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先輩研究者のご紹介(岩田 由香さん) [2022年09月12日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2021年度に「高次脳機能障害者家族介護者におけるエコマッピングを応用したライフチェンジ適応促進プログラムの開発」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、横浜市立大学大学院医学研究科所属の、岩田 由香さんから、助成時の研究について、コメントを頂きました。

<岩田さんより>
 2021年度笹川科学研究助成学術研究部門にてご支援頂きました、横浜市立大学大学院地域ケアシステム看護学分野の岩田です。現在は博士課程生として在籍する傍ら、同教室で助教として勤めています。
 私がフォーカスしている研究対象は高次脳機能障害者の家族介護者です。高次脳機能障害は、脳血管疾患や脳外傷等を原因とする、失語、失行、失認、遂行機能障害、注意障害などを有する障害です。国内外において症例数は約1億1640万人に上り、発症率は1990年比で3.6%増加し、地域での累積的増加を鑑みれば、この国際的な介護負担への取り組みは目先の急務です。
 学術的施策的には、高次脳機能障害者の家族介護者に降りかかる介護負担感を主とした”弱みの軽減”が試みられています。私は、介護負担感はもはや軽減でき得ない条件であり、一転して、”強みを向上”する視点が必要だと着想しました。そこで当該家族介護者の【ライフチェンジ適応】を見出しました。高次脳機能障害は患者の人格変化や家庭内役割の再構築、喪失など、当該家族介護者に予期せぬ生活変化=ライフチェンジをもたらします。このライフチェンジに適応することが当該家族介護者のQOL向上に結び付くと考えました。以上より、本研究にてライフチェンジ適応を促進し得るプログラムを開発しました。
 研究デザインは無作為化比較試験であり、当該家族介護者の家族会の協力を得て全国調査を行いました。介入群に開発したプログラムを、対照群に各家族会で行われる通常サービスを提供し、介入前後の評価を行いました。結果、介入群が対照群と比較してライフチェンジ適応尺度スコアが有意に高く、開発したプログラムの効果が検証されました。本研究の成果は、国際オープンジャーナルPLOS ONEにて公表されています(https://doi.org/10.1371/journal.pone.0273278)。

図.開発したプログラムの一部(エコマッピングパート).jpg
図1.開発したプログラムの一部(エコマッピングパート)

 本研究は、看護の視点がメインであるものの、社会福祉分野にも関わる複合的な研究であり、合致した研究助成が乏しく資金調達は困難でした。このような複合的・特異的な研究テーマをも歓迎くださる笹川科学研究助成のご支援は大変力強いものでした。さらに、本研究はプログラム作成、エコマッピングの回収にかかる郵送料、英文校正費用など、多額の研究費が発生しましたが、ご支援のお陰で研究費への負担を感じることなく、研究に専念でき、適切かつ円滑な研究プロセスを踏むことができました。改めまして、ご支援頂きました日本科学協会の皆様方に深く感謝申し上げます。

図.研究室の様子.jpg
図2.研究室の様子
<以上>

 介護を受ける高次脳機能障害者だけでなく、家族介護者のQOL向上も、非常に重要な問題だと思います。多くの介護問題で困っている方の役に立つような研究成果がでるよう、これからも頑張っていただきたいと思います。
 笹川科学研究助成では複合系分野として、分野の垣根を超えた研究を募集しております。2023年度の募集は、9月15日から10月17日となります。皆様も是非、挑戦してみてください。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 10:15 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介(愛甲 将司さん) [2022年09月05日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2020年度に「ヒッグスセクターの構造解明と宇宙バリオン数生成問題」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、高エネルギー加速器研究機構所属の、愛甲 将司さんから助成時の研究について、コメントを頂きました。

<愛甲さんより>
 この記事を執筆している2022年は、ヒッグス粒子が発見されてから10年目の節目に当たります。ヒッグス粒子の発見と、それに続くHiggs, Englert両博士のノーベル物理学賞受賞は、当時のニュースなどで大きく取り上げられたので、記憶にある読者の方もいらっしゃるかもしれません。

