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先輩研究者のご紹介 安倍 悠朔さん [2024年03月18日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームです。
 本日は、2021年度「単一粒子計測法を用いた多孔質体内部におけるナノ粒子の拡散運動の解明」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、早稲田大学大学院の安倍 悠朔さんからのお話をお届けします。

<安倍さんより>
 みなさんは多孔質体というものをご存知ですか?多孔質体というのは内部に小さな穴がたくさんあいている材料のことです。そして、多孔質体は内部にたくさん穴が開いていることに起因するユニークな特性を多数持っています。身近な例を挙げると、スポンジは内部にたくさんの穴を持つので多孔質体の一種なのですが、スポンジが水をたくさん吸う理由はスポンジ内部の小さな穴に水がたくさん入り込むからです。身近なところにも多孔質体ならではの面白い現象があふれているのです。
 私は多孔質体のこのような面白さに惹かれて、2021年度に笹川科学研究助成をいただいて、多孔質体内部において小さな粒子がどのように動くのかを可視化する研究に取り組みました。具体的には、多孔質材料の中に蛍光粒子を入り込ませて、蛍光粒子の動きを顕微鏡とカメラを使って追跡することで、粒子の運動を可視化しました。なお、この計測法は計測対象内を運動する個々の粒子を追跡する計測法であることから、単一粒子計測法と呼ばれています。
 図1の(a)は研究で用いた多孔質体の電子顕微鏡写真です。穴がたくさん空いていることがよくわかります。そして、図1(b)が本研究のイメージ図です。粒子が穴の中に入ったり、出てきたりする様子を可視化することで、粒子の運動の特性を明らかにすることができます。

画像1.jpg

     図1. (a) 多孔質体の電子顕微鏡写真,
        (b) 単一粒子計測法による多孔質体内部の計測イメージ図
       (引用文献に掲載の図を一部改変)

 図2は単一粒子計測法の計測結果です。粒子の軌跡の色を、運動の速さを示す拡散係数という値の大小によって塗りわけています。粒子によって色が様々であることから、同じ多孔質体内を運動する粒子でも、それぞれの粒子によって運動の速さが全然違うことが分かるのではないかと思います。また、個々の粒子に注目してみると、穴の中に閉じ込められている粒子や、穴の外で激しく運動している粒子など、多孔質体内部ならではの粒子の運動を可視化することができました。

画像2.jpg

     図2. (a) 単一粒子計測法で可視化した粒子の軌跡,
        (b)-(d) 拡散係数ごとに色分けした個々の粒子の軌跡の拡大図
       (引用文献に掲載の図を一部改変)



 そして、本研究成果を2023年度に海外発表促進助成をいただいて、アメリカ物理学会の流体力学部門年次大会(APD Division of Fluid Dynamics 76th Annual Meeting)にて発表しました。図3は本学会の会場の写真です。世界各国から3,500名以上の研究者が集うこちらの学会で、研究成果を発表すると共に、研究成果を国際的に広めるためのディスカッションを行いました。

画像3.jpg
図3. アメリカ物理学会 流体力学部門年次大会の会場の様子(ワシントンD. C. にて開催)


 笹川科学研究助成および海外発表促進助成は、私のような研究助成いただける機会が少ない大学院生にも門戸を開いています。また、笹川科学研究助成による研究活動そのものへの支援に加えて、海外発表促進助成による海外での研究成果の展開に対する支援までしていただける点も大変魅力的です。革新的な研究にチャレンジしたいと思っている大学院生も是非チャレンジして、研究を大きく飛躍させるチャンスにしてもらえたらと思います。私自身、日本科学協会の支援によって研究を飛躍させることができました。この場をお借りして心より感謝申し上げます。

引用文献:Y. Abe, N. Tomioka and Y. Matsuda, “Nano-particle motion in a monolithic silica column using the single-particle tracking method”, Nanoscale Advances 2024.

<以上>


 日本科学協会では過去助成者の皆様より、研究成果や近況についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 13:01 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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