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先輩研究者のご紹介(田井 優貴さん) [2022年05月30日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2020年度に「新たなアレルギー性疾患の治療法確立に向けたIgE産生制御機構の解明」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、東京理科大学大学院薬学研究科薬科学専攻所属の、田井 優貴さんからご専門の研究について、コメントを頂きました。

<田井さんより>
 食物アレルギーやアトピー性皮膚炎、気管支喘息などのI型アレルギー性疾患の発症には抗体のアイソタイプの1種である IgEが中心的役割を担っていることが知られています。したがって、IgEの産生メカニズムと病態の発症への関与を明らかにすることは、アレルギー性疾患の発症メカニズムへの理解と治療法の確立に必須だと考えられます。アレルギー性疾患の発症には環境要因と遺伝要因の2つが関与していると言われていますが、遺伝要因の一つが転写因子Foxp3の変異だと知られています。Foxp3は制御性T細胞(Treg)の分化に必須のマスター転写因子であり、Treg細胞は過剰な免疫応答や自己免疫反応を抑制することでアレルギー疾患や自己免疫疾患の発症を防いでいます。抗体産生には2次リンパ組織に形成される胚中心が重要であり、この胚中心反応はマスター転写因子Bcl6の発現をともに特徴とする濾胞性ヘルパーT細胞(Tfh)と胚中心B細胞(GCB)の相互作用によるもので、胚中心において抗体の親和性成熟やクラススイッチが起こると考えられています(図1)。

図1.jpg

 特に、IgEは胚中心においてクラススイッチが起こり産生されることが先行研究により示されています。しかしながら、抗体は胚中心だけでなく胚中心外でも産生されるため、Treg細胞の機能異常時においても実際にIgEが胚中心を介して産生されたのかは明確にされていませんでした。そこで、私たちのグループはTreg細胞と胚中心反応を同時に障害できるマウス(Foxp3 Bcl6 cDKO)を作成し解析したところ、Treg細胞の異常時において免疫時におけるモデル抗原特異的なIgEは先行研究と同様に胚中心を介して産生される一方で、非免疫時に自発的に誘導されるIgEは胚中心を介さずに産生されることを明らかにしました(図2)。

図2.jpg

 従来、アレルゲン特異的なIgEがアレルギー性疾患の発症に関与していると考えられてきました。しかしながら、アレルギー性疾患、特に気管支喘息に罹患している人の中には血清中の総IgE量が高いがアレルゲン特異的なIgE量が低い人もいることが報告されています。つまり、アレルゲン非特異的なIgEが何らかの形で寄与していることが考えられますが、そのメカニズムなどは不明です。そこで現在、この胚中心を介さないIgEがアレルギー性疾患を発症しやすい体質であるアトピー素因などに関連しているのではないかと考え研究を進めています。

 笹川科学研究助成は、若手研究者が行う研究に対して支援する制度で、特に大学院生にとっては貴重な機会になると思います。私が笹川科学研究助成に申請するにあたって重要だと感じたことは、新規性・独創性を感じさせる研究計画を示すことです。自分独自の視点を持って問題解決をすることを特に望んでいるように感じました。さらに、自分独自の視点から考えるだけではなく、自身の研究の立ち位置を明確にし、その課題を解決することで社会にどのようなメリットを還元できるのかなどを俯瞰して考えるようになるとより良い申請書になると思います。また、助成期間でどこまで研究を進めるかなどの具体的な計画、予備実験のデータなど実現可能性を示すことで採択される可能性は上がると思います。そして何よりも申請書を書くこと自体が良い経験になるためぜひ申請すべきです。

 最後に、貴重な機会を下さった日本科学協会の関係者の皆様に感謝申し上げます。
<以上>

 私も花粉症で非常に困っているため、アレルギーについての研究が進むことはうれしく思います。ご自身の研究を見つめなおす機会ともなりますので、是非とも笹川科学研究助成に挑戦してみてください。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 10:07 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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