pic1.jpg
写真1:2022年7月にイタリアで開催された国際会議ICHEP2022での写真です。ヒッグス粒子発見10周年を祝う記念講演も開かれました。

 ヒッグス粒子は、素粒子の質量を生成する「ヒッグス機構」に付随して現れる素粒子です。素粒子間の相互作用は、ゲージ理論と呼ばれる枠組みで記述され、直感的にはゲージボソンと呼ばれる粒子が力を伝達するという形で理解できます。ゲージ理論では、その基礎となるゲージ対称性の帰結として、ゲージボソンの質量がゼロになります。一方で、自然界に存在する弱い相互作用を記述するためには、ゼロでない質量を持ったゲージボソンが必要です。ヒッグス機構では、ゲージ対称性を自発的に破ることによって、ゲージボソンの質量を生成しますが、このときヒッグス粒子が観測可能な粒子として現れます。詳細は割愛しますが、ゲージボソンの質量を生成するために考案されたヒッグス機構は、クォークとレプトンと呼ばれる他の素粒子の質量生成にも関与しており、ヒッグス粒子の発見は、新粒子の発見という意味だけでなく、素粒子の質量生成機構の解明という観点でも重要な出来事でした。
 さて、ヒッグス粒子が発見されたことで、素粒子の標準理論が一応の完成を見ました。しかしながら、話はここで終わりません。というのも、ヒッグス粒子の荷電・鏡映変換の下での振る舞いや、他の素粒子との相互作用のあり方など、その性質に関して調べるべき事柄がたくさんあるからです。また、素粒子の標準理論も完璧ではなく、暗黒物質やニュートリノ質量、宇宙のバリオン数優勢など説明できない問題があります。私は、特に宇宙のバリオン数優勢を解決する理論模型では、しばしば第二第三のヒッグス粒子が導入されることに注目し、そのような理論模型を将来実験でどのように調べていくかを本助成のテーマとして研究しました。発見されたヒッグス粒子の性質を詳細に調べあげることで、上述の諸問題を解決するような新物理理論への糸口が掴めるのではないかと期待しています。

pic2.jpg
写真2:黒板での議論風景です。一人では考え付かなかったアイデアが生まれるなど、共同研究者との議論を通じて得たものは多いです。

 振り返ると、本助成への応募に際して、研究計画を練り、申請書を作成したことは、苦労もありましたが、とても良い経験だったと思います。また、採択されたことは研究活動を行う上で大きな励みとなりました。学生の皆さんにも、ぜひ挑戦して欲しいと思います。
 最後に、本助成を通じて貴重な機会を与えてくださった日本科学協会の関係者の皆様に、この場を借りて御礼申し上げます。
<以上>

 研究は個人で行うものと考えられがちですが、共同研究者と議論をしたり、先生から指導をうけたり、多くの人達と関わることで、より良い研究になるのではないかと思います。新型コロナウイルス感染症の流行がなかなか収まらず、対面での交流が難しい状況ではありますが、頑張って研究を続けていただきたいと思います。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございまし
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 10:33 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介(中村 大輝さん) [2022年08月15日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2020年度に「理科の問題解決における仮説設定の質と深い学びに関する研究」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、広島大学所属の、中村 大輝さんから助成時から最近の研究について、コメントを頂きました。

<中村さんより>
 さて、皆さんは小・中学生のころ、理科の勉強は好きだったでしょうか?全国的な調査の結果からは、小学生の8割以上が理科好きであるのに対して、中学生では6割程度にとどまるということが明らかになっています。しかし、小学生であっても科学的に考えることが好きというわけではなく、実験をアクティビティとして楽しんでいるに過ぎないという批判もあります。実験に先行して仮説が設定されなければ、実験は目的意識を失ったただの遊びに成り下がってしまいます。それにもかかわらず、義務教育を通して仮説設定の指導に時間が割かれることは少ないという実態があります。
 このような現状を踏まえ、私は笹川科学研究助成を受けて、理科の授業における仮説設定の場面に着目し、仮説設定の指導に時間を割くことの効果について検討しました。方法としては、日本全国で行われている様々な理科授業の指導法とその後の学力のデータを収集し、メタ分析という手法で統合した上で、以下のような指導法ごとの学力向上効果のランキングを作成しました。すると、学習者が主体的に仮説を設定する活動を重視した指導法が学力向上に相対的に高い効果を発揮することが明らかになりました(中村ら,2020)。

