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先輩研究者のご紹介(石川 雅章さん) [2021年12月27日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2020年度に「数学的モデル化における日常言語から数学言語への翻訳過程の困難性に関する研究:言語学・論理学に着目して」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、広島大学附属中・高等学校所属の、石川 雅章さんからご専門の研究について、コメントを頂きました。

<石川さんより>
 「数学教育学」は、数学を学ぶコミュニティにおいて数学が普及する様相の解明を目指す学問であり「社会科学」に分類されます。「数学」という学問が「自然科学」に分類されることを踏まえると、数学教育学研究と数学研究の差がイメージしやすいと思います。
 私の研究内容は、数学教育学の中の「数学的モデル化」と呼ばれる分野になります。「数学的モデル化」とは、数学的なアイデアにもとづいて状況をモデル化することで、日常生活の中で生じる問いを解決する一連のプロセスを指します。近年、小〜高等学校の数学教育では、日常に潜む課題を数学的に処理する能力の育成が重要視されており、その影響で数学的モデル化能力の育成に関する研究も重要度を増してきました。
 研究助成の期間では、特に「文章題を数学的にモデル化する際、生徒の事象認識はどのように変化するのか」について、言語学的・論理学的アプローチで追究していきました。今回は、助成期間中に行った調査の一つを紹介します。
 「かけ算の順序問題」はご存知でしょうか?これは、しばしばSNSを賑わす問題です。皆さんならどのように答えるか考えてみてください。

【 問題 】
石川くんは1個15円のアメを10個と,1本80円の鉛筆を5本購入しました。
石川くんが支払う代金を求める式として適切だと思うものを選んでください。
@ 15×10+80×5 A 10×15+5×80 B 80×5+15×10 C 5×80+10×15

 この問題を中学1年生80名に出題したところ、31名が「全て正しい」、34名が「@とBだけが正しい」と答えました。この結果は、同じ数式を見ていても、そこに付与される意味は個人間で同一とは限らないということを示しています。一見すると当たり前に思える現象ですが、その背後に潜む認知の働きを解明することが数学教育学研究の至上命題であると考えています。
 この現象の原因解明には、「日本語の概念体系」と「数学の概念体系」を包括的に議論する枠組みが必要でしたが、我が国における数学教育学研究の範疇では「日本語の概念体系」を分析する枠組みが不十分でした。そこで、本研究では言語学や論理学の知見を援用し分析を行いました。数学教育の理論的枠組みに縛られない本研究のアプローチは、我が国の数学教育学研究に新たな視点をもたらしてくれると信じています。
 一方で、数学教育学研究の範疇を逸脱したようなアプローチを採用する本研究は、研究助成金に採択されづらい状況にあると考えられますが、笹川科学研究助成では、むしろこうしたチャレンジングなテーマを積極的に採択してくださいます。当研究も、助成金によって諸外国の文献を多く入手できたことが研究を推し進めた大きな要因となりました。その一例として、上記「かけ算の順序問題」について論じた研究成果は、学術誌にアクセプトされ近く刊行予定です。
 私は、普段附属中・高等学校の教員として、多くの子どもとともに数学について考える立場にあります。現場教員と研究者、2つの視点から両者を繋ぐ潤滑油として貢献できるよう心がけています。本助成研究の成果を生徒たちの学びに還元できるよう、引き続き邁進する所存です。

笹川写真(石川).JPG
図 勤務の様子
(コロナ禍においても、子どもはたくましく学びを深めています)
<以上>

 私もSNS上で見かけたことのある問題ですが、答えが出ずに有耶無耶になってしまうことが多かったかと思います。子供たちが迷うことの無い説明ができるよう、分野を跨いだ研究を行い、これからも挑戦を続けていただきたいと思います。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 09:16 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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