士の能力を病院という場で発揮させることができれば、急性期から回復期へと移行する中で、患者の生活面のサポートを担い、さらに、患者の想いを多職種に連携でき、回復の速度と質とを向上させることができるのではないかと考えました。これを可能にするための端緒として始めたのがこの研究です。
 本研究のアンケート調査は回収率が70%でした。中国5県の回復期リハビリテーション病棟のある病院に電話で連絡を取り、看護部長や看護師長にこのアンケートの趣旨を説明しました。どの病院でも、病院における介護福祉士の役割はまだ確立されていないようで、このアンケート調査に大変興味を持ってくださいました。調査結果から病院で介護福祉士に何が求められているか、多職種連携を実現するためにはどういうことが必要なのかがわかりました。
 この研究成果、病院での役割を担うことのできる介護福祉士の育成を目指した教育プログラムの再構築に寄与しました。
 川崎医療短期大学 医療介護福祉科は、2021年度入学生から3年制教育に変わります。その3年次に回復期リハビリテーション病棟で病院実習を行い、看護師やリハビリテーション専門職と連携を取りながらリハビリでの訓練を病棟の療養生活、さらに退院後の生活につなげる体験を取り入れています。また、川崎学園内にあるリハビリテーション学院や医療福祉大学の教員による講義を通して、看護師やリハビリテーション専門職との情報交換に必要な医学・リハビリテーション関連の知識を目指します。
 このように病院という医療体制の中でも患者の状態を最もよく観察し、その想いを大切にした支援・介助ができる介護福祉士を養成したいと考えています。
 最後に、2019年度笹川科学研究助成に採択していただいたことでアンケート調査を中国5県へと拡大することができました。そのことでより多くのデータが確保できエビデンスを高めるとともに、病院で介護福祉士が働くことに思っていた以上に病院関係者が興味を持っていることを知りました。このことは、「病院で連携して働く介護福祉士」養成に向けての力強い後押しとなりました。
 改めまして、研究の機会をくださいました日本科学協会の皆さま、並びにアンケート調査に協力していただいた病院の看護部長・看護師長はじめ職員の皆さまに深く感謝申し上げます。
 川崎医療短期大学は2022年度より岡山キャンパスへ移転います。この写真は、今年4月の倉敷キャンパス最後の学生玄関からの桜の写真です。

2021年4月1日 学生玄関より(倉敷市松島).jpg

<以上>

 教育現場でご活躍されながら新しい課題に気づき、本助成をきっかけにアンケート等の手法を用いて実践的な研究を行い、教育プログラムの再構築につながったとのことでした。コロナウイルスの影響により対面での授業等が難しい状況が続くかと思いますが、移転先の岡山キャンパスでも、様々な課題に挑戦を続けられますよう、陰ながら応援させていただきます。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 12:55 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介(橋本 舜平さん) [2021年06月14日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2019年度に「イネ科作物ソルガムにおける夜低温誘導型開花のしくみに迫る」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、名古屋大学大学院 生命農学研究科所属の、橋本 舜平さんから助成時の研究やその背景について、コメントを頂きました。

<橋本さんより>
 みなさんは、「ソルガム」という作物をご存知でしょうか。ソルガムはイネやコムギなどと同じくイネ科に分類される植物で、生産高世界第5位の重要作物の1つです(図1)。アフリカではソルガムを主食としている国も数多くあり、かつては日本でも「タカキビ」と呼ばれ食用に栽培されていました。諸説ありますが、昔話でおなじみの「桃太郎」に登場する「きびだんご」の「きび」とは、このタカキビのことだとされています。ソルガムの大きな特徴の一つに、植物自体が大きく、利用できる資源の量(=バイオマス)が多いということが挙げられます(図1左)。草丈が4 m以上になる品種では、地上部のバイオマスは一般的なイネの10倍以上にもなります。また、茎に糖液を蓄積する品種(スイートソルガム)もあり、その糖度はサトウキビと肩を並べるほどです。ニュースや新聞などで、マイクロプラスティックによる海洋汚染の話を聞いたことのある方も多いと思いますが、その問題解決に向け、ソルガムの糖液をバイオプラスティックの原料とする研究も進められています。植物を原料とした分解性プラスティックは環境に優しい素材として注目されているほか、二酸化炭素の排出量削減にもつながります。もちろん、バイオマスが大きければ、それだけ糖液も多く得られるわけですから、ソルガムは現代社会における様々な環境問題の解決のために、今まさに必要とされている作物だと考えています。

