• もっと見る

日本科学協会が"今"やっていること

お役立ち情報、楽しいイベントやおもしろい出来事などを紹介しています。是非、ご覧ください。


<< 2024年05月 >>
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
プロフィール

日本科学協会さんの画像
カテゴリアーカイブ
最新記事
最新コメント
リンク集
https://blog.canpan.info/kagakukyokai/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/kagakukyokai/index2_0.xml
先輩研究者のご紹介 井上 侑哉さん [2024年04月08日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームです。
 本日は、2021年度「ゲノムワイドなDNA情報にもとづく野生フキの多様性と栽培フキの起源解明」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、国立科学博物館の井上 侑哉さんからのお話をお届けします。

<井上さんより>
 2021年度笹川科学研究助成学術研究部門にて助成いただきました、国立科学博物館の井上侑哉です。私は現在、コケ植物の系統・分類学を専⾨にしていますが、前職の広島⼤学ではコケ植物に限らず維管束植物の多様性についても研究を進めていました。

 フキPetasites japonicus (Siebold & Zucc.) Maxim.は中国・韓国・日本に分布するキク科フキ属の多年生草本植物です。大きな腎円形の根出葉が長い葉柄の先に生じ、頭花は筒状の小花によって構成されます。数少ない日本特産野菜として奈良時代から利用されている日本人に馴染みの深い栽培植物でもあります(図1)。


図1.jpg
図1. フキ. A: 根出葉. B: 頭花.

 フキの野生集団には多様な形態変異が見られ、東北地方以南の本州・四国・九州に分布する集団では葉柄の長さが60 cm程度のものが一般的ですが、北海道から東北地方北部にかけて分布する集団では葉柄の長さが1–2 mに達する場合もあり、亜種アキタブキ [subsp. giganteus (F.Schmidt ex Maxim.) Kitam.] として区別されています。とくに北海道足寄町の螺湾川に沿って自生する集団は大きく、葉柄の直径が10 cm、高さ2–3 mに達し、「ラワンブキ」と呼ばれ北海道遺産にも指定されています。しかし、フキとアキタブキについて、遺伝的分化の程度については不明です。フキの栽培品種としては水ブキや愛知早生ブキ、秋田オオブキ、秋田青ブキ、八つ頭などが知られており、食用として流通していますがこれら栽培品種の起源についてもよく分かっていません。

 そこでまずは野生フキの遺伝的多様性を把握するために、国内各地から収集した野生集団を対象に、RAD-seq法により取得したゲノムワイドなSNP情報にもとづいて遺伝的多様性を調べました。その結果、日本産野生フキ集団は東北地方を境に、東北地方以南の本州・四国・九州の集団(本州型)と東北地方の一部と北海道の集団(北海道型)からなる2つの遺伝的グループに大きく分かれることが示されました(図2)。本研究によってフキ野生集団の遺伝的多様性が初めて明らかになり、栽培品種の遺伝的由来についてもDNA情報をもとに推定可能な基盤を整えることができました。今後は栽培品種についても網羅的な収集を進め、さらに史料とも照らし合わせながら検討することで、野生フキから栽培化に至る過程の詳細を明らかにしていきたいと考えています。

図2_.jpg
図2. RAD-seq法によるゲノムワイドなSNPにもとづくネットワーク図.
(A) 本州型, (B)北海道型.


 日本科学協会の支援を受けることにより研究の進展が可能になっただけでなく、研究者としての道を歩むためのキャリア形成にも大きくプラスになりました。この場を借りて深く感謝申し上げます。

<以上>


 日本科学協会では過去助成者の皆様より、研究成果や近況についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。


※テキスト、画像等の無断転載・無断使用、複製、改変等は禁止いたします。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 14:18 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
トラックバック
※トラックバックの受付は終了しました
コメント