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先輩研究者のご紹介(伴 和幸さん) [2021年12月06日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2020年度に「動物福祉と獣害問題を考える教育イベントの開発:駆除された野生動物を動物園で屠体給餌する実践マニュアル」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、豊橋総合動植物公園所属の、伴 和幸さんから助成時の研究についてコメントを頂きました。

<伴さんより>
 私は動物園で動物研究員として働きながら、全国で問題となっている獣害問題と動物園や水族館動物の動物福祉(心身ともに健康な状態)を組み合わせたユニークな活動を2017年から行っています。
 この度、笹川科学研究助成を受け、「野生動物由来の屠体給餌マニュアル」(図1)を作成、公開いたしました。公開したマニュアルは図2の二次元バーコードから閲覧・ダウンロードが可能です。

図1.jpg
図1 「野生動物由来の屠体給餌マニュアル」。

図2.png
図2 PDF版「野生動物由来の屠体給餌マニュアル」の二次元バーコード。

 屠体給餌(とたいきゅうじ)とは、子牛などの比較的大型の動物の屠体を骨や皮などを取り除かずに、ほぼそのままの状態で肉食動物に与える給餌方法です。この給餌方法は、皮をはぐ、くわえて運ぶなどの野生下での採食行動を引き出すことが知られており、欧米の動物園を中心に広く行われています。しかし、国内では子牛などの屠体の入手が困難であるため、約1割しか利用されていない駆除されたイノシシやニホンジカを活用することにしました。
 徹底的に管理された家畜と違い、野生動物を利用するにあたっては、寄生虫やウイルス、捕獲時の銃弾など、懸念材料が山積しています。また、動物園や水族館で実施するには、飼育動物や来園館者に与える影響も配慮しなければなりません。
 今回作成した「野生動物由来の屠体給餌マニュアル」は、そのような疑念を払拭し、安全で衛生的、かつ飼育動物の行動等の改善、およびその効果の測定方法を普及することを目指して作成しました。また、本活動を動物園や水族館で実際に見学して頂くことによって、地域の獣害問題や動物福祉について動物園や水族館で考える教育イベントとしての確立を目指し、必要とされる事前説明や説明パネルなどについてまとめました。
 作成にあたっては、まず、大学等の様々な専門家の意見を取り入れながら原案を作成しました。次に沖縄から北海道まで全国の動物園や水族館で実際に野生動物由来の屠体給餌をマニュアルに沿って実施していただき、動物の反応や実施者側の意見等を調査しました。それらの調査結果を反映し、さらに動物園や水族館、専門家などと幾度もやり取りをしながらマニュアルを完成させることができました。
 公開したマニュアルは、野生動物由来の屠体給餌を検討している動物園や野生鳥獣の処理・加工を行う事業者、行政関係者など、幅広く活用され始めました。また、海外からの反響も大きく、現在英訳に向けての検討を進めています。
 動物園や水族館は単なる娯楽施設ではなく、研究や教育、保全などの役割を持つ博物館の一つです。そして、これらの役割の重要性が世界的にも益々高まっています。しかし、国内の動物園や水族館の多くは経済的に困窮しており、独自の研究資金を持ちません。このような現状において、笹川科学研究助成は我々動物園、水族館関係者にとって大変ありがたい存在です。今後も動物園や水族館の多様な研究を後押しすることが期待されます。
 最後に、実際に野生動物由来の屠体給餌を行った全国の動物園や水族館、私も理事を務めている野生動物由来の屠体給餌を普及する団体Wild meǽt Zoo(ワイルド・ミート・ズー)、研究者等の様々な団体や個人の方にご協力いただきました。この場をお借りしてお礼申し上げます。
<以上>

 駆除されたイノシシやニホンジカ等の屠体は約1割程度しか利用されておらず、ほとんどが捨てられているということに驚きました。動物園や水族館の動物たちの餌として利用することは、SDGsの取り組みにもつながると思います。こちらの活動が世界中に広がりますよう、陰ながら応援させていただきたいと思います。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 11:20 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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