図1.jpg
図1 ソルガム
茎葉部バイオマスはイネの10倍以上になる(左)。
右の写真はソルガムの穂(タカキビとは別の品種)。

 今回、私はソルガムの開花と気温の関係に着目した研究テーマで本助成に採択していただきました。ソルガムには、夜の気温が15℃程度になると開花が促進される系統があり、この現象は「夜低温誘導型開花」と呼ばれています(図2)。コムギなどに見られ、冬の厳しい寒さで花芽が誘導される「春化」はご存知の方もおられると思いますが、人間の感覚で言うと「少し涼しい」くらいの気温で開花が促進される例は他の植物ではあまり見られず、たいへん興味深い現象です。開花のタイミングは作物の収量やバイオマス性に直結する重要な要素ですから、この「夜低温誘導型開花」の仕組みを明らかにすることで、高バイオマスソルガムや搾汁糖液の安定生産につながる育種(品種改良)に結びつけば、という思いで研究を始めました。助成時には、気温の影響を受ける「感温性系統」と開花時期が気温に依らない「非感温性系統」を比較して、3万個以上あるソルガムの遺伝子のうち、どの遺伝子がこの現象に関連しているかを調べました。そして、全遺伝子の網羅的な発現量解析を行い、この現象に関連すると考えられる遺伝子の一群を明らかにすることができました。今後は、これらの遺伝子の機能や関係性を詳しく調べることで、「夜低温誘導型開花」のメカニズムの全体像を明らかにしたいと考えています。

図2.jpg
図2 夜低温誘導型開花
感温性系統は夜高温区では開花しないが、夜低温区で開花する。
一方で非感温性系統は、夜温に関係なく開花する。図中の矢頭は穂を示す。

 笹川科学研究助成は学生でも応募可能な数少ない研究助成です。応募する上で申請書の書き方や、これまでの研究背景をいかにわかりやすくかつ魅力的に伝えるかを試行錯誤したことは、非常に良い経験になったと思います。助成期間中での進捗状況に応じた研究計画の変更にも、柔軟に対応していただきました。
 最後に、今回貴重な機会を与えてくださった日本科学協会関係者の皆様、ならびに本研究を行うきっかけを与えてくださった、大阪府立大学大学院生命環境科学研究科 植物育種繁殖学研究室の皆様、そして名古屋大学大学院生命農学研究科 植物ゲノム育種研究室の皆様に改めて感謝申し上げます。
<以上>

 誰もが知っている「桃太郎」に出てくる「きびだんご」ですが、「きび」がタカキビという植物であることは初めて知りました。ソルガムの研究が、現代社会における様々な環境問題につながり、タカキビが多くの方に知られるようになるよう、頑張っていただきたいと思います。
 笹川科学研究助成の申請書を作成することは非常に大変なことかと思いますが、ご自身の研究を見直すことは新たな発見につながることもあるかと思いますので、是非とも挑戦してみてください。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 16:40 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介(松山 紘之さん) [2021年05月31日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2019年度に「シカが増えすぎるとマダニが減る? -生態系エンジニアとその外部寄生者が形成する相互作用の解明-」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、東京大学大学院・新領域創成科学研究科所属の松山紘之さんから科学的豆知識について、コメントを頂きました。

