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先輩研究者のご紹介(春井 彩花さん) [2022年07月19日(Tue)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2020年度に「昆布摂取による高血圧予防機序における腸内細菌叢の役割」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、神戸女子大学大学院家政学研究科食物栄養学専攻所属の、春井 彩花さんから助成時の研究について、コメントを頂きました。

<春井さんより>
 腸内細菌叢は、今や腸疾患だけでなく、様々な疾病との関連が示され、私の所属研究室で取り扱う高血圧についても関連が報告されています。研究室ではすでに昆布による高血圧予防効果メカニズムをいくつか観察していますが、私はその他に腸内細菌叢の関与があるのではないかと考え、明らかにするべく研究を行っています。
 助成時の研究において、大きく3つの目的に沿って実施しました。まず@先行研究で示されている高血圧自然発症モデルラット(SHR)の糞便移植による正常血圧ラット(WKY)の血圧上昇を確認する(図参照)。その上でA昆布を摂取し血圧上昇が抑制されたSHRからの糞便移植の場合、通常のSHRからの移植と比べて血圧上昇が抑制されるのかを調べる。また、B@で確認した糞便移植によるWKYの血圧上昇はその後の昆布摂取により抑制されるかを調べることです。

図:糞便移植と血圧の変動について.jpg
図:糞便移植と血圧の変動について

 その結果、先行研究と同様にSHRの糞便をWKYに移植すると血圧上昇が観察されました。しかし、昆布を摂取し血圧上昇が抑制されたSHRからの糞便移植でも、これと同程度の血圧上昇が見られ、血圧上昇抑制は観察されませんでした。一方で、移植を受けたラット自身が昆布を摂取するとSHRの糞便移植による血圧上昇が抑制されることが観察されました。これまで観察されてきたSHRや腎血管性高血圧モデルラットだけでなく、糞便移植による血圧上昇にも昆布摂取が血圧上昇抑制効果を示すことが本研究を通じて分かりました。
 糞便には腸内細菌以外の物質も含まれているという本研究の限界点も踏まえて、メカニズムについては引き続き検討し、昆布の高血圧予防効果メカニズムについて腸内細菌叢が担う役割を明らかにしたいと思います。将来的には様々な食品やその成分、食べ合わせにも着目し、主として腸内細菌の観点から食に関する研究を行うことにより、人々の健康に寄与していきたいです。

実験の様子.jpg
写真:実験の様子

 笹川科学研究助成を受けて良かった点は、研究室で進められていた昆布摂取による高血圧予防効果メカニズムについて腸内細菌叢というこれまでとは異なる観点から検討することができたということです。今回の研究結果は必ずしもポジティブな結果とはいえませんが、考察する中で様々な可能性や課題を考えることができました。また、自分で計画を立て、研究費を管理しながら遂行し、まとめ、次の研究計画を立てるという主体的な研究活動を行うことは私にとって貴重な経験となりました。
 申請する際に気を付けたことは、研究内容について研究室の先生や先輩とよくディスカッションし、研究の意義や自分の考えを整理することです。また、自分の考えをしっかり書き切ることも重要かと思います。申請した理由を記載する欄があるので、そこにのびのびと自分の研究への思いや夢を表すのが良いのではないかと思います。
<以上>

 笹川科学研究助成では、若手研究者の皆様が、研究室で担当となった研究を進めていく際に、ふと疑問に思った事や興味を持った事等の、ご自身の発想で行う研究をサポートさせていただきたいと考えております。研究内容をまとめて助成制度に申請することは大変な事かと思いますが、ご自身のアイディアを見直す機会にもなりますので、是非皆様も申請してみてください。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 09:41 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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