• もっと見る

日本科学協会が"今"やっていること

お役立ち情報、楽しいイベントやおもしろい出来事などを紹介しています。是非、ご覧ください。


<< 2025年06月 >>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
プロフィール

日本科学協会さんの画像
カテゴリアーカイブ
最新記事
最新コメント
リンク集
https://blog.canpan.info/kagakukyokai/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/kagakukyokai/index2_0.xml
先輩研究者のご紹介 北川 涼太 さん [2025年06月16日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームです。
 本日は、2022年度「20世紀初頭のイギリス海軍改革における技術者の位置づけ」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、広島大学大学院文学研究科・博士課程後期(助成時)の北川涼太さんからのお話をお届けします。

<北川さんより>
 こんにちは。2022年度の笹川科学研究助成に採択いただいた、北川涼太です。
まずは、私の研究内容について簡単にご説明したいと思います。私の関心は、18世紀後半以降に本格化した工業化(「産業革命」)の動きが、船舶に関わる人々や組織、とくに海軍に対してどのような影響を及ぼしたのか、という問題にあります。

写真1.jpg
【写真1】「夕方のポーツマス港」

 工業化にともなう技術革新は、海軍の在り様に根本的な変化を引き起こすことになりました。使用する艦船は木製帆走艦から鉄製・鋼鉄製蒸気艦に切り替わり、搭載兵器をはじめとする艦内設備の機械化が進展していったのです。一方で、こうしたハード面での変化は、それらを取り扱う海軍士官・兵員の変化をともなうものでもありました。近代的な艦船を操艦・指揮するのに必要な専門技能・知識、とりわけ科学技術に精通した人材が必要となり、民間の専門家を雇用したり、科学技術を重視する形で士官・兵員の訓練・教育体制を再編するといった対応策がとられていったのです。
 私は、技術革新に関連して近代イギリス海軍士官・兵員の中で生じた変化を明らかにするため、船舶用蒸気機関や各種機械類の専門家として19世紀初頭に導入された機関科士官に注目しました。そして、機関科士官を対象として海軍当局が行なった主要な改革について、それがどのような内容で、どのような要因を踏まえて実施されたのか。改革の立案・実現過程に機関科士官の実態(社会的出自や職業意識など)や主張がどれほど影響していたのか。さらに、改革によって機関科士官の実態がどのように変化していったのかを、19世紀後半を中心に明らかにしていきました。

写真2.jpg
【写真2】「調査を行なったイギリス国立公文書館(TNA)」

 笹川科学研究助成に支援いただいたのは、19-20世紀転換期のイギリス海軍の改革と機関科士官の実態についての研究でした。助成を受けて良かったと感じたのは、まず、史料調査にかかる経費の大部分を負担してもらえたことです。私の研究を進めるうえでは、当時のイギリス海軍当局の公的記録や、民間の技師団体が刊行した会報など、イギリスにしか所蔵されていない史料を参照する必要があります。その際に生じる渡航費・滞在費等を賄う目途が立ったことで、イギリスでの史料調査に踏み切ることができました。
 また、私の先輩研究者の中には、過去に笹川科学研究助成の支援を受けた方が何人かおられます。それに自分も採択されたことで、その後も研究を続けるうえでの自信につながりました。

<以上>


 日本科学協会では過去助成者の皆様より、研究成果や近況についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。


※テキスト、画像等の無断転載・無断使用、複製、改変等は禁止いたします。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 10:16 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
トラックバック
※トラックバックの受付は終了しました
コメント