<松山さんより>
・科学的豆知識
 皆さんは感染症の出現と生態系が密接に関わっていることをご存知でしょうか。実は、感染症の70%以上が動物由来であることが言われています(Jones et al. 2008, Nature)。感染症の原因となる病原体や寄生虫は、普段野生動物を宿主として暮らしています。ところが、何かの拍子に野生動物の病原体や寄生虫が人間に感染してしまうことがあります。これが、いわゆる「人獣(畜)共通感染症」と呼ばれているものです。近年、このような宿主となる野生動物種は、人間が利用していない自然と比べて、人間が利用している都市、農地、二次的な自然に、高い割合で生息していることがわかってきました(Gibb et al. 2020, Nature)。このことは、一見、無関係のように思える人間活動が生態系の変化を介して間接的・連鎖的に感染症の出現に関与しているといえます。

 私の専門は感染症生態学です。この分野は、比較的新しい研究分野で、生態学で培われた手法や理論を駆使して、生態系での「病原体や寄生虫」と宿主の関係を解明することを目的としています。私は病原体や寄生虫を生態系の「1つの構成員」として捉え、彼らが他の生物とどのような関係を構築しているのか、どのような要因で増減しているのかを調べています。寄生や感染という奇妙かつ複雑な生活史をもつ生物の営みを知ることは学術的に面白いと感じています。一方で、こういったことを紐解いていくことで、病原体や寄生虫の規則性やパタンを見出すことができ、ひいては感染症のリスク低減も考慮した生態系の管理が可能となることも期待しています。
 現在は、吸血性の寄生者であるマダニ類(図1)が媒介する感染症に着目して、こういった研究を北海道大学苫小牧研究林(図2-3)の協力のもと実施しています。2019年度助成時の研究では、シカが高密度化すると、シカの採食により下層植生が減少して、下層植生の中で宿主動物を待ち伏せしているマダニ類の生存率が低下することが示唆されました。この研究から、「宿主が増え過ぎると寄生者が減るかもしれない」という意外で面白い現象を発見できたと思っています。

図1. 布に付着したマダニ類.jpg
図1.布に付着したマダニ類
マダニは、白い布を地面に引きずって採取しています。

図2. 苫小牧研究林.jpg
図2. 苫小牧研究林

図3. 苫小牧研究林の秋空.jpg
図3.苫小牧研究林の秋空
マダニを採っていると地面ばかり見ているので、たまに空を見上げて癒されています。

・これから笹川科学研究助成を申請される方へ
 私が初めて笹川科学研究助成金(以後、笹川助成)に申請し採択していただくまで(申請時、修士2年)、計4つ以上の研究助成(笹川助成除く)に申請し全て不採択でした。当時の心境は、研究費はもちろんのこと、精神的にも(自分の研究が認められていないような錯覚に陥り)非常に辛かったと記憶しています。笹川助成に採択していただいたことで、とても救われた気持ちになったことを良く覚えています(その節は本当にありがとうございました)。笹川助成を申請するにあたり、指導教員に10回以上も添削していただき、推薦書も快く作成していただきました(鈴木先生、ごめんなさい)。当時、申請書で求められる文量や項目が多かったため、作成には苦労しました。しかし、修士論文を執筆する際、申請書で要求された内容が大いに役立ちました。申請するか悩んでいる方は、ぜひ挑戦してみることをお勧めします。
<以上>

 シカが増えると、寄生者であるマダニも増えそうに思えますが、実際は減少する可能性があるとのことでした。自然界は大変複雑にできているのだと感じました。
 助成金への申請は、大変なことだと思います。しかし、その過程で、様々な人と議論を行い、考えをまとめ、申請書を作成することは、研究者として貴重な経験になると思います。本助成を足掛かりとして、今後も挑戦を続けていただきたいと思います。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 11:32 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介(SHEN YIGANGさん) [2021年05月24日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2019年度に「マイクロ流体デバイスを用いた潤滑オイルの金属粒子のリアルタイム検出と分析システムの開発」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、大阪大学生命機能研究科、SHEN YIGANGさんから最近の研究とコメントを頂きました。