画像1.jpg

 その後の研究では、学習者が仮説を設定する中で自然現象に内在する変数に着目するようになり、科学的思考力の向上に貢献することが徐々に明らかになってきています。新しい時代の理科教育を受ける子供たちは、先生や教科書から与えられた実験をただ実施するのではなく、自らが見出した問題に対して仮説を立てた上で、科学的に探究していくことが期待されています。
 私の専門である科学教育・理科教育は、自然科学との関連が深い学問領域でありながら、分類上は人文・社会科学に位置づけられるため、自然科学と比べて利用できる助成金などが限られています。そのような中で、笹川科学研究助成のように人文・社会科学も対象とした助成事業の存在は大変貴重でありがたいものです。申請に際しては、過去の採択された研究課題名や選考総評を参考にして、専門外の方にも研究の魅力を伝えられるよう工夫しました。採択後は、新型コロナウイルスの影響により研究計画や予算の使い方の変更を余儀なくされたものの、日本科学協会の方はこれらの変更の相談に真摯に対応してくださいました。助成事業を通して貴重な機会を与えていただいたことに心から感謝申し上げます。

*文献
中村大輝, 田村智哉, ... & 松浦拓也. (2020). 理科における授業実践の効果に関するメタ分析―教育センターの実践報告を対象として―. 科学教育研究, 44(4), 215-233.
<以上>

 インターネットの発達等により簡単に答えを検索できるようになり、仮説を立てて考えるといったことが疎かになっているように感じます。子供たちの学力向上のためにも、研究を続けていただきたいと思います。
 また、笹川科学研究助成では幅広い分野の研究を募集しております。分野を跨がる研究も、複合系として募集しておりますので、皆様もぜひ申請してみてください。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 11:43 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介(中山 絵美子さん) [2022年08月01日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2020年度に「超音波画像装置を用いた寝たきり高齢者の尿路感染症の早期発見方法の開発」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、東京大学大学院医学系研究科所属の、中山 絵美子さんから助成時の研究について、コメントを頂きました。

<中山さんより>
 東京大学大学院医学系研究科老年看護学分野の中山です。大学院では、年を取るのも悪くないと思える社会を目指し、高齢者のための新しいケアの確立に取り組んでいました。
 高齢者が抱える身体的問題は非常に多くありますが、本研究ではQOL低下に直接影響を及ぼす下部尿路症状、そしてそれらの症状に対する排尿ケアに着目しました。臨床での排尿ケアでは非侵襲的なエコーを用いた膀胱内尿量計測が推奨されており、通常患者が仰臥位の状態で実施されます。本研究では、座位と立位におけるエコーを用いた膀胱内尿量推定式の検討を行いました。
 20-70歳代の健常者65名に対して、座位と立位で膀胱エコー観察を実施し、仰臥位時と同様の膀胱内尿量推定式を用いて算出した推定尿量値と真値の関係をみることで、推定式の精度を検討し、座位と立位ともに仰臥位同様の膀胱内尿量推定式を適用できることを明らかにしました。

エコー画像例.png
図 エコー画像例

 私は現在病院で看護師として勤務しており、臨床現場における尿路感染症の有病率の高さ、そして重症化を予防することの重要性を、身をもって実感しています。また、実際に臨床でもエコーを使用して膀胱内尿量を計測する場面は多くあり、自身の研究の意義を改めて感じることができました。
 笹川科学研究助成は、大学院生でも応募可能な研究助成です。新型コロナウイルスの流行に伴い、研究テーマの変更を余儀なくされた際も、研究計画の修正に迅速に対応していただき、安心して研究に専念することができました。
 改めまして、このような研究の機会をくださいました日本科学協会の皆様、並びに研究協力者の皆様に深く感謝申し上げます。
 今後は、本研究の成果を論文や学会発表などで発信していくとともに、本研究から得た知見を臨床現場でも役立てていきたいと思います。
<以上>

 高齢化社会となった日本では、非常に重要な研究だと思います。このような基礎研究の積み重ねが、臨床現場でも役立つ知識となるのだと思います。良い研究成果が出るよう、陰ながら応援させていただきます。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 09:12 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
2023年度笹川科学研究助成の募集について [2022年07月29日(Fri)]
2023年度笹川科学研究助成の募集要項が公開されました。
本年度も、よろしくお願いいたします。

2023年度ポスター.jpg

◆申請について
詳細については、下記の本会Webサイトをご確認ください。
・本会Webサイト
https://www.jss.or.jp/ikusei/sasakawa/

■申請期間
・申請期間 :2022年10月17日 23:59 まで

■募集部門
【学術研究部門】
 ・35歳以下の若手研究者
   大学院生(修士課程・博士課程)
   所属機関等で非常勤または任期付き雇用研究者として研究活動に従事する方など
 ・1件あたりの助成額の上限は150万円
 ・「海に関係する研究」は重点テーマとし、雇用形態は問わない

