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先輩研究者のご紹介 鶴田 真理子さん [2024年05月01日(Wed)]
 こんにちは。科学振興チームです。
 本日は、2021年度「造血幹細胞の個体発生における最も初期の前駆細胞の同定と分化シグナルの解明」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、熊本大学大学院医学教育部の鶴田 真理子さんからのお話をお届けします。

<鶴田さんより>
 2021年度笹川科学研究助成にてご支援いただきました、熊本大学大学院医学教育部の鶴田です。今回は、折角ですので研究内容について一部をご紹介させていただきます。

 皆さんは造血幹細胞をご存知でしょうか。造血幹細胞とは、赤血球や顆粒球、リンパ球といったあらゆる血液細胞を産生する役割を担う細胞です。成体では骨髄に存在する造血幹細胞ですが、その発生は胎生期に遡ります。
 マウスにおける造血幹細胞の発生は、図1のように中胚葉からはじまります。中胚葉は筋肉や骨にも分化する細胞ですが、その一部は背側大動脈の内側を裏打ちする血管内皮細胞へ分化します。さらに、内皮細胞の一部は造血性内皮細胞へと分化し、内皮細胞から造血細胞への転換を引き起こすことでプレ造血幹細胞を産生します。その後、プレ造血幹細胞は血流に乗り肝臓へ移行後、最終的に造血幹細胞へと分化します。肝臓で成熟した造血幹細胞は骨髄へ移動し、成体において維持されます。このように、造血幹細胞は個体の発生に伴って環境と前駆細胞の形態を変えながら分化する興味深い細胞です。

図1.jpeg
図1:マウスにおける造血幹細胞の発生過程


 しかし、造血幹細胞の発生については未だ不明な点も多いです。より詳しく造血幹細胞の発生を理解することは、試験管内で造血幹細胞を誘導する手掛かりとなり、再生医療に繋がる可能性を秘めています。私は特に、胎生期における造血幹細胞のもととなる造血性内皮細胞はどのような細胞なのか、造血性内皮細胞から造血幹細胞への分化はどのような因子により制御されているのか、明らかにすべく研究に取り組んでいます。
 笹川科学研究助成によりご支援いただいた研究期間では、造血性内皮細胞から造血幹細胞への分化を促す因子についてデータを得ることができました。現在、論文投稿に向けて邁進しています! また、造血性内皮細胞に関連した研究として、内皮細胞からマスト細胞への造血幹細胞に依存しない発生経路を発見するに至りました(M. Tsuruda et al., 2022, Stem Cells)。

図2.jpeg
図2. 試験管内で内皮細胞から誘導した造血前駆細胞の様子


 笹川科学研究助成は大学院生でも申請できる数少ない助成です。私も博士課程への進学にあたって、研究費が欲しいと考え申請しました。申請当時は業績も無く、採択されるかは一か八かの挑戦でしたが、研究室の先生方にアドバイスを沢山いただきながら文章を練った記憶があります。申請書作成の過程は勉強になることばかりで、研究について向き合い、研究の新規性や独自性は何か分野外の方に文章で伝える一連の難しさを身に染みて感じる経験でした。振り返ると、申請書作成を通じ「自分の研究面白いな、もっとやりたいな」と再認識できたことは、それ以降の研究活動に邁進できている理由の1つだと思います。
 申請するか悩んでいる大学院生、やりたい研究がある大学院生は、是非申請に挑戦することをお勧めいたします!

図3_研究所前の桜の写真.jpg
図3. 研究所前の桜:今年は遅めの開花でしたが、綺麗に咲きました。


 最後に、改めまして研究のご支援いただいた日本科学協会の皆様、並びにご指導いただいた先生方に深く感謝申し上げます。今後も研究に精進いたします。

文献:Tsuruda M, Morino-Koga S, Ogawa M, “Hematopoietic Stem Cell-Independent Differentiation of Mast Cells From Mouse Intraembryonic VE-Cadherin+ Cells” Stem Cells, Volume 40, Issue 3, March 2022, Pages 332–345,
https://doi.org/10.1093/stmcls/sxac001

<以上>


 日本科学協会では過去助成者の皆様より、研究成果や近況についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。


※テキスト、画像等の無断転載・無断使用、複製、改変等は禁止いたします。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 11:27 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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