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先輩研究者のご紹介(黒田 真帆さん) [2021年08月16日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2020年度に「大小粒子集団が創成する動的空間秩序:細胞の自律的構造形成のモデリング」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、同志社大学大学院 生命医科学研究科所属の、黒田 真帆さんから助成時の研究について、コメントを頂きました。

<黒田さんより>
 細胞内には様々な生体分子が存在しており、それぞれが自律的に組織化することで秩序的な構造を維持しています。この自己組織化により、細胞は正常に機能することができています。細胞の異形や核不整は癌細胞の特徴でもあり、細胞内の秩序形成メカニズムを明らかにすることは、医学・医療分野の基礎的な知見となることが期待されます。
 真核細胞において細胞核は通常は細胞の中央付近に位置しており、このことも自己組織化現象の一つです。私はこのメカニズムを明らかにするために、実際の細胞そのものでは複雑すぎるので、簡易的な実空間での細胞モデルを構築しました。細胞内は30-40重量%もの生体高分子で混雑しており、それらがブラウン運動で激しくゆらいでいることに着眼し、簡単なモデル実験を行ってみることにしました。実際には、10cm程度の容器に粒子を混雑させたときに、大粒子がどのような位置を好むのかを、振動盤を使って実験を進めました。

図1.jpg
図1 混雑度と境界条件による大粒子の局在位置。大粒子の位置が混雑度に
よってスイッチする。さらに、境界条件の変化でも局在化が反転する。
下段は、加振300秒間の大球の軌跡(黄色―赤色の部分が定常状態)

 笹川科学研究助成を活用させていただき、実験を行った結果、大小粒子集団に振動を印加すると、混雑度や容器の境界条件によって大球の局在位置がスイッチングすること(図1)を発見しました。また、シミュレーションにおいても実験で得られた傾向が理論的に再現されることを確認しています。このことから、細胞においては細胞膜の柔らかさや混雑環境が細胞核の配置に影響を及ぼしていることが示唆されます。これらの結果について、NY市立大学のShew教授と共同研究として、理論計算を含めた国際誌の論文を執筆しているところです。本研究は実空間における簡単な粒子モデル系での自己組織化現象であり、細胞の構造や機能の本質の一端を解明することができると考え、これからも研究に励んでいきます。また、境界条件を設定するだけで、揺らぎのなかで、大小粒子の局在化を制御できるといった本研究の成果は、今後、モノづくりの基本的な技術として発展する可能性もあるものと期待しております。

 私が笹川科学研究助成に申請した際はまだ学部4年生でした。学部生でも応募することのできる研究助成は数少なく、多くの人が挑戦することのできるものです。また、本助成を応募する際の申請書作成において、いかに研究背景を分かりやすくし、具体的な研究計画を立てるかということや、助成期間は計画をもとにどのように1年間で研究を発展させるか、ということを考えながら研究活動を行うことは非常に良い経験になったと思います。助成期間中は新型コロナウイルスの関係で研究計画に変更が生じましたが、その都度、柔軟に対応していただきました。

 最後に、貴重な機会を与えてくださった日本科学協会の関係者の皆様、ならびに研究の発展にご尽力いただいた同志社大学生命物理科学研究室の皆様に改めて感謝申し上げます。
<以上>

 子どものころに、塩と胡椒が混ざった瓶を、叩いて揺らすと塩と胡椒が上下に分離して分けることができるという実験をしたことを思い出しました。これと似たような現象が体の中でも起きていると思うと、とても不思議な感じがいたします。新型コロナウイルスの影響で、計画が思うように進まないこともあるかと思いますが、頑張って研究を続けていただきたいと思います。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 15:04 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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