【実践研究部門】
 ・学校、NPO、博物館、図書館などに所属している方
 ・1件あたりの助成額の上限は50万円

■申請方法
 Webからの申請です。

◆ご周知について
下記の本会Webサイトへのリンクや、ポスターを印刷し、ご周知頂けますと幸いです。
・本会Webサイト
 https://www.jss.or.jp/ikusei/sasakawa/ 
・募集告知ポスター
 https://www.jss.or.jp/ikusei/sasakawa/data/2023poster.pdf

皆様のご申請、お待ちしております。

<問い合わせ先>
公益財団法人日本科学協会 笹川科学研究助成係
TEL 03-6229-5365 FAX 03-6229-5369
https://www.jss.or.jp
E-mail:josei@jss.or.jp
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 14:23 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介(吉冨 容さん) [2022年07月25日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2020年度に「人間とロボットが協力して『海ごみ清掃作業』を行い『きれいな海を守る』活動地域づくりを行う。」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、一般社団法人BC-ROBOP海岸工学会所属の、吉冨 容さんから助成時の研究について、コメントを頂きました。

<吉冨さんより>
 私達は「ロボットと協働する海岸清掃は多世代オープン・イノベーション」を目標にして取り組んでいます。
 福岡県宗像市の世界遺産「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群の構成資産および緩衝地帯においては地域全体の保全環境を守っていく必要が有ります。
 この大島沖津宮遙拝所下及び世界遺産の緩衝地帯内海岸漂着ゴミの状況把握、持続可能な回収処理に係る新たな方策の検討、ロボットやドローンを中心に、海岸で清掃活動に働く機械の技術を体験する。ボランティアから参加する多世代の人たちが、海の技術に関心を持つことにより、オープン・イノベーションに取り組む活動をしています。

 最新の技術利用を利用した協働海岸清掃作業を短期間で具体化し、清掃のみならず、人材育成の実をあげ、継続的な活動を行います。
 筑前大島の沖津宮遙拝所下及び世界遺産の緩衝地帯内における海ゴミ(漂着ゴミ)の状況把握、持続可能な回収、処理に係る新たな方策、特に構成資産「宗像大社沖津宮遙拝所」近くの海岸沿いにおいては、大量の漂着ゴミの散乱が大きな課題であるとともに、収集したゴミの処理方法に苦心しています。

 そこで、玄界灘の離島海岸清掃作業の中で最も厳しい3K作業であるゴミの海岸線に沿っての運搬をロボットに任せ、ボランティアの重労働を軽減しようと方法を研究しています。
・クローラー型自走運搬機(キャタピラ)改造で海岸岩場凹凸対応出来るか
・ゴロタ石の海岸岩場での自動運搬機足回り稼働実験研究する。

図1.jpg
図1)大島宗像大社沖津宮遥拝所の緩衝地帯

写真1.jpg
写真1.ゴロタ石の海岸足場状況

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写真2.ゴロタ石の海岸運搬機運行テスト

 これまでコロナ感染拡大の影響、緊急事態宣言で殆ど研究活動進んでいません。いままで玄界灘の離島海岸清掃作業の中で最も厳しい3K作業であるゴミの海岸線に沿っての運搬をロボットに任せ、ボランティアの重労働を軽減しようと方法を研究して来ています。道半ばですが今までまとめた項目成果です。

1)ロボットを活用した海岸清掃の成果
 ビーチクリーンロボットを活用した海岸清掃の成果は以下の通りである。GPSによる位置測位試験を行ったのち、ロボットを自動走行させた。礫浜は足場も悪く作業が辛い現場である。2日間遙拝所海岸でロボットが6往復してゴミ袋16個、ロープ、大綱、冷蔵庫扉などを運搬できた。島の住民にも、労力削減の希望が見えたと喜んでいただけた。

2)海岸清掃ロボットの活用、処理施設の整備と海洋工学の人材育成
 回収した漂着ごみの運搬を代替するロボットの活用により、ゴミ運搬の自動化と省力化を実現できる。運用時には、専門的な知識が必要となることから、人員配置等の検討が必要である。
 大島に脱炭素化可搬型高温焼却炉を整備し、島内の砂浜や磯の海岸で回収した漂着ごみの焼却を可能とする。運用時には環境管理の専門的性の高い人員を配置する必要がある

