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先輩研究者のご紹介 武田 精一郎さん [2024年03月18日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームです。
 本日は、2021年度「多様な体サイズと生息環境への適応放散を可能にした有蹄動物の指・趾機能の解明」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、東京大学大学院農学生命科学研究科の武田 精一郎さんからのお話をお届けします。

<武田さんより>
 2021年度に笹川科学研究助成に採択いただきました、東京大学大学院農学生命科学研究科の武田と申します。今回は、研究助成を受けた研究の内容と、助成申請・採択時のことについてお伝えできればと思います。
 偶蹄類はウシ・シカ・ラクダ・キリン・イノシシなどが含まれるグループなのですが、偶蹄類は常に人でいうつま先立ちのような状態で、指の先端にある蹄が地面に接して立っているという特徴があります。蹄は硬いため平らな地面を速く走ることに向いているのですが、その代わりにモノを掴むといった器用な運動はできません。しかし、木に登るヤギや、ダムの垂直な壁に立つアイベックスの画像を見たことがある人もいると思います(「種名 壁」、などのワードで検索すれば出てくるはず。)。本来蹄では切り立った崖などの地面をしっかりと掴むことが求められる場所での移動は不得意なはずなのですが、彼らがそれをできているということは指に秘密があるのではないか、と思ったのが申請した研究課題の目的ときっかけです。

崖.JPG
図1:崖にいるヒマラヤタール(ヤギの仲間)。

 そこで、山岳地帯に生息するヤギの仲間と、平地に生息するウシの仲間の指を、CT画像と骨格標本の計測によって比較してみました。その結果、山岳地帯に生息するヤギの仲間の方が中手指節関節・中足趾節関節と呼ばれる指の付け根にあたる関節に間隙があること、その関節の間隙によってヤギの仲間は指と指の間がより開くことが分かりました。山岳地帯に生息するヤギの仲間は、指が開くことによってちょっとした出っ張りにも指をひっかけることができるために、崖でも移動ができるのはないかということが考えられます。

CT画像.jpg
図2:前肢の指を開いた状態のCT画像。
右:オオツノヒツジ(山岳地帯に生息)。左:アラビアオリックス(砂漠に生息)


 これが助成を受けて進めた研究の概要なのですが、このような基礎的な研究は助成の応募ができる場所が多くありません。そんな中、笹川科学研究助成は分野を問わず基礎的な研究でも申請・採択が叶うため、とてもありがたく嬉しかったです。また、採択後に分野別の選考総評が出るのですが、そこで自分の申請書の内容が触れられていたのは大きな自信になりました。
 助成金は、他の博物館にある標本の計測のための旅費が主な使い道でした。所属する大学の博物館のみでは使用できる標本に限りがあるため、外部機関の標本を見せてもらう必要があります。その移動費を気にせずに調査に行けるのは非常にありがたかったですし、助成のおかげで調査のお願いをしやすくなったことで、博物館の方々とのつながりが増えたことも嬉しい副産物でした。
 笹川科学研究助成は、自分のやりたい研究を理解し、その熱意が伝わればどんな研究内容でも採択の可能性がある素晴らしい助成だと思っています。助成の応募が出せる場所がないけどこの研究は面白いんだ!という思いのある人は応募を強く勧めたいです。
 改めまして、このような研究の機会をくださいました日本科学協会の皆様、並びに研究協力者の皆様に深く感謝申し上げます。

<以上>


 日本科学協会では過去助成者の皆様より、研究成果や近況についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 11:32 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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