<SHENさんより>
 私の専門分野は微細加工、電気計測と生命科学の融合分野であり、最新のマイクロ流体デバイスの開発とその応用の開拓を中心とした研究を行っております。2019年度に笹川科学研究助成をいただき、1年間、マイクロ流体デバイスを用いて船舶エンジンの故障研究関連の研究を行いました。お陰様で、最先端のマイクロ微細加工技術の利用ができ、電磁検出機能を搭載したマイクロ流体デバイスの開発に成功しました。この提案は、私の修士時代で開発した技術を一部生かしているものであり、エンジンの故障予兆とされる潤滑剤に含まれる金属粒子の量を定量的に評価する方法です。本手法の開発を経て、計測技術の習得やマイクロ流体デバイス技術への理解が一層深まり、今後の研究への活用も十分期待できると思います。
 さらに、私の現在取り込んでいる研究は、上記の課題のみならず、細胞などの微小粒子を高精度に操作可能な技術の開発にも力を入れています。細胞操作技術は、細胞の化学・力学的な挙動の解析やドラッグデリバリーのツールとして、生物学や医学の分野に大きな進展をもたらしています。これまで、様々な細胞操作技術は開発されて来たが、物理的な接触を必要としない非接触操作法は細胞等へのダメージを最小限に抑えることができ、操作も比較的簡便であることから、広く注目を集めています。既存の非接触細胞操作技術は、光学場、音響場、電場、熱場などといった、外部からの制御による場の勾配を利用して、微小物体の動きを制御するものです。この中でも、熱場(熱勾配による流体還流)を用いる操作方法は、物体への刺激が少ない、周囲の他のユニットとの統合し易い、物理的振動がなく、媒体の伝導率による制限がないなど、数多い非常に魅力的な特徴があります。そこで、私は上記のマイク流体デバイス技術と熱場による流体還流操作を融合し、多種類細胞の高精度操作が可能な次世代ポタブル細胞操作デバイスの開発を行っています。参考文献:Y. Shen,et al, Lab Chip, 2020, 20, 3733–3743.

図1.jpg

 最後ですが、この度、日本科学協会に充実したご支援をいただき、期待していた以上の成果を上げることができました。予算の使用に関する相談や、研究の進捗状況に合わせた途中変更にも親身になって柔軟に対応していただきました。お陰様で、ヨーロッパでの国際学会にも参加ができました。学会でプレナリー講演や他の発表を聞くことで、マイクロ流体や細胞のスクリーニングの分野の最先端の技術を知ることができ、自身の知識を広げ、また深めることができました。本会議では、自身の研究を深め、海外の研究者らの研究を広く知り、また研究者らと交流することができ、私にとって素晴らしい機会となりました(図2)。

図2.jpg

 笹川科学研究助成を申請する過程も非常に勉強になりました。研究計画の作成や研究費の管理、プロジェクト遂行に関する決断など、研究室の長が行う作業を自分自身で体験ができ、非常に貴重な経験でした。このような機会を与えてくださった本助成プログラムおよび関係者の方々に心から感謝いたします。
<以上>

 本制度の助成期間は1年間と短いものであり、その間に研究がすべて完了するものではなく、予算も十分では無いかと思います。しかし、研究計画を立案して研究費を獲得し、研究の進捗や経費をご自身で管理し、成果を発表するという一連の研究の流れを、若手のうちから経験することで、様々なことが見えてきたのではないかと思います。研究分野の壁を越え、今後も頑張っていただきたいと思います。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 13:52 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介(矢澤 優理子さん) [2021年05月17日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2019年度に「河川空間における集落構造と自然資源利用の実態に関する研究」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、千葉大学大学院園芸学研究院所属の、矢澤 優理子さんから助成時の研究について、コメントを頂きました。

<矢澤さんより>
 皆さんは「堤外地」という用語を耳にしたことがあるでしょうか?堤外地とは、堤防と堤防に挟まれた川側の土地、つまり、一般的には河川敷と河川の流路の範囲を指す言葉です。堤外地は、今ではゴルフ場やスポーツグラウンドになっているところが多く、特に都市部では顕著です。しかし、かつては堤外地にも集落があり人が住んでいたり、農業や漁業、舟運関係の仕事など、様々な生業が営まれていました。2019年には、この堤外地集落に着目し、集落の空間構造と生業を通じて行われる自然資源の利用(草や木、土壌や河川の流水利用など)との間には、なにか関係性があるのではないか?と考え、研究を行いました。