図2.jpg
図2)離島海岸清掃の未来図

 昨年10月国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)のSDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム((シナリオ創出フェーズ)採択されて現在九州工業大学と九州大学の共同研究、宗像玄界灘沿岸で『人とシステムの協働による海岸清掃共創シナリオの構築』研究に取り組み「地域コーディネーター」担当をやっています。
https://www.jst.go.jp/ristex/solve/project/scenario/scenario21_hayashipj.html

 まだまだ課題は多くありますが、『人とシステムの協働による海岸清掃共創シナリオの構築』を実現できるように、さらに研究を進めていきたいと思います。

 私は申請時、福岡県世界遺産室から推薦してもらい採択していただき、本当に良かったと思います。良いチャンスなのでこれからも研究費申請の経験が浅い若手技術者の方も、積極的にチャレンジするといいと思います。
 最後に、このような貴重な機会を与えてくださった日本科学協会の皆様に心よりお礼申し上げます。
<以上>

 日本は海に囲まれた国であり、海岸に流れ着くゴミの回収については大きな問題となっています。岩場でのごみ拾いは凹凸があり歩きづらく転倒する危険性もあり、非常に大変だと思います。ゴミ拾いをする方の安全のためにも、ロボットによるサポートができるよう、今後も研究を続けていただきたいと思います。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 08:56 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介(春井 彩花さん) [2022年07月19日(Tue)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2020年度に「昆布摂取による高血圧予防機序における腸内細菌叢の役割」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、神戸女子大学大学院家政学研究科食物栄養学専攻所属の、春井 彩花さんから助成時の研究について、コメントを頂きました。

<春井さんより>
 腸内細菌叢は、今や腸疾患だけでなく、様々な疾病との関連が示され、私の所属研究室で取り扱う高血圧についても関連が報告されています。研究室ではすでに昆布による高血圧予防効果メカニズムをいくつか観察していますが、私はその他に腸内細菌叢の関与があるのではないかと考え、明らかにするべく研究を行っています。
 助成時の研究において、大きく3つの目的に沿って実施しました。まず@先行研究で示されている高血圧自然発症モデルラット(SHR)の糞便移植による正常血圧ラット(WKY)の血圧上昇を確認する(図参照)。その上でA昆布を摂取し血圧上昇が抑制されたSHRからの糞便移植の場合、通常のSHRからの移植と比べて血圧上昇が抑制されるのかを調べる。また、B@で確認した糞便移植によるWKYの血圧上昇はその後の昆布摂取により抑制されるかを調べることです。

図:糞便移植と血圧の変動について.jpg
図:糞便移植と血圧の変動について

 その結果、先行研究と同様にSHRの糞便をWKYに移植すると血圧上昇が観察されました。しかし、昆布を摂取し血圧上昇が抑制されたSHRからの糞便移植でも、これと同程度の血圧上昇が見られ、血圧上昇抑制は観察されませんでした。一方で、移植を受けたラット自身が昆布を摂取するとSHRの糞便移植による血圧上昇が抑制されることが観察されました。これまで観察されてきたSHRや腎血管性高血圧モデルラットだけでなく、糞便移植による血圧上昇にも昆布摂取が血圧上昇抑制効果を示すことが本研究を通じて分かりました。
 糞便には腸内細菌以外の物質も含まれているという本研究の限界点も踏まえて、メカニズムについては引き続き検討し、昆布の高血圧予防効果メカニズムについて腸内細菌叢が担う役割を明らかにしたいと思います。将来的には様々な食品やその成分、食べ合わせにも着目し、主として腸内細菌の観点から食に関する研究を行うことにより、人々の健康に寄与していきたいです。

実験の様子.jpg
写真:実験の様子

 笹川科学研究助成を受けて良かった点は、研究室で進められていた昆布摂取による高血圧予防効果メカニズムについて腸内細菌叢というこれまでとは異なる観点から検討することができたということです。今回の研究結果は必ずしもポジティブな結果とはいえませんが、考察する中で様々な可能性や課題を考えることができました。また、自分で計画を立て、研究費を管理しながら遂行し、まとめ、次の研究計画を立てるという主体的な研究活動を行うことは私にとって貴重な経験となりました。
 申請する際に気を付けたことは、研究内容について研究室の先生や先輩とよくディスカッションし、研究の意義や自分の考えを整理することです。また、自分の考えをしっかり書き切ることも重要かと思います。申請した理由を記載する欄があるので、そこにのびのびと自分の研究への思いや夢を表すのが良いのではないかと思います。
<以上>

