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先輩研究者のご紹介 加藤 剛臣さん [2025年05月13日(Tue)]
 こんにちは。科学振興チームです。
 本日は、2022年度「レーザー・極低温ARPESによるカゴメ超伝導体の新奇物性発現機構解明」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、東北大学大学院理学研究科(助成時)の加藤 剛臣さんからのお話をお届けします。

<加藤さんより>
 2022年度に笹川科学研究助成にご支援いただきました、加藤剛臣と申します。まず、本研究に対するご支援に深く感謝いたします。

 私は「角度分解光電子分光」と呼ばれる、結晶の表面に紫外線を照射し、結晶外に放出される電子のエネルギーと運動量を同時に測定することで、物質中の電子状態を観測する実験手法を用いた研究を行っていました。研究対象は結晶構造にカゴメ格子(写真1)と呼ばれる、三角形と六角形が組み合わされた構造を内包する物質です。このカゴメ格子を持つ物質では、特殊な電子構造やフラストレーションを示すことが予想されていました。本課題では、カゴメ物質の中でも最近発見されたバナジウムカゴメ金属における超伝導や、低温で電子が長周期の波を形成する電荷密度波という現象に着目し、その性質や起源解明を目的とした研究を行いました。

写真1_加藤剛臣.jpg
写真1:カゴメ(籠目)格子の名前の由来である、六つ目編みの籠


 バナジウムカゴメ金属に対して角度分解光電子分光を行うことで、この物質の電子の状態を直接可視化することに成功し、カゴメ格子に由来する特殊な電子構造が電荷密度波の形成に重要な役割を持っていることに加え、バナジウムとアンチモン由来の電子が協力しながら超伝導を実現していることを明らかにしました。

 笹川科学研究助成を受けた感想としましては、学生のうちに予算管理を含めた研究計画を立てて実行する良いトレーニングだったと感じています。どの研究器具が必要か、どれくらいの期間で出張実験を行えば良いかなどの実験計画を申請前や助成中に時間をかけて考えることは、研究者になる上で重要な経験になると思います。

写真2_加藤剛臣.jpg
写真2:出張実験を行った放射光施設の装置


 申請書の作成にはかなり労力を費やしますが、自分の研究計画を新たに立てたり、見直したりする良い機会であり、研究費を頂くことができれば今行っている研究の幅がさらに広がります。特に博士課程の学生で主体的に研究を推進したいと考えている方には、ぜひ挑戦してほしいと思います。

<以上>


 日本科学協会では過去助成者の皆様より、研究成果や近況についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 09:31 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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