図1 堤外地の範囲.jpg

 集落の空間構造の調査では、河川改修の時に作成された大正時代の地図を使って集落の土地利用を全て図化し、集落をタイプごとに分類する調査を行いました。調査の結果、対象とした51の堤外地集落は、「集村型」、「散村型」、「列村型」の3種類に区分されました。また、どの集落でも集落の周辺に耕地と河畔林や草地、湿地が存在しており、河川の増水時に集落を守るために河畔林や草地を利用した空間配置が行われていることが示唆されました。

図2 対象とした堤外地集落の空間構造.jpg

 また、集落の生業については、明治末期の地域の状況を示した『武蔵国郡村誌』を用いて調査を行いました。その結果、全51集落の基幹産業は農業であり、農業のみを生業としている集落が44集落ありました。そのほかの7集落では、工業、商業、雑業、紡織などが営まれており、2集落では漁猟も行われていました。河岸や渡船場、橋のある集落は河川の横断地点に「列村型」の形態で形成されており、船への荷物の積み下ろしや渡船、漁猟という川と関連する生業が集落の空間構成に影響を与えていることが示唆されました。

図3 各集落における生業と集落形態との関係.jpg

 上記のように、私は堤外地を対象に、自然環境の変化と人の空間利用がどのように関わっているのかを研究しています。扱う対象が人文社会科学と自然科学の両方にまたがっており、これまで受けられる助成制度がなかなか見つかりませんでした。笹川科学研究助成は、複合的な分野の研究も助成対象となっており、研究を行う機会をいただけて大変ありがたく思っています。また、助成金を活用して地方の学会にも参加でき、他の研究者の方々から助言や質問等をいただけたことも大きな糧になりました。改めまして、研究の機会をくださいました日本科学協会の皆様には深く感謝申し上げます。
<以上>

 明治末期頃には、人々は生業によって住む場所を決め、自然環境をうまく活用した空間利用をしていたということが分かってきたとのことでした。今後も興味深い結果が出ますよう、頑張っていただきたいと思います。
 笹川科学研究助成では、様々な分野を横断したテーマについても複合系として支援をさせていただいており、特徴の一つとなっているかと思います。今後も、皆様の独創的な申請をお待ちしております。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 11:50 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介(櫻庭 陽子さん) [2021年04月26日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2019年度に「身体障害に対するチンパンジーとヒトの社会的態度の違いに関する研究」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、京都市動物園生き物・学び・研究センター所属(助成時)の、櫻庭 陽子さんから助成時の研究について、コメントを頂きました。

<櫻庭 陽子さんより>
ヒト社会において、身体障害者に対する反応や態度は様々です。一方、ヒトに一番近縁なチンパンジーでは、身体障害個体に対する群れの仲間による攻撃行動や血縁者以外による特別な支援は、野生ではほとんど見られません。飼育下でも、身体障害個体が群れに復帰している例がいくつか報告されていますが、彼らに対する群れメンバーの社会行動や態度にフォーカスした研究はほとんどありません。これらの社会的態度を調査することにより、身体障害個体の福祉向上としての群れ飼育を議論するとともに、私たちヒトの身体障害者に対する社会的態度の進化について考察することを目的としました。

Fig.1.jpg
―Fig.1―

今回の研究では、2つの動物園(愛知・熊本県内の動物園)で生活している身体障害があるチンパンジー2個体とその群れメンバーの行動を観察し、さらに身体障害チンパンジーの写真に対しての視線の動きを調査し、「行動的態度」「認知的態度」の抽出を試みました。行動観察の結果、チンパンジーでは身体障害が社会行動の違いに影響することはほとんどなく、野生で報告されているように、身体障害個体だけが特別配慮されたり排除されたりするような行動的態度の偏りはありませんでした。また彼らが群れ復帰した際の群れメンバーの態度について、当時の飼育スタッフにインタビューしたところ、大きな変化はなかったという回答が得られました。障害の程度や群れ構成、個性や性別も考慮する必要はありますが、今回観察した2群では、身体障害個体に対して特別な配慮も攻撃的な態度もほとんどなく生活できていることから、群れ飼育が身体障害個体の福祉向上にも有効である可能性が示唆されました。

