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先輩研究者のご紹介(牛場 崇文さん) [2020年03月09日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。本日は、2018年度に「極低温環境下における高ダイナミックレンジ光ローカル変位センサーの開発」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、東京大学宇宙線研究所所属の、牛場 崇文さんから、研究について、コメントを頂きました。

<牛場さんより>
 私は重たい星同士の合体や超新星爆発などの宇宙で起こる非常に激しい天体現象から発せられる重力波を捉える研究をしています。重力波は1916年にアインシュタイン博士によって存在が予言され、約100年後の2015年にアメリカのLIGO検出器によって世界で初めて検出されました。2017年にはイタリアのVirgo検出器がLIGOに引き続き検出に成功しており、重力波の検出によって「ブラックホールがどのように形成されるのか」や「重元素合成がどのように行われるか」といった宇宙の大きな謎の解明に貢献することが期待されています。

 日本では三台目の検出器となるべくKAGRAと呼ばれる重力波検出器が建設されました。KAGRAは2019年10月に建設が完了し、2020年の2月25日から単独での観測運転を開始しました。現在は2020年4月までに国際共同観測に参加できるよう精力的に研究が続けられています。KAGRAはLIGO検出器やVirgo検出器と同様にレーザー干渉計型の重力波検出器となっており、複雑な構成のマイケルソン干渉計を構築して重力波を検出します。一方、KAGRAは他の二つの検出器にはない特徴を有しており、20K程度まで冷却したサファイア製の鏡でレーザー干渉計を構成します。

 助成時の研究ではKAGRAで冷却する鏡の位置を読み取る変位センサーの開発を行いました。KAGRAで構成する干渉計は3kmという非常に巨大なもので、鏡の角度が1°変わってしまうだけでも、3km先の光の位置は100m近く移動してしまいます。そのため、非常に高い精度で鏡の位置や角度を制御しなければ干渉計を構成することができません。加えて、KAGRAでは鏡を低温に冷却するため、極低温環境下でも使用可能なセンサーでなければなりません。そのため、センサー自身を独自に開発・性能評価を行う必要がありました。

 開発したセンサーは反射型フォトセンサーと呼ばれるもので、測定対象に非接触かつ非常に広いレンジで変位の測定が可能なものです(図1)。このセンサーに関して、低温でのキャリブレーション、低温化による出力変化、低温での長期安定性、センサーの個体差などの測定を行いました。これにより、重力波検出器KAGRAでの使用のみならず、衛星への搭載などの応用を見据えた非常に重要な基礎データの測定を行うことができました。また、本研究によってLEDのビームプロファイルを適切に用いることで、非常に精度よくセンサーのキャリブレーション結果を説明可能なモデルの構築にも成功しました(図2)。

図1.jpg
図1 反射型フォトセンサーの概念図と実際に用いたセンサー

図2.jpg
図2 LEDのビームプロファイルとキャリブレーションカーブのモデル
 ビームプロファイルを適切に用いることにより、キャリブレーションの測定結果を説明できるモデルを構築した(右図青線)。

 日本科学協会笹川科学研究助成は駆け出しの研究者で研究資金の乏しい時期に非常に助けとなりました。また、研究途上の計画変更による予算執行の変更にも非常に迅速に対応していただき、結果として当初予定していた以上のキャリブレーションモデルの構築という成果を出すことができました。この場をお借りしてお礼申し上げます。
<以上>

 重力波検出器を建設するという壮大なプロジェクトであっても、センサーの開発といった基礎的なことの積み重ねが、非常に大切になってくると思います。KAGRAは岐阜県飛騨市神岡町にあり、スーパーカミオカンデの隣にあるそうです。KAGRAもノーベル賞級の成果が出せるよう頑張っていただきたいと思います。また、笹川科学研究助成は1年間という短い期間の助成制度ではありますが、研究者の方が使いやすい制度となるよう、事務局一同頑張りたいと思います。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとう
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 11:06 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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