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先輩研究者のご紹介(木村 和人さん) [2022年06月13日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2020年度に「輸血製剤の開発へ向けた血液細胞からのイヌiPS細胞株の樹立および赤血球への分化誘導」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、大阪公立大学大学院獣医学研究科所属の、木村 和人さんから最近の研究について、コメントを頂きました。

<木村さんより>
 私は、イヌの人工多能性幹細胞(iPS細胞)を用いた獣医再生医療の研究に取り組んでいます。iPS細胞は、体細胞を初期化することで作製され、ほぼ無限に増植する能力と体を構成するさまざまな細胞になる能力を有する細胞です。ヒト医療分野では、iPS細胞研究が急速に進んでおり、iPS細胞由来の網膜細胞やドパミン産生細胞をそれぞれ加齢黄斑変性やパーキンソン病の患者さんへ移植する再生医療の臨床試験も始まっています。
 その一方で、イヌiPS細胞研究はヒトほど進んでおらず、臨床応用への見通しはまだ立っていないのが現状です。その主な原因として、イヌiPS細胞は作製が難しく、ヒトと同じ作製方法ではうまくいかないことがあげられます。
 また、獣医療では血液バンクがありません。そのため、輸血を必要とする疾患を罹患した犬の飼い主は、動物病院を通して、または個人で献血ドナーを見つけなければなりません。このように、輸血用血液の不足が獣医療ではヒト医療以上に深刻な問題となっています。これに対して、イヌiPS細胞から赤血球を安定的かつ大量に作製できれば、献血ドナーに依存しない輸血用血液の安定供給が可能になり、問題を解決できます(図1)。

ブログ用 図1.jpg

 そこで、イヌiPS細胞の効率的な作製手法およびその赤血球への分化誘導法の開発を目指して、研究を行いました。
 その結果、イヌiPS細胞の作製については、細胞への遺伝子導入効率が高いセンダイウイルスベクターを用い、初期化を促進する低分子化合物を使用することで、採血により採取が容易な血液細胞から効率よくイヌiPS細胞を作製できることを明らかにしました(図2)。

ブログ用 図2.jpg

 この成果は、国際学術誌に掲載されただけでなく、大学ホームページ(https://www.osakafu-u.ac.jp/news/nws20210202/)や海外メディア(Asia Research News:https://www.asiaresearchnews.com/content/new-stem-cell-therapy-dogs−-breakthrough-veterinary-medicine)(Eurek Alert!:https://www.eurekalert.org/news-releases/772528 )にも取り上げていただきました。また、イヌiPS細胞から赤血球への分化誘導についても、一定の成果を得ることができました。

 とはいえ、イヌiPS細胞研究はようやくスタートラインに立っただけに過ぎません。まだまだ課題は多くありますが、獣医再生医療への応用を実現できるように、さらに研究を進めていきたいと思います。

 笹川科学研究助成は、幅広い研究分野を対象とし、大学院生も応募できる数少ない研究助成です。私は申請時、まだ学部生で申請書を作成するのも初めてでしたが、指導教員に助言していただきながら試行錯誤して完成させた結果、採択していただき、自信になりました。そのため、研究費申請の経験が浅い大学院生の方も、積極的にチャレンジするといいと思います。
 最後に、このような貴重な機会を与えてくださった日本科学協会の皆様に心よりお礼申し上げます。
<以上>

イヌiPS細胞の研究は始まったばかりですが、獣医再生医療へ様々な可能性がある細胞だと思いますので、これからも研究に邁進していただき、ご活躍されることを祈念いたします。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございま
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 16:15 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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