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先輩研究者のご紹介(矢澤 優理子さん) [2021年05月17日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2019年度に「河川空間における集落構造と自然資源利用の実態に関する研究」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、千葉大学大学院園芸学研究院所属の、矢澤 優理子さんから助成時の研究について、コメントを頂きました。

<矢澤さんより>
 皆さんは「堤外地」という用語を耳にしたことがあるでしょうか?堤外地とは、堤防と堤防に挟まれた川側の土地、つまり、一般的には河川敷と河川の流路の範囲を指す言葉です。堤外地は、今ではゴルフ場やスポーツグラウンドになっているところが多く、特に都市部では顕著です。しかし、かつては堤外地にも集落があり人が住んでいたり、農業や漁業、舟運関係の仕事など、様々な生業が営まれていました。2019年には、この堤外地集落に着目し、集落の空間構造と生業を通じて行われる自然資源の利用(草や木、土壌や河川の流水利用など)との間には、なにか関係性があるのではないか?と考え、研究を行いました。

図1 堤外地の範囲.jpg

 集落の空間構造の調査では、河川改修の時に作成された大正時代の地図を使って集落の土地利用を全て図化し、集落をタイプごとに分類する調査を行いました。調査の結果、対象とした51の堤外地集落は、「集村型」、「散村型」、「列村型」の3種類に区分されました。また、どの集落でも集落の周辺に耕地と河畔林や草地、湿地が存在しており、河川の増水時に集落を守るために河畔林や草地を利用した空間配置が行われていることが示唆されました。

図2 対象とした堤外地集落の空間構造.jpg

 また、集落の生業については、明治末期の地域の状況を示した『武蔵国郡村誌』を用いて調査を行いました。その結果、全51集落の基幹産業は農業であり、農業のみを生業としている集落が44集落ありました。そのほかの7集落では、工業、商業、雑業、紡織などが営まれており、2集落では漁猟も行われていました。河岸や渡船場、橋のある集落は河川の横断地点に「列村型」の形態で形成されており、船への荷物の積み下ろしや渡船、漁猟という川と関連する生業が集落の空間構成に影響を与えていることが示唆されました。

図3 各集落における生業と集落形態との関係.jpg

 上記のように、私は堤外地を対象に、自然環境の変化と人の空間利用がどのように関わっているのかを研究しています。扱う対象が人文社会科学と自然科学の両方にまたがっており、これまで受けられる助成制度がなかなか見つかりませんでした。笹川科学研究助成は、複合的な分野の研究も助成対象となっており、研究を行う機会をいただけて大変ありがたく思っています。また、助成金を活用して地方の学会にも参加でき、他の研究者の方々から助言や質問等をいただけたことも大きな糧になりました。改めまして、研究の機会をくださいました日本科学協会の皆様には深く感謝申し上げます。
<以上>

 明治末期頃には、人々は生業によって住む場所を決め、自然環境をうまく活用した空間利用をしていたということが分かってきたとのことでした。今後も興味深い結果が出ますよう、頑張っていただきたいと思います。
 笹川科学研究助成では、様々な分野を横断したテーマについても複合系として支援をさせていただいており、特徴の一つとなっているかと思います。今後も、皆様の独創的な申請をお待ちしております。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 11:50 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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