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先輩研究者のご紹介(設樂 拓人さん) [2020年03月02日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。本日は、2018年度に「最終氷期の遺存植物チョウセンミネバリの本州中部における分布と植生の実態の把握」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、琉球大学所属の、設樂 拓人さんから助成時から最新の研究について、コメントを頂きました。

<設樂拓人さんより>
 私が笹川科学研究助成を頂いて取り組んだ研究課題は、日本国内での分布や生態が不明だった「チョウセンミネバリBetula costataの本州中部での分布の実態の把握」でした。チョウセンミネバリはカバノキ科カバノキ属の落葉広葉樹で、極東ロシア沿海州や朝鮮半島、中国などの北東アジアの大陸部の針広混交林に広く分布しています。また、日本でも栃木県などの本州中部山岳で観察例があります。本種は、日本列島が現在よりも寒冷乾燥な気候だった最終氷期(約7万年から1万年前)に、日本に広く分布していたと推定されていることから、最終氷期以降の気候変動の中で生き残ってきた貴重な遺存植物だと考えられています。それにもかかわらず、日本では観察例がとても少なく、未だに日本の植物図鑑にはちゃんと掲載されていません。また、国内でのチョウセンミネバリの写真も掲載されていませんでした。そのため、国内でのチョウセンミネバリの正確な分布や生態に関する情報が十分に把握されていませんでした。

写真1.jpg
(写真1 チョウセンミネバリの樹形)

写真2.jpg
(写真2 枝葉)

 そこで、私は本州中部におけるチョウセンミネバリの正確な分布情報を把握するために、本州中部山岳でチョウセンミネバリを探し回りました。私は、極東ロシア沿海州でチョウセンミネバリを観察したことがあるため、チョウセンミネバリを見分けることが出来ました。そして、調査を進める中で、長野県や富山県でチョウセンミネバリを見つけることができ、その分布情報や生態を以下の学術雑誌に発表しました。私の知るかぎり、この論文に掲載されたチョウセンミネバリの写真が、正式な書面に掲載された国内初のチョウセンミネバリの写真です(写真1,2)。

1. Shitara T, Ishida Y, Fukui S, Fujita J. (2019) New Localities of Betula costata (Betulaceae) from Nagano Prefecture, Japan. Journal of Japanese Botany 94(2): pp112-116.
2. 設樂拓人, 相原隆貴. (2019) 富山県におけるチョウセンミネバリBetula costataの分布の現状. 植物地理・分類研究67(2): pp149-151.

 チョウセンミネバリは、一見、ダケカンバBetula ermaniiに似ています。しかし、ダケカンバの葉の側脈は8-13対であるのに対し、チョウセンミネバリは8-15対前後であり、葉全体がダケカンバよりも細長く見えます(写真3)。また、種子につく「翼」は、ダケカンバよりもチョウセンミネバリは大きい傾向があります(写真4)。さらに、ダケカンバは、標高約1500m以上の亜高山帯に分布しているのに対し、チョウセンミネバリは、標高約1000mから1400mに分布している傾向があります。

写真3-001.jpg
(写真3 ダケカンバとチョウセンミネバリの葉)
写真4-001.jpg
(写真4 ダケカンバとチョウセンミネバリの種子)

 笹川科学研究助成のおかげで、中部地方の広範囲でチョウセンミネバリの分布を調査し、論文を出版することが出来ました。心より感謝しております。この研究を励みにこれからもより一層、面白い研究を皆さんにお伝えできるよう、努力していきたいです。
<以上>

 日本国内でも、まだ図鑑に載っていない植物があることに驚きました。山岳での調査は危険も伴い大変だったかと思いますが、このような地道な研究が研究成果につながるのだと思いました。今後も、図鑑に載っていないような植物を発見できるよう、頑張っていただきたいと思います。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 10:18 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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