「笹川杯日本知識クイズ大会優勝者等招聘」の総括
[2008年03月25日(Tue)]
「笹川杯日本知識クイズ大会優勝者等招聘」の総括
2008年1月下旬に実施した「クイズ大会招聘」に関しては、学生たちの訪日感想、活き活きとした姿、意外な表情、ちょっとしたエピソードなど、さまざまな情報を発信してきましたが、本日紹介する訪日団長の訪日総括と2人の訪日団員の感想文をもってひと区切とします。
訪日団長であり佳木斯大学外国語学院院長である張先生は、24年の実践経験を持つ日本語教育者としての観点、また、中国の大学の教育者としての観点から、今回の訪日を総括してくれました。安徽中澳科技職業学院の孫さんも、今回の訪日で遭遇した貴重な出会いと沢山の啓発を、中国の古い詩になぞられて「踏花帰来馬蹄香」(花を見た帰りは馬の蹄も薫る)とし、永遠に記憶に刻み込まれるものと結論付けています。さらに、引率者として来日した長春師範学院の劉先生も学院で日本語の教鞭を執っておられ、既に何度かの訪日経験がありますが、日本人や1週間を共に過ごした団員達との交わりの深さという点で、今回の訪日には格別の感慨があったようです。
中国語の感想文は原文に忠実に翻訳して、日本語の感想文は原文を尊重して手を加えず掲載しました。

日本財団笹川陽平会長表敬訪問

「知日家になって・・・」と日本財団笹川会長
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訪日代表団 団長
佳木斯大学外国語学院 院長 張 鳳傑

日本訪問の所感(総括)
※原文は、中国語です。
日本財団および日本科学協会からご招待いただき、2007年「笹川杯日本知識クイズ大会」の各地域の優勝者と大会主催者からなる訪日代表団が、2008年1月24日〜1月31日、日本で八日間の見学を行いました。
私は中国の大学で日本語専攻の教壇に立ち24年にもなり、日本で学習や生活をした経験もあります。幸いにも今回の訪日代表団の団長となり、かつてない感慨と収穫がありました。短いものの充実し、集団学習と娯楽、視野を広げる活動と語学の実践が一体となった、楽しくて忘れがたい旅でした。
*独創性のある行程と多彩で充実した内容
今回の訪日は八日間で、国際移動の時間を除くと、日本滞在時間は六日間でした。このわずか六日間の間に、訪日代表団は東京、沖縄、京都、神戸、大阪といった五都市を回り、日本財団と日本科学協会に表敬訪問しました。東京大学、ひめゆり平和祈念資料館、神戸港震災メモリアルパークなどを見学し、また、新聞の取材も受けました。
東京では、代表団の全員がかつての東京−浅草を見学し、現代の東京である船の科学館にも訪れ、お台場一体から国際的な現代都市の息遣いを感じ取りました。中国の大学生たちに限られた時間の中でより日本を理解してもらうため、今の大学生生活に近づいてもらおうと、日程中には原宿の散策、日本の大学生との一日観光などの活動も含まれていました。中国で日本語を学習している大学生たちには実践的な時間そして空間となりました。わずか六日間で、寒風ふきすさぶ東京から海水浴のできる沖縄まで、訪日団は日本の美しい自然を鑑賞し、各地それぞれの日本食を味わい、日本人の愛する温泉浴も体験しました。見学旅行を楽しんだ以外にも、「日本知識クイズ大会交流会」、「中日大学生意見交換会」なども開かれ、今回の旅行はより興味深く充実し、多彩なものになりました。
*日本語能力実践としての行程と全体的な資質が問われる旅程
今回の訪日団員は、中国の各大学で日本語を専攻とする優秀な学生です。日本を訪れることができたことで、長年学習してきた日本語を母国語とする日本で実践できるという疑いなく貴重な機会を得ました。今回の行程では時間が限られており内容も多かったのですが、学生たちはそれぞれの時間を大事にして、最大限に自分の夢を実践しました。
日程の中には早起きや夜更かしが必要なものもありましたが、団員たちはとても自主的に積極的に協力し、時間を守りました。どんなことでも熱心に取り組み、現代中国の大学生の精神を見せてくれただけでなく、日本語専攻の学生たちは日本文化から影響や薫陶を受けた、勤勉さ、まじめさ、信用、実務に励むといった優秀な品格を体現してくれました。中国の大学教師の一人として、最もうれしく誇らしく感じたことです。
*実り多く意義深い日本の旅
日本旅行の日程がとても合理的で内容も充実したため、意外な収穫をも得ることができました。新聞の取材を通じて、学生たちの音声や映像がテレビ、ラジオ、インターネットにそれぞれ載り、勢いづいた学生たちが「川流会」を結成しました。このことは「日本知識クイズ大会」活動の新しいマイルストーンとなり、より多くの日本語学習者と中日交流に有用な空間を提供するものとなります。今回の日本旅行における実りの一つです。
今回の日本旅行は、多くの中国大学生に人生で初めてのことを実現させました。初めての飛行機、出国、海、震災の爪痕の見学、テーマ旅行、取材される体験、たくさんの日本語専攻学生とのふれあい…
こうした初めての数々は彼らを未知の空間へ連れて行き、その夢を一つ実現させました。人生で初めてのことはきっと、すばらしく忘れがたい記憶として一生残ることでしょう。
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安徽中澳科技職業学院 日本語科 3年 孫文博