Fig.2.jpg
Fig.2 右後肢を病気で切断したメスのチンパンジー

Fig.3.jpg
Fig.3 群れの仲間と暮らす左前腕を切断したメスのチンパンジー(左から3番目)

視線計測の認知実験では、ヒトの被験者において障害部位を長時間見る傾向がありました。今回チンパンジーを対象にした視線計測は助成期間中に実施できませんでしたが、チンパンジーたちが身体障害を認知しているのか、認知しているけども行動的態度に現れないだけなのか、それとも新たな発見があるのか…実験の準備をしているところです。

「動物」「社会的態度」「身体障害」という生物分野にも人文・社会分野にもかかわる研究内容だったため、提出する分野によって書き方を工夫しました。繰り上げ採択でしたが、他園での観察に必要な旅費を確保できたことは非常にありがたかったです。荒天による観察日の変更や観察対象個体の死亡などのハプニングもありましたが、メールでの相談にも応じていただき、無事遂行することができました。また、笹川科学研究助成は基本的に個人管理です。私は所属施設に管理をお願いしましたが、支出簿の作成や領収書の保管など、自ら研究費を管理・運用するいい機会になりました。
<以上>

 ヒトと、ヒトに一番近縁なチンパンジーの身体障害に対する行動や認知について調査する、興味深い研究でした。まだ実験の途中ということですので、これからも頑張っていただきたいと思います。
 研究は予想通りに進まず、様々なハプニングが起こることもあります。当会としては、計画の変更等によって対応させていただきたいと思いますが、あまりにも当初の計画と異なる場合は承認されない場合もあり、助成金を使い切れなかったという例もあります。そのため研究計画を立てる際は、様々なことを想定し柔軟な計画とすることも、研究を速やかに遂行する上では重要になるかと思いますので、意識していただけますと幸いです。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 16:37 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介(松尾 洋孝さん) [2021年04月19日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2019年度に「硫黄選択的酸化反応および質量分析計を用いた微生物由来新規含硫黄物質の探索」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、北里大学北里生命科学研究所所属(助成当時)の、松尾 洋孝さんから最近の研究について、コメントを頂きました。

<松尾さんより>
 2019年度笹川科学研究助成に採択していただき、非常に充実した研究生活を送ることができました。助成当時、私は2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞されました大村智博士の統括するグループにて微生物の作り出す化合物に関する研究をしておりましたが、現在は国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の薬用植物資源研究センターに所属を変え、植物に関する研究を行っております。学生時代より変わらず、いわゆる「ものとり」(植物や微生物などの天然資源から化合物を得ること)をメインに研究してきました。現在は未利用植物や薬用植物(生薬等)の利活用を目指し、その有用性探索などをメインに研究しています。
 生薬とは、動植物の一部あるいは全てを乾燥などの工程を経て調製されたものの総称です。漢方と言えば聞き覚えのある方は多いかと思いますが、漢方はいくつかの生薬を組み合わせて作られた処方全般のことを言います。葛根湯などは非常に有名なため、ご存知の方も多いかもしれません。大多数の方は、漢方は中国の医学(薬)だと思っているかもしれませんが、中国ではそれを中医学と言い、確かにルーツは中医学なのですが、実は漢方は日本独自の発展を遂げた医学なのです。しかしながら、漢方に使われている生薬のほとんどは中国からの輸入に頼っています。昨今、中国では自国での生薬使用量の増加等により、徐々に輸出量が減少しています。そのため、当センターでは生薬の原料となる植物の国内栽培化を目指し、日々研究をしています。また、薬用植物スクリーニングプロジェクト(https://www.nibiohn.go.jp/cddr/research/project04.html)として、全国の野生植物や、業界団体ご協力のもと、生薬の市販品などを収集し、それらを抽出してエキスライブラリを構築しています。現在、14,000点以上のエキスを保有しており、国内最大の薬用植物エキスライブラリとなっております (図1)。本ライブラリは、共同研究により様々な大学や企業に活用していただき、成果も着々と出ています。私自身も、新しい活性評価系を立ち上げ、エキスライブラリを活用して新規医薬品のシード探索を行っています。

