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先輩研究者のご紹介(櫻庭 陽子さん) [2021年04月26日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2019年度に「身体障害に対するチンパンジーとヒトの社会的態度の違いに関する研究」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、京都市動物園生き物・学び・研究センター所属(助成時)の、櫻庭 陽子さんから助成時の研究について、コメントを頂きました。

<櫻庭 陽子さんより>
ヒト社会において、身体障害者に対する反応や態度は様々です。一方、ヒトに一番近縁なチンパンジーでは、身体障害個体に対する群れの仲間による攻撃行動や血縁者以外による特別な支援は、野生ではほとんど見られません。飼育下でも、身体障害個体が群れに復帰している例がいくつか報告されていますが、彼らに対する群れメンバーの社会行動や態度にフォーカスした研究はほとんどありません。これらの社会的態度を調査することにより、身体障害個体の福祉向上としての群れ飼育を議論するとともに、私たちヒトの身体障害者に対する社会的態度の進化について考察することを目的としました。

Fig.1.jpg
―Fig.1―

今回の研究では、2つの動物園(愛知・熊本県内の動物園)で生活している身体障害があるチンパンジー2個体とその群れメンバーの行動を観察し、さらに身体障害チンパンジーの写真に対しての視線の動きを調査し、「行動的態度」「認知的態度」の抽出を試みました。行動観察の結果、チンパンジーでは身体障害が社会行動の違いに影響することはほとんどなく、野生で報告されているように、身体障害個体だけが特別配慮されたり排除されたりするような行動的態度の偏りはありませんでした。また彼らが群れ復帰した際の群れメンバーの態度について、当時の飼育スタッフにインタビューしたところ、大きな変化はなかったという回答が得られました。障害の程度や群れ構成、個性や性別も考慮する必要はありますが、今回観察した2群では、身体障害個体に対して特別な配慮も攻撃的な態度もほとんどなく生活できていることから、群れ飼育が身体障害個体の福祉向上にも有効である可能性が示唆されました。

Fig.2.jpg
Fig.2 右後肢を病気で切断したメスのチンパンジー

Fig.3.jpg
Fig.3 群れの仲間と暮らす左前腕を切断したメスのチンパンジー(左から3番目)

視線計測の認知実験では、ヒトの被験者において障害部位を長時間見る傾向がありました。今回チンパンジーを対象にした視線計測は助成期間中に実施できませんでしたが、チンパンジーたちが身体障害を認知しているのか、認知しているけども行動的態度に現れないだけなのか、それとも新たな発見があるのか…実験の準備をしているところです。

「動物」「社会的態度」「身体障害」という生物分野にも人文・社会分野にもかかわる研究内容だったため、提出する分野によって書き方を工夫しました。繰り上げ採択でしたが、他園での観察に必要な旅費を確保できたことは非常にありがたかったです。荒天による観察日の変更や観察対象個体の死亡などのハプニングもありましたが、メールでの相談にも応じていただき、無事遂行することができました。また、笹川科学研究助成は基本的に個人管理です。私は所属施設に管理をお願いしましたが、支出簿の作成や領収書の保管など、自ら研究費を管理・運用するいい機会になりました。
<以上>

 ヒトと、ヒトに一番近縁なチンパンジーの身体障害に対する行動や認知について調査する、興味深い研究でした。まだ実験の途中ということですので、これからも頑張っていただきたいと思います。
 研究は予想通りに進まず、様々なハプニングが起こることもあります。当会としては、計画の変更等によって対応させていただきたいと思いますが、あまりにも当初の計画と異なる場合は承認されない場合もあり、助成金を使い切れなかったという例もあります。そのため研究計画を立てる際は、様々なことを想定し柔軟な計画とすることも、研究を速やかに遂行する上では重要になるかと思いますので、意識していただけますと幸いです。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 16:37 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介(松尾 洋孝さん) [2021年04月19日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2019年度に「硫黄選択的酸化反応および質量分析計を用いた微生物由来新規含硫黄物質の探索」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、北里大学北里生命科学研究所所属(助成当時)の、松尾 洋孝さんから最近の研究について、コメントを頂きました。

<松尾さんより>
 2019年度笹川科学研究助成に採択していただき、非常に充実した研究生活を送ることができました。助成当時、私は2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞されました大村智博士の統括するグループにて微生物の作り出す化合物に関する研究をしておりましたが、現在は国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の薬用植物資源研究センターに所属を変え、植物に関する研究を行っております。学生時代より変わらず、いわゆる「ものとり」(植物や微生物などの天然資源から化合物を得ること)をメインに研究してきました。現在は未利用植物や薬用植物(生薬等)の利活用を目指し、その有用性探索などをメインに研究しています。
 生薬とは、動植物の一部あるいは全てを乾燥などの工程を経て調製されたものの総称です。漢方と言えば聞き覚えのある方は多いかと思いますが、漢方はいくつかの生薬を組み合わせて作られた処方全般のことを言います。葛根湯などは非常に有名なため、ご存知の方も多いかもしれません。大多数の方は、漢方は中国の医学(薬)だと思っているかもしれませんが、中国ではそれを中医学と言い、確かにルーツは中医学なのですが、実は漢方は日本独自の発展を遂げた医学なのです。しかしながら、漢方に使われている生薬のほとんどは中国からの輸入に頼っています。昨今、中国では自国での生薬使用量の増加等により、徐々に輸出量が減少しています。そのため、当センターでは生薬の原料となる植物の国内栽培化を目指し、日々研究をしています。また、薬用植物スクリーニングプロジェクト(https://www.nibiohn.go.jp/cddr/research/project04.html)として、全国の野生植物や、業界団体ご協力のもと、生薬の市販品などを収集し、それらを抽出してエキスライブラリを構築しています。現在、14,000点以上のエキスを保有しており、国内最大の薬用植物エキスライブラリとなっております (図1)。本ライブラリは、共同研究により様々な大学や企業に活用していただき、成果も着々と出ています。私自身も、新しい活性評価系を立ち上げ、エキスライブラリを活用して新規医薬品のシード探索を行っています。

図1.jpeg
図1 薬用植物抽出エキスライブラリ

 笹川科学研究助成は、何に役立つかわからないが、とにかく自分の考案した研究をやってみたい!と言うような気持ちを全面的にバックアップしていただける助成だと思います。特に、大学院生でも申請できるため、研究室の方針に囚われない自由な発想を生かすチャンスかと思います。そのような熱意を持って申請書を作成すると、審査員の方々に伝わるのではないかと思います。これから申請を考えている人達の中にも、新型コロナウイルスの影響でなかなか思うように研究ができない人もいるかと思いますが、ぜひ若手の研究を積極的にご支援なさっている笹川科学研究助成に応募してみてください。最後になりましたが、本助成に関わりました審