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先輩研究者のご紹介(邱 吉さん) [2021年09月27日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2020年度に「王一亭と近代日本美術界:大正・昭和前期の「興亜美術」に関する研究」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、関西大学東アジア文化研究科所属の、邱 吉さんから助成時の研究や助成を受けての感想について、コメントを頂きました。

<邱さんより>
 私は子供の頃から、美術に興味を持ってきました。博士前期課程在籍時に、日本だけではなく、中国・台湾並びにヨーロッパの美術館や博物館に何度も通い、現場で美術の歩みに深い感銘を受け、総合的かつ実証的に研究するためのアプローチを探索していました。今後は、日本、中国ないしヨーロッパにおける美術交流に重点をおき、国境を超えた研究姿勢を目指し、学校教育の現場で先導的な役割を担う大学の研究者或いは博物館・美術館の学芸員になることを志望しています。
 笹川科学研究助成(以後、笹川助成)を受けた研究課題のキーパーソンである王一亭(1867-1938)は、呉昌碩・斉白石と共に中国現代書画の先駆者として知られています。当時、上海を拠点とし、日清汽船の買弁(取引媒介者)、慈善事業者、能書家として活躍した王一亭は、長い日本との関わりの中で、画家や文人に及ぶ幅広い人脈を持ち、日中美術交流の契機を捉えた「民間大使」の役割を果しました(図1)。

図1 王一亭主催の歓迎会.JPG
図1 王一亭主催の歓迎会。
出所:水野梅曉『日本仏教徒訪華要録』所収、日本仏教連合会、1928年

 図2に映る政治家、実業家、仏教徒、芸術家などから王一亭の人脈の一端をたどることができます。本研究は、近代東アジアの美術界を踏まえて、「海上画派」の中心人物の王一亭の国内外における文人交友と美術活動を取り上げます。また、日本と中国それぞれの美術市場を比較しながら、当時の日中人士の交流を検証し、中国のみならず、日本、そしてヨーロッパへの美術活動を検討し、二十世紀初期における日・中・欧の美術交流の実態を明らかにすることをも目的とします。

図2 王一亭の交友ネットワーク.jpg
図2 王一亭の交友ネットワーク。

 この度、笹川助成を採択していだたき、感謝の意を申し上げたいと思います。笹川助成は国籍を問わずに研究資金を与えてくれるもので、外国人留学生の私にとっては大変有り難いです。実は、外国人留学生の若手研究者は、研究費を得ることがとても困難であり、笹川助成は若手の研究を支援してくれるのは、多大な励ましとなります。私が笹川助成に申請する前に、日本学術振興会特別研究員(DC1)に申請し不採用でした。当時の私は悔しかったですが、自分の気持ちを整理して直ちに笹川助成の申請に没頭しました。幸いなことに、笹川助成に採択していただいたことで、研究がスムーズに行われ、本当に感謝の気持ちがいっぱいでした。その結果、研究論文(3本)や学会(3本)で助成による研究成果を公表し、この研究の有意義な展開ができました。ですから、研究助成の申請が失敗しても、立ち直して挑戦し、いつか願望が叶えると思います。笹川助成に申請を考えている方は、ぜひ挑戦してみてください。
<以上>

 世界中の美術館や博物館で研究を行い、学芸員となれるよう陰ながら応援させていただきたいと思います。
また、来年度の笹川科学研究助成の募集を10/15まで行っております。この機会にぜひ、挑戦いただければと思います。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 15:26 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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