 笹川科学研究助成では、若手研究者の皆様が、研究室で担当となった研究を進めていく際に、ふと疑問に思った事や興味を持った事等の、ご自身の発想で行う研究をサポートさせていただきたいと考えております。研究内容をまとめて助成制度に申請することは大変な事かと思いますが、ご自身のアイディアを見直す機会にもなりますので、是非皆様も申請してみてください。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 09:41 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介(阿部 駿佑さん) [2022年06月27日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2020年度に「未利用熱の有効利用を可能にする高汎用性スラリー熱媒体の流動・伝熱特性に関する検討および流動性の向上」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、信州大学大学院総合医理工学研究科総合理工学専攻所属(当時)の、阿部 駿佑さんから助成時の研究について、コメントを頂きました。

<阿部さんより>
 2020年度の笹川科学研究助成を受けた信州大学機械システム工学科特任助教の阿部と申します。助成を受けた当時は、同大学の応用熱工学研究室(浅岡研、http://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/engineering/department/mech/laboratories/n/index.html)に所属しており、2021年3月に博士号を取得しました。助成時の研究内容について軽くご紹介させてください。

 SDGsの認知拡大を皮切りに、省エネや環境問題への意識が国内外問わず高まってきました。そのような中、工場の排熱といった、未利用の棄てられている熱を回収・再利用しようという試み(研究)がなされています。私は、この未利用熱の有効利用方法として潜熱を利用した熱輸送方法に着目し、熱を熱のまま需要のある施設へ輸送するシステムを提案しています。しかしながら、この未利用の熱は、熱源としては温度が低く、利用が困難とされているのが現状です。そこで、この低温の熱源の温度をなるべく下げずに輸送するために、固液二相流(スラリー)に熱を蓄えて輸送するシステムの実現に取り組んでいます。この技術が完成すれば、図1のように、熱源から各熱需要先へ熱を輸送するシステムが実現できると考えています。

図1-a-whiteBack.png
(a)

図1-b-whiteBack.png
(b)
図1 熱輸送システムのイメージ図
(a:熱輸送媒体が水の場合、b:熱輸送媒体がスラリーの場合)

 この未利用熱の利用にスラリーが適している理由は、相変化時に生じる潜熱により、温度を保持する効果が期待できるためです。このため、低い温度の熱源でも、その利用価値を下げずに需要先に送ることが可能になります。しかし、スラリーを扱う時には、注意しなければならない点がいくつかあります。一例を挙げると、輸送配管内での閉塞現象があります。スラリーは液体中に固体が分散したものを指しますが、この固体が管内で滞留し、閉塞につながってしまいます。また、液体のみの場合よりも、固体が入ることで、輸送するためにより多くの輸送動力が必要になってしまいます。この高い温度保持性というメリットを最大限活かしつつ、輸送動力の増大・閉塞リスクというデメリットが最小になるような条件を明らかにすることが必要です。

図2.png
図2 スラリーの特徴

 私が笹川科学研究助成を受けたテーマでは、このスラリーの圧力損失(スラリーを流すのに必要な輸送動力の計算に必要)を測定し、適切に輸送動力を見積もるためのデータを得ることを目的としていました。実験では、2種類のスラリーについて調査を行いました。一つは、固体と液体の密度差が大きく、固体が沈殿しながら流れるスラリーです(図3)。検討の結果から、こういった沈殿を伴う流れでも適切に圧力損失を見積もれるモデルを示すことができました。また、2種類のスラリーの固相は結晶のサイズや形状がそれぞれ異なるため、それらが及ぼす影響についても検討しました(図4)。固液二相流の研究はすでに多く行われていますが、固体-液体間の相変化を考慮したスラリーの研究はあまり多くはありません。特に、結晶の粗大化や管路内での結晶の固着による圧力損失の増大や、閉塞条件に関する検討は十分に行われていません。安定した配管輸送を実現するには、圧力損失が小さい条件かつ管路で閉塞しない条件を定量的に明らかにすることが必須だと考えています。圧力損失の見積もりについては目処がついてきたため、これに閉塞性の検討を盛り込んでいくことが今後の課題になると考えています。

