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先輩研究者のご紹介(葛西 有代さん) [2021年03月15日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2019年度に「『かき混ぜ文』理解過程の脳波解析に基づく失語症に対するリハビリテーション」という研究課題で笹川科学研究助成実践研究部門を受けられた、総合リハビリ美保野病院リハビリテーション科所属の葛西 有代さんから、最近・助成時の研究について、コメントをいただきました。

<葛西さんより>
 私は青森県八戸市にある総合リハビリ美保野病院で言語聴覚士として、10年以上勤務しています。主に、脳卒中によりコミュニケーションに困難さが生じた方々のリハビリテーションに携わっています。助成時も現在も、東北大学大学院文学研究科言語学研究室にも所属しています。

 本研究は、失語症のある方々へのリハビリテーションやコミュニケーションの方法を考えるために行っています。
 「失語」は脳の疾患や外傷で生じる症状の1つで、脳の損傷により、一旦獲得された言語機能(聴いて理解する、話す、読む、書くなど)が低下する症状です。コミュニケーションに困難さが生じ、日常生活や社会生活に影響を及ぼします。

 失語症のある方々の中には、「太郎が花子を追いかけた」のような、「主語−目的語−述語動詞」の基本的な語順(以下、基本語順文)の文を理解することはできても、「花子を太郎が追いかけた」のような「目的語-主語-述語動詞」の語順をかき混ぜた文(以下、かき混ぜ文)を理解することが難しい場合があります。

ブログ_葛西有代_図1.jpg
図1 基本語順文とかき混ぜ文の構造

 そこで、今回の助成により、失語症のある方々10名(35〜63歳、以下、失語群)と、失語症のない定型発達の方々24名(39〜66歳、以下、定型発達群)に、基本語順文とかき混ぜ文を聴いていただき、脳波を測定しました。

 基本語順文の目的語とかき混ぜ文の主語を聴いた時の脳波を比較すると、定型発達群では、刺激文を聞き始めてから900-950ミリ秒後に、かき混ぜ文の主語において基本語順文の目的語に比べ有意な陽性波が観察されました。これは、先行研究では、高次な処理を行う課題で観察されている成分です。一方失語群では、そのような有意な差が認められませんでした。このことは、失語群は定型発達群と同じようには聴覚的な文処理ができていないということを示唆しています。この失語群の中には、様々な失語症の種類の方がいらっしゃるので、疾患や脳損傷の場所に応じた傾向を把握するために、現在も研究を継続しています。

ブログ_葛西有代_図2.jpg
図2 定型発達群における刺激開始後900〜950ミリ秒の頭皮上電位分布

ブログ_葛西有代_図3.jpg
図3 脳波測定実験の様子@

ブログ_葛西有代_図4.jpg
図4 脳波測定実験の様子A

 助成いただけたことで、所属先で報告し助言いただく機会をより多く得ることができました。また、所属している病院(八戸市)と東北大学(仙台市)を頻回に行き来し、研究をすすめることができました。
<以上>

 意思疎通を図るために、当たり前のように言葉を使っていますが、脳の中では様々な反応が起きており、非常に複雑なことなのだと思いました。今後も、リハビリテーション等で困っている方のための役に立つような研究となるよう、陰ながら応援させていただきます。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 15:07 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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