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図1 薬用植物抽出エキスライブラリ

 笹川科学研究助成は、何に役立つかわからないが、とにかく自分の考案した研究をやってみたい!と言うような気持ちを全面的にバックアップしていただける助成だと思います。特に、大学院生でも申請できるため、研究室の方針に囚われない自由な発想を生かすチャンスかと思います。そのような熱意を持って申請書を作成すると、審査員の方々に伝わるのではないかと思います。これから申請を考えている人達の中にも、新型コロナウイルスの影響でなかなか思うように研究ができない人もいるかと思いますが、ぜひ若手の研究を積極的にご支援なさっている笹川科学研究助成に応募してみてください。最後になりましたが、本助成に関わりました審査員の方々、関係者各位の皆様に深く感謝申し上げます。
<以上>

 漢方というと、中国で発展したものかと思いましたが、日本で独自の進化を遂げているということを初めて知り驚きました。天然の動植物には、人間に役に立つ成分を含むものが、まだまだあるかと思いますので、様々な効能のあるエキスを見つけられるよう、頑張っていただきたいと思います。
 また笹川科学研究助成では、研究への熱意や気持ちを大事に支援させていただきたいと考えております。実績や成果の少ない若手研究者であっても、是非とも挑戦していただきたいと思います。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 15:52 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介(ドル 有生さん) [2021年04月05日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2019年度に「気孔発生パターンの多様性を生み出す分子基盤の解明〜アワゴケ属の水草を新たなモデル系として〜」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻所属の、ドル 有生さんから助成時の研究について、コメントを頂きました。

<ドルさんより>
 植物の気孔は、水蒸気や二酸化炭素などのガスを出し入れするために重要です。気孔は葉の表面にあって簡単に観察できるので、学校の授業で見たことがある方も多いと思います。
 色々な種の気孔を注意深く観察すると、種によって気孔の配置パターンは様々に違うことに気づきます。例えば、アブラナ科の植物の気孔は異なる大きさの細胞に囲まれていることが多いですが(図1A)、ツユクサでは大きさの同じ細胞のペアに囲まれています(図1B)。こういった見た目の違いは、気孔の形成過程を反映しています。例えば、アブラナ科の植物では気孔のもとなる細胞(気孔幹細胞)が、らせん状に複数回分裂するために、3つの異なる大きさの細胞に囲まれた気孔ができます(図1C)。

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図1: シロイヌナズナ(アブラナ科)(A)とツユクサ(B)の気孔と、シロイヌナズナの気孔の形成過程(C)。スケールバー: 25 μm

 もっと派手なことをする植物もいます。例えば、水中と陸上の両方で生活できる水草です。図2は私たちが研究対象としている水草、ミズハコベの葉を顕微鏡で観察した写真です。陸上で作る葉には気孔があるのに対し、水中で作る葉には気孔がほとんど見られません(参考文献1)。水に沈んだ時は薄い葉を作り、水中から直接二酸化炭素などを取り込むので、気孔が必要ないのです。

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図2: ミズハコベCallitriche palustrisの陸上葉と水中葉の表皮の顕微鏡写真。
黒矢じりで気孔を示す。スケールバー: 50 μm

 私が修士課程に入学した時は、この水草が水中で気孔を減らす仕組みを調べようとしていました。しかし、そこに意外な発見がありました。研究の前提としてミズハコベの気孔のでき方を調べたところ、気孔幹細胞が分裂せず、直接気孔になることが分かったのです(図3上)。さらに興味深いことに、ミズハコベと同じ属の、陸上でのみ生育する種では、アブラナ科で見られるような気孔幹細胞の分裂がふつうに起きていることが分かりました(図3下)。

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図3: ミズハコベと、同属の陸生種アワゴケにおける、気孔の形成過程の違い。

 これほど近縁な種で気孔の形成パターンが違い、さらにそれが生活環境の違いと関連する例はこれまで知られていません。この現象の背後にある仕組みを調べれば、植物一般における気孔の種間差(図1)が生まれる仕組みの解明にも繋がると期待されます。私は修士2年時の1年間、笹川科学研究助成を頂き、この現象の分子基盤を解析しました。その成果は、つい先日論文として公表することができました(参考文献2)。

 修士課程の学生も応募でき、独自の視点が評価される笹川科学研究助成は、このような私の状況にぴったり合っていました。また、申請書を書くというプロセス自体、駆け出しの私にとって大変勉強になりました。後輩の学生たちにも応募をお勧めするとともに、ご支援を頂いた日本科学協会の関係者の皆様には厚く御礼を申し上げたいと思います。

参考文献1 Koga H, Doll Y, Hashimoto K, Toyooka K, Tsukaya H (2020). “Dimorphic Leaf Development of the Aquatic Plant Callitriche palustris L. Through Differential Cell Division and Expansion” Front Plant Sci 11:269. https://dx.doi.org/10.3389/fpls.2020.00269

参考文献2 Doll Y, Koga H, Tsukaya H (2021). “The diversity of stomatal development regulation in Callitriche is related to the intrageneric diversity in lifestyles” PNAS 118:14. https://doi.org/10.1073/pnas.2026351118
<以上>

 植物が呼吸するために必要な気孔が、環境や種によって異なる出来かたをしているということは、非常に意外なことに思います。気孔は小学校でも習うことではありますが、まだまだ分からないことがあるということに驚きました。
 また、笹川科学研究助成では若手研究者をサポートするため、修士課程の方のご申請も受け付けておりますので、是非とも挑戦してみてください。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 10:36 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介(Emil Salimさん) [2021年03月29日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。本日は、2019年度に「力学的刺激によって誘導される非感染時の自然免疫応答メカニズム解明」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、金沢大学大学院医薬保健学総合研究科所属の、Emil Salimさんから助成時の研究について、コメントを頂きました。

<Emil Salimさんより>
Sterile Inflammation is the inflammation that caused by non-microorganism which induced by various factors including abnormal cell death, endogenous particulate such as cholesterol, mechanical stimuli, and environmental conditions such as ultra-violet radiation. This inflammation is related to many diseases such as cancer, myocardial infarction, stroke, and atherosclerosis. Much has been known about inflammation caused by microorganisms. However, the sterile stimuli-activated immune system remains poorly understood. The knowledge of how inflammation is activated and regulated under sterile condition is very essential to give insight on how sterile inflammation related diseases can be treated better. Because of this condition seems involve multiple and complex pathways, the utilization of animal models, such as insects and mammals, is very useful.

Fruit fly (D. melanogaster), a simple yet powerful genetic model organism, has been used to discover molecular mechanism in diverse biological processes, including the innate immune system. Our group, under the supervision of Assoc. Prof. Dr. Takayuki Kuraishi, found that pinching fruit fly larvae (Figure 1) can induce sterile inflammation and found that mechanism underlying this process is different to that of microorganism. Thus, we use this model to find responsible genes in sterile inflammation and study their function (Figure 2). This study will provide new insight on how sterile inflammation occur in human.

We thank to Sasakawa Scientific Research Grant of the Japan Science Society for their support to our study. This support has helped us to discover candidate genes that play role in sterile inflammation. We believe such support to researchers and students will give big contribution to the science.

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Figure 1. Pinching Drosophila larvae using forceps

Figure2.jpg
Figure 2. Sterile inflammation in Drosophila larvae may give new insight on
how sterile inflammation occurs in human

<以上>

 笹川科学研究助成では、留学生の方のご申請も受け付けております。日本での研究は言語の問題もあり大変かとは思いますが、様々な刺激を受けることができると思いますので、是非とも挑戦していただきたいと思います。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 14:58 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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