未来を変える知識と力を持った新たな時代の大学生として
※原文は、中国語です。
8日間の旅と言えばとても長いように思っていましたが、実際に来てみると8日間の旅はあっという間に過ぎ去ってしまいました。
正直、日本に来る前には、自分は日本語専攻の学生であり、「第三回華東地域笹川杯日本知識クイズ大会」のファイナリスト賞を受賞していたこともあり、日本のことならある程度のことは理解しているという自負を持っていました。しかし、実際日本に来てみると、いろんな意味で大変衝撃を受けました。
飛行機を降りてすぐ感じたのは、空気がとてもきれいだということでした。至るところに美しい風景が広がり、素晴らしい自然を随所に感じることができました。日本と言えば、環境保護への取り組みと国民の教養の高さが広く知られていますが、実際来てみると様々なところで感心させられました。東京の街で30分、いや1時間歩いたとしても地面に落ちたごみを見かけることはありません。しかしながら、ゴミ箱がたくさん設置されていた訳でもなく、一つの通りにゴミ箱が一つも設置されていないこともしばしばあります。ゴミ箱が少ないのに街の環境がこんなにも清潔に保たれているなんて!正直とても驚いたと同時に、心から感服せざるを得ませんでした。
日本人への印象と言えば、礼儀正しく謙虚な国民、というイメージを持っていましたが、今回、日本に来て日本の方々は本当に親切だと思いました。我々を迎え入れてくれた日本財団、日本科学協会の方々は、実にきめ細かく訪日メンバーの面倒をみて下さって、労を惜しまず見学スケジュールをアレンジして下さいました。「日中学生交流」に参加した東京の大学生は親切に上野公園や秋葉原を案内してくれたり、好奇心豊かな私たちの質問に少しも面倒臭がらずに丁寧に答えてくれたりしました。本当に心から感謝します。
また、最も印象深いことは、どんな場所においても、日本人はみんな自覚をもって行動しているということです。自分の振舞いによく気を遣っており、周りの人に迷惑をかけてはいないかということに常に気を配っていました。また、困っている人には自然に手を差し伸べ、助けようとするのです。滞在中の8日間には、乱れた行列を一度も見たことが無く、公共の場で大きい声で騒ぐ人を見かけることもありませんでした。エスカレーターに乗る時には、みんな自然に左に並んで急ぐ人のために右側を空けておくし、電車や飛行機に乗る時は、いつも周りは静かで快適です。至るところに分かりやすい標識が置かれていて、道を尋ねれば警察官も通行人も店員さんも、必ず親切に教えてくれます。
この8日間、私たちは東京都庁に登ってこの近代都市を眺めその美しさに感嘆し、沖縄の海辺に行っては波と戯れ、また、神戸港の岸辺に立っては阪神大震災で亡くなられた方の冥福を祈りました。そして、とうとう訪れてしまった別れに気づいた時には、思わず涙が顔を濡らしていたのです。
私は、この8日間で中国では見られなかったものをたくさん学べたような気がします。未来を変える知識と力を持った新たな時代の大学生として。また、実際に日本を訪れ様々なことを見学する恩恵に与った者として。そして、「川流会」の一員として、私たちはこの旅で聞いたこと、見たこと、また、実際に触れた日本の素顔と日本の友達のことを自分の心に深く記憶しておくだけでなく、周りの人々にも自分の感じたことを伝えなければならないと強く感じました。
中国の古い詩にこんな一句があります。―「花を見た帰りは馬の蹄も薫る」― わずか8日間の旅でしたが、私にとって8年にも匹敵する程の貴重な出会いと沢山の啓発がありました。この8日間は永遠に私の記憶に刻み込まれることでしょう。中日友好が大河の如く永遠に続きますように。そして「笹川杯」と「川流会」が益々の発展を遂げますように、心から祈っております。
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長春師範学院外国語学院 副院長 劉艶(引率者)

感動した一週間
※原文は、日本語です。
私たちは「日本知識クイズ大会」の優勝チームの一員として、日本科学協会と日本財団の招きで、2008年1月24日ら2008年1月31日まで一週間ほど日本を訪問しました。これは私の12年ぶりの訪日でしたが、私にとっては日本の人情味と風景を満喫した一週間で、忘れがたい一週間でした。
一週間はたしかに長い旅ではありません、しかし、私にとって、今回は終生忘れ難い感激の日々が続き、収穫の多かった訪日でした。雪の降る東京から桜の咲き始めた沖縄まで日本の美しい自然風景を楽しく満喫しました。そして、特に日本人との交流で真に日本人への理解を深めました。前に何度も日本へ行ったことがありますが、今度のように毎日日本人と一緒にいることは今度が初めてでした。本当に日本人の親切と熱心をしみじみ感じました。笹川会長をはじめ、大島会長、梶原義明常務理事など沢山の皆様のご歓待を頂きました。空港への出迎えから表敬訪問、送別会など、日本人の方の親切な接待と行き届いた手配、何から何まで丁重なお世話を頂き、私たち訪日団一行全員が大感激でした。
そして、今度の一週間でもう一つ大きな収穫は、「日本知識クイズ大会」が自分の組織を持ったことです。つまり、「川流会」が誕生しました。これはこれからの交流にとっては重大な意義を持っていると思います。これからの中日交流は川流のように末永く絶えず流れていくよう、私たちががんばっていきたいと思います。
最後にもう一度私たちに訪日のチャンスを与えてくださった日本科学協会と日本財団の皆様に感謝の意を申し上げます。また、ずっと私たちに至れり尽せりのお世話をしてくださった、全ての関係者の皆様に、特にお姉さんみたいな顧さんに感謝いたしております。わたしは「川流会」の会友として、ぜひこれからの中日交流に力を尽くしたいと思います。
教育・研究図書有効活用プロジェクト室
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