図3.png
図3 円管内で固体が管底部に沈殿しながら流れる様子

図4.png
図4 水溶液中での結晶の形状の違い(a:エリスリトール、b:マンニトール)

 申請したテーマは、私がB4のときに発足した研究テーマで、萌芽性の高い(芽生え期の)研究であったため資金調達は困難と思っていましたが、笹川科学研究助成を受けられたことで、想定以上のペースで研究を進めることができました。実験がメインの研究なので、進捗によっては必要物品に変更が生じます。研究計画に沿うという前提ですが、購入物品の変更に柔軟に対応していただき、スムーズに研究を進めることができました。またコロナ禍であったため、学会のオンライン開催にかかる出張費内訳の変更についてもご対応いただきとても感謝しています。お陰様で当テーマの内容も博士論文に盛り込んで発表することができました。また、IJRというIF付き国際誌に論文を投稿することもできました。日本科学協会の皆様には、研究助成を通じて貴重な機会をいただいたことに心から御礼申し上げます。

 私が調べた限りでは、学生のうちに申請できる研究助成は多くはありません。今後アカデミックポストを目指す方は、こういったグラント申請書が書けることは必須のスキルになるので、積極的に申請することをおすすめいたします。
<以上>

 持続可能な社会となるよう、これからも環境問題に対する研究を続けていただき、多くの成果が出ることを期待しております。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 10:27 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介(木村 和人さん) [2022年06月13日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2020年度に「輸血製剤の開発へ向けた血液細胞からのイヌiPS細胞株の樹立および赤血球への分化誘導」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、大阪公立大学大学院獣医学研究科所属の、木村 和人さんから最近の研究について、コメントを頂きました。

<木村さんより>
 私は、イヌの人工多能性幹細胞(iPS細胞)を用いた獣医再生医療の研究に取り組んでいます。iPS細胞は、体細胞を初期化することで作製され、ほぼ無限に増植する能力と体を構成するさまざまな細胞になる能力を有する細胞です。ヒト医療分野では、iPS細胞研究が急速に進んでおり、iPS細胞由来の網膜細胞やドパミン産生細胞をそれぞれ加齢黄斑変性やパーキンソン病の患者さんへ移植する再生医療の臨床試験も始まっています。
 その一方で、イヌiPS細胞研究はヒトほど進んでおらず、臨床応用への見通しはまだ立っていないのが現状です。その主な原因として、イヌiPS細胞は作製が難しく、ヒトと同じ作製方法ではうまくいかないことがあげられます。
 また、獣医療では血液バンクがありません。そのため、輸血を必要とする疾患を罹患した犬の飼い主は、動物病院を通して、または個人で献血ドナーを見つけなければなりません。このように、輸血用血液の不足が獣医療ではヒト医療以上に深刻な問題となっています。これに対して、イヌiPS細胞から赤血球を安定的かつ大量に作製できれば、献血ドナーに依存しない輸血用血液の安定供給が可能になり、問題を解決できます(図1)。

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 そこで、イヌiPS細胞の効率的な作製手法およびその赤血球への分化誘導法の開発を目指して、研究を行いました。
 その結果、イヌiPS細胞の作製については、細胞への遺伝子導入効率が高いセンダイウイルスベクターを用い、初期化を促進する低分子化合物を使用することで、採血により採取が容易な血液細胞から効率よくイヌiPS細胞を作製できることを明らかにしました(図2)。

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 この成果は、国際学術誌に掲載されただけでなく、大学ホームページ(https://www.osakafu-u.ac.jp/news/nws20210202/)や海外メディア(Asia Research News:https://www.asiaresearchnews.com/content/new-stem-cell-therapy-dogs−-breakthrough-veterinary-medicine)(Eurek Alert!:https://www.eurekalert.org/news-releases/772528 )にも取り上げていただきました。また、イヌiPS細胞から赤血球への分化誘導についても、一定の成果を得ることができました。

 とはいえ、イヌiPS細胞研究はようやくスタートラインに立っただけに過ぎません。まだまだ課題は多くありますが、獣医再生医療への応用を実現できるように、さらに研究を進めていきたいと思います。

 笹川科学研究助成は、幅広い研究分野を対象とし、大学院生も応募できる数少ない研究助成です。私は申請時、まだ学部生で申請書を作成するのも初めてでしたが、指導教員に助言していただきながら試行錯誤して完成させた結果、採択していただき、自信になりました。そのため、研究費申請の経験が浅い大学院生の方も、積極的にチャレンジするといいと思います。
 最後に、このような貴重な機会を与えてくださった日本科学協会の皆様に心よりお礼申し上げます。
<以上>

