先輩研究者のご紹介 関森祐樹さん
[2024年08月14日(Wed)]
こんにちは。科学振興チームです。
本日は、2022年度「拡張可能な水中音響通信測位を用いた位置推定手法による、自律型海中ロボット群の広域海中作業」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、東京大学大学院新領域創成科学研究科海洋技術環境学専攻博士課程の関森祐樹さんからのお話をお届けします。
<関森さんより>
私たちの明日を支える海洋技術革新 - 自律型海中ロボットの可能性
「海」と聞くと海水浴や潮干狩りを思い浮かべるかもしれませんが、「海洋技術」となると遠く感じるかもしれません。しかし、日本のような島国では、食料や材料の輸送、さらにはインターネットの海底ケーブルを通じて、私たちの生活が支えられています。実は、海洋技術は私たちの社会を成り立たせるために欠かせない要素なのです。
私が所属する巻研究室では、自律型海中ロボット(AUV: Autonomous Underwater Vehicle)をはじめとする海中探査術の研究開発を行っています。この技術は、水質や生物調査、海底資源探査など、多様な海中観測に役立っています(図1)。気候変動対策には海洋環境の理解が不可欠であり、そのためのデータ収集において海中ロボットは重要な役割を果たしています。
具体的には、複数の海中ロボット(図2)を効率的に運用するためのスケーラブルな位置推定手法を研究しています。これは、各ロボットが順々に他のロボットとの位置関係を把握するのではなく、全体を協調させる手法です。たとえていえば、チームのメンバーが個々に対話するのではなく、チームミーティングを行って現状を確認するような手法です。この手法により、ロボットの数が増えてもシステムが破綻することなく、複数のロボットが協力して効率的に作業を行うことが可能になります。
私の研究では、自律型海中ロボットの技術検証と評価のために、海中ロボットの開発と海域での実験を行っています。これまでに、西之島の海底火山調査や国内漁礁の撮影、南極大陸周辺の海流観測など、巻研究室が進める研究プロジェクトに取り組んできました。また、巻研究室と共同研究を行っている東京大学生産技術研究所ソーントン研究室のプロジェクトであるコバルトリッチクラスト賦存量調査航海にも参加しました(図3、4)。
私は幼少期から海に親しみ、スクーバダイビングを通じて海洋への興味を深めました。大学では工学を学び、人力潜水艦チームにも力を注ぎました。その後、海中ロボットを開発する会社での勤務が、この研究に取り組む直接的な動機となりました。
学術研究の醍醐味は、世界中の研究者と協力しながら知的財産を創出できる点にあります。本助成のおかげで、水中ロボットの開発や海域実験、国際学会での発表を行い、貴重なデータを得ることができました。この経験から、技術課題に挑戦する楽しさと新たな発見の喜びを実感しています。本助成は、新しい発見やネットワークを築く貴重な機会を提供してくれます。情熱をもって研究に取り組み新しい発見に挑戦してみてください。
日本科学協会では過去助成者の皆様より、研究成果や近況についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
本日は、2022年度「拡張可能な水中音響通信測位を用いた位置推定手法による、自律型海中ロボット群の広域海中作業」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、東京大学大学院新領域創成科学研究科海洋技術環境学専攻博士課程の関森祐樹さんからのお話をお届けします。
<関森さんより>
私たちの明日を支える海洋技術革新 - 自律型海中ロボットの可能性
「海」と聞くと海水浴や潮干狩りを思い浮かべるかもしれませんが、「海洋技術」となると遠く感じるかもしれません。しかし、日本のような島国では、食料や材料の輸送、さらにはインターネットの海底ケーブルを通じて、私たちの生活が支えられています。実は、海洋技術は私たちの社会を成り立たせるために欠かせない要素なのです。
私が所属する巻研究室では、自律型海中ロボット(AUV: Autonomous Underwater Vehicle)をはじめとする海中探査術の研究開発を行っています。この技術は、水質や生物調査、海底資源探査など、多様な海中観測に役立っています(図1)。気候変動対策には海洋環境の理解が不可欠であり、そのためのデータ収集において海中ロボットは重要な役割を果たしています。
具体的には、複数の海中ロボット(図2)を効率的に運用するためのスケーラブルな位置推定手法を研究しています。これは、各ロボットが順々に他のロボットとの位置関係を把握するのではなく、全体を協調させる手法です。たとえていえば、チームのメンバーが個々に対話するのではなく、チームミーティングを行って現状を確認するような手法です。この手法により、ロボットの数が増えてもシステムが破綻することなく、複数のロボットが協力して効率的に作業を行うことが可能になります。
私の研究では、自律型海中ロボットの技術検証と評価のために、海中ロボットの開発と海域での実験を行っています。これまでに、西之島の海底火山調査や国内漁礁の撮影、南極大陸周辺の海流観測など、巻研究室が進める研究プロジェクトに取り組んできました。また、巻研究室と共同研究を行っている東京大学生産技術研究所ソーントン研究室のプロジェクトであるコバルトリッチクラスト賦存量調査航海にも参加しました(図3、4)。
私は幼少期から海に親しみ、スクーバダイビングを通じて海洋への興味を深めました。大学では工学を学び、人力潜水艦チームにも力を注ぎました。その後、海中ロボットを開発する会社での勤務が、この研究に取り組む直接的な動機となりました。
学術研究の醍醐味は、世界中の研究者と協力しながら知的財産を創出できる点にあります。本助成のおかげで、水中ロボットの開発や海域実験、国際学会での発表を行い、貴重なデータを得ることができました。この経験から、技術課題に挑戦する楽しさと新たな発見の喜びを実感しています。本助成は、新しい発見やネットワークを築く貴重な機会を提供してくれます。情熱をもって研究に取り組み新しい発見に挑戦してみてください。
<以上>
日本科学協会では過去助成者の皆様より、研究成果や近況についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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