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先輩研究者のご紹介(重野 裕美さん 2) [2020年02月03日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2018年度に「アート制作を通した病児と中学生の交流による教育の可能性について」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられ、私立長崎精道小中学校美術科の非常勤講師をされていた、重野 裕美さんから現在の研究についてコメントを頂きました。現在は、九州大学総合研究博物館 専門研究員としてご活躍中です。
 以前にもブログをご執筆していただいておりますが、(https://blog.canpan.info/kagakukyokai/archive/575)2019年4月からオランダで研究を開始されるとのことでしたので、これから海外での研究を考える方へご参考になればと、再度ご執筆をお願いいたしました。

<重野さんより>
 オランダへきて9ヶ月が過ぎようとしています。こちらでは,出会う人は初対面ばかりなので,挨拶の後は自己紹介という流れになります。今まで,図書館の方(ほとんどの図書館内に子どもアトリエ有り),アーティスト,ミュージアムの方などと会いしましたが,その都度,相手の背景を考えて共通点はないか,説明の長さはどのくらいが適当か,どのようなところをポイントに説明したらわかりやすいか,また相手は何を言いたいのかなど,毎回冷や汗を流しながらコミュニケーションをとっています。まずは言葉です。日々,英語に悪戦苦闘しています。
 昨年度は笹川科学研究助成を得ることができ,日本の子どもホスピス訪問インタビューをしました。偶然知ったのですが,そこでお話を伺った方々が参加したフォーラムに,オランダにある子どもホスピスの代表者がパネリストとして来日されていました。そこで,その施設「キンダーホスピス ビネンフェルド」へ訪問できればと思い,代表のストゥーリンガさんへ訪問インタビューの依頼メールを送ることにしました。何度かのメールのやり取りののち,昨年の12月5日に子ども達へのクリスマスプレゼントを持って訪問することができました。(プレゼントは,次女が研修した工房のドイツの木のおもちゃです。)

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キンダーホスピス ビネンフェルド

 豊かな自然の中にあるこのホスピスは,医師から治療困難と診断を受けた子どもたちのための宿泊施設であり,デイケアもできます。定員は12名,施設登録者は45名です。2002年にこの施設の前身が創設され, 2014年に現在の場所に拡大,移転しました。
 需要の高まりにより今年1月から同じ敷地内にデイケア用の施設が施工されます。ストゥーリンガさんは,元小学校の教師です。最初は施設の利用者が少なく,彼女は様々な場に出かけて説明をし,次第に理解が広まり今に至ります。しかし「ホスピス」という名称に抵抗がある保護者もまだいるそうです。これは日本でもよく聞きました。彼らの敷居を低くするために「子どもゲストハウス」という名前の方がいいかな,と少し考えているようでした。スタッフは,看護師が3名,専門家として理学療法士と言語聴覚士,遊び治療の専門家など5名がいます。地域の方達が協力的で,ボランティアには,洗濯をする人,ケアの周辺,庭師,調理をする人が来るそうです。多くの寄付も寄せられており,遊具の会社などと提携し寄付を募る工夫もされていました。施設内は,家庭にいるような温かい雰囲気で,壁面などの明るいデザインが目を引きました。

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   明るい雰囲気の施設内        大木の絵が描かれた階段の壁

 階段の壁には,大木の絵があり鳥達が描かれています。この鳥達はここで亡くなった子どもたちをイメージしており,それぞれに子どもの名前が書かれています。この鳥について抵抗感のある保護者の方達もいたそうですが,彼らに向き合うことの大切さを話し,今では理解を得られているそうです。別棟には子どもをなくしたご家族のための「瞑想の部屋」があり,ゆったりとしたソファが中央に設えられています。ソファに座ると大きな窓から自然が広がります。ここは親のためにも重要な役割を果たしているのだと思いました。

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瞑想の部屋と窓からの風景

 今後のことについては「今までは,医療について意識が向いていたが,発育について目を向けていくことが大事だと気がつきました。やり続けることが大事です。」と話されました。オランダには,このホスピスを含む子どもの医療機関のネットワークがあります。日本にもこのような全国のネットワークがあると保護者へ有意義な情報を送ることが容易になるのではないかと思いました。ストゥーリンガさんは今後この場をネットワークの新たな拠点にしたいと,さらなる展開について意欲的に話してくれました。
 訪問の数日後,彼女からメールが来ました。インタビューでアートについて聞いたところ「遊びの中にアートがある感じで,特別にアートを意識はしていない,専門の先生に任せている。」という話をしていただきました。メールでは,私がアート専門なのにそれについてあまり話せず申し訳なかった,とあり,ケアを必要とする子どものためにアート活動をしているグループを紹介してくださいました。多忙な中の彼女の心遣いに,ややもすると外国の中で孤独を感じる自分に,とてもあたたかな気持ちが広がり励まされたような気がしました。こちらでは新たな発見が多く刺激も受けますが,いつの間にか気持ちが弱くなっている時もあります。そのような時は,励まし合える仲間がいるとその辛さも乗り越えられるような気がします。
<以上>

 海外での生活は、言葉の壁などがあり大変かと思いますが、順調に研究が進んでいるようで、なによりです。オランダにて「出会う人は初対面ばかりなので、挨拶の後は自己紹介」となるそうですが、コミュニケーションをとるために挨拶、自己紹介は非常に重要であり、日本にいても意識しなくてはいけないと改めて気づかされました。子ども達や保護者の方達の憩いの場となるような空間が作れるよう、頑張っていただきたいと思います。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 09:27 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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