イヌiPS細胞の研究は始まったばかりですが、獣医再生医療へ様々な可能性がある細胞だと思いますので、これからも研究に邁進していただき、ご活躍されることを祈念いたします。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございま
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 16:15 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介(和泉 彩香さん) [2022年06月06日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2020年度に「熱活性化遅延蛍光および円偏向発光を示すπ共役マクロサイクル」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、大阪大学大学院工学研究科応用化学専攻所属(当時)の、和泉 彩香さんから専門の研究について、コメントを頂きました。

<和泉さんより>
 私は、大阪大学大学院工学研究科応用化学専攻の南方研究室(http://www.chem.eng.osaka-u.ac.jp/~komaken/)で2021年3月に博士号を取得しました。当時取り組んでいたテーマの一部を紹介します。
 スマートフォンやテレビを購入しようとした時に、有機ELディスプレイという言葉を耳にしたことはありませんか。従来品である液晶ディスプレイと比べて、薄型やハイコントラストといった長所があるため、近年実用化が進んでいます。半年前ほどに、私も有機ELディスプレイのテレビを買いましたが、黒が綺麗だと感じています。
 有機ELディスプレイの特徴は発光層に有機発光材料が用いられていることです。発光材料は発光過程の違いから、3種類に分類できます(Figure 1)。新しい発光材料である熱活性化遅延蛍光(TADF)材料は、励起一重項状態と励起三重項状態のエネルギー差を室温で乗り越えられる程度にまで小さくすることで、励起一重項状態からの即時蛍光に加えて、励起三重項状態のエネルギーを逆項間交差によって遅れた蛍光(熱活性化遅延蛍光)として取り出す事ができます。そのため、前世代の発光材料と比べて電気エネルギーを光エネルギーに変換する効率とコストの両面に利点があります。

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Figure 1. 有機発光材料の種類と発光過程

 これまでに、電子ユニットが直線状に連結したTADF分子は数多く研究されていましたが、TADFを示す環状分子の研究は環構造を構築する難易度が高いことがあり極めて限定的でした。私は、このTADFを示す環状分子を創製し、発光を中心にどのような性質をもつのか明らかにしました(Figure 2)。環状分子は電子ドナーという部品と電子アクセプターという部品を交互に2つずつ繋げた構造のものを設計しました。所属研究室で開発したU字型構造の分子をアクセプターに用いたことがポイントで、これにより環構造構築の難易度を下がり、設計通り合成に成功しました。

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Figure 2. 設計したTADFを示す環状分子の構造

 合成した環状分子の発光特性を調査したところ、各ユニットが環状に縛られているため分子が動きにくくなり、環状分子を切り開いた直線状の分子と比較して、より効率よく励起三重項状態のエネルギーを励起一重項状態に変換している(= 良く光る)ことが判りました(Figure 3)。これはTADF材料設計指針の多様性につながる成果です。

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Figure 3. 環状分子と直線状分子の発光のイメージ

 上記研究に取り組む中で、環状分子の設計に工夫を加えることでTADFという特徴に加えて、円偏向発光という新たな光機能を付与することができることに気づきました。このテーマを本助成で採択していただき、研究を開始しました。合成難易度が高いことに加えて、COVID-19の影響で研究時間が少なくなってしまったことがあり、設計した分子の合成達成には至りませんでした。しかし、同時に進めていた類似構造の分子の合成は達成でき、今後の展開につながる研究成果が得られました。

 COVID-19の影響は助成金の用途にも及びましたが、柔軟に対応していただき用途変更することができ助かりました。また、助成応募に向けて申請書を書くこと自体が貴重な経験であり、採択されたことは自信に繋がりました。自分で獲得したお金で研究することでやりたい研究ができる有り難みも感じました。この場をお借りして、研究助成を通じて貴重な機会をくださった日本科学協会の皆様に厚く御礼申し上げます。
 笹川科学研究助成は、大学院生が応募できる数少ない研究助成だと思います。これからの研究者人生でプラスになる経験が得られました。皆さんも挑戦してみたらいかがでしょうか。
<以上>

 最近は、有機ELを用いたスマートフォンやテレビも多く見かけるようになり、科学の進歩を感じます。
 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 10:35 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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