先輩研究者のご紹介 中嶋 梨花さん
[2026年07月06日(Mon)]
こんにちは。科学振興チームです。
本日は、2023年度「細胞質雄性不稔性ジャガイモ品種の稔性回復」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、筑波大学大学院理工情報生命学術院生命地球科学研究群生物資源学科学学位プログラム(助成時)の中嶋梨花さんからのお話をお届けします。
<中嶋さんより>
この度はこのような執筆の機会をいただき、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。私は現在、東京大学大学院生命科学研究科の博士後期課程に在籍し、植物のミトコンドリアについて研究しています。
ミトコンドリアは真核生物(動物、植物、菌類などすべての多細胞生物と多くの単細胞生物)の細胞内にある細胞小器官です。ミトコンドリアは生物の生存に必要なエネルギーであるATP(アデノシン三リン酸)を生産する重要な存在です。遺伝情報であるDNAは多くが細胞の核にありますが、ミトコンドリアは独自のDNA、ミトコンドリアDNAを保持しています。ミトコンドリアDNAは核DNAに比べてDNA量は少ないですが、ATP生産に関わる重要な遺伝情報です。ミトコンドリアDNAに変異(塩基の置換や挿入、欠損)が生じると、動物ではミトコンドリア病と呼ばれる疾患につながることもあります。植物も同様で、ミトコンドリアDNAが植物の成長や生育に様々な影響を与えています。私は2023年度の笹川科学研究助成をいただき「細胞質雄性不稔ジャガイモ品種の稔性回復」について研究しました。細胞質雄性不稔とは植物のミトコンドリアDNAにコードされている遺伝子が原因で異常な花や花粉ができる現象です。ジャガイモでは多くの品種が細胞質雄性不稔であるため、植物が花を咲かせても受粉ができず種子ができません、そのため育種が困難で種イモによる繁殖が必要です。私はこの問題を解決するため、いただいた助成金で花粉や原因となる遺伝子の解析を行いました。研究の成果は2026年に論文として発表することができました。

写真1: ジャガイモの花(左)と果実(右) 図1:細胞質雄性不稔の概念図
【申請を検討している方へ】
私が笹川科学研究助成に申請したのは学部4年生の時で、翌年の修士1年生の時に助成をいただきました。今振り返ると、当時は研究を始めたばかりで、もちろん業績もありませんでした。ただ、この研究はとても面白いし、将来的になにか大きな発見につながっているのではないかと思っていました。笹川科学研究助成は私のように業績や経験がなくても研究テーマの面白さや斬新さを評価してもらえます。良いアイデアがあるけれど研究をする予算がない、研究実績がないといった方にはぜひチャレンジしていただきたいです。
論文情報
Nakajima R, Sanetomo R, Shirasawa K, Ariizumi T, Kuwabara K. Relationship between open reading frame 320, a gene causing male sterility in tomatoes, and cytoplasmic male sterility in potatoes. Plant Cell Physiol. 2026 Apr 14;67(3):289-300. doi: 10.1093/pcp/pcaf157. PMID: 41288592.
日本科学協会では過去助成者の皆様より、研究成果や近況についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
本日は、2023年度「細胞質雄性不稔性ジャガイモ品種の稔性回復」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、筑波大学大学院理工情報生命学術院生命地球科学研究群生物資源学科学学位プログラム(助成時)の中嶋梨花さんからのお話をお届けします。
<中嶋さんより>
この度はこのような執筆の機会をいただき、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。私は現在、東京大学大学院生命科学研究科の博士後期課程に在籍し、植物のミトコンドリアについて研究しています。
ミトコンドリアは真核生物(動物、植物、菌類などすべての多細胞生物と多くの単細胞生物)の細胞内にある細胞小器官です。ミトコンドリアは生物の生存に必要なエネルギーであるATP(アデノシン三リン酸)を生産する重要な存在です。遺伝情報であるDNAは多くが細胞の核にありますが、ミトコンドリアは独自のDNA、ミトコンドリアDNAを保持しています。ミトコンドリアDNAは核DNAに比べてDNA量は少ないですが、ATP生産に関わる重要な遺伝情報です。ミトコンドリアDNAに変異(塩基の置換や挿入、欠損)が生じると、動物ではミトコンドリア病と呼ばれる疾患につながることもあります。植物も同様で、ミトコンドリアDNAが植物の成長や生育に様々な影響を与えています。私は2023年度の笹川科学研究助成をいただき「細胞質雄性不稔ジャガイモ品種の稔性回復」について研究しました。細胞質雄性不稔とは植物のミトコンドリアDNAにコードされている遺伝子が原因で異常な花や花粉ができる現象です。ジャガイモでは多くの品種が細胞質雄性不稔であるため、植物が花を咲かせても受粉ができず種子ができません、そのため育種が困難で種イモによる繁殖が必要です。私はこの問題を解決するため、いただいた助成金で花粉や原因となる遺伝子の解析を行いました。研究の成果は2026年に論文として発表することができました。
写真1: ジャガイモの花(左)と果実(右) 図1:細胞質雄性不稔の概念図
【申請を検討している方へ】
私が笹川科学研究助成に申請したのは学部4年生の時で、翌年の修士1年生の時に助成をいただきました。今振り返ると、当時は研究を始めたばかりで、もちろん業績もありませんでした。ただ、この研究はとても面白いし、将来的になにか大きな発見につながっているのではないかと思っていました。笹川科学研究助成は私のように業績や経験がなくても研究テーマの面白さや斬新さを評価してもらえます。良いアイデアがあるけれど研究をする予算がない、研究実績がないといった方にはぜひチャレンジしていただきたいです。
写真2:日々の研究の様子
論文情報
Nakajima R, Sanetomo R, Shirasawa K, Ariizumi T, Kuwabara K. Relationship between open reading frame 320, a gene causing male sterility in tomatoes, and cytoplasmic male sterility in potatoes. Plant Cell Physiol. 2026 Apr 14;67(3):289-300. doi: 10.1093/pcp/pcaf157. PMID: 41288592.
<以上>
日本科学協会では過去助成者の皆様より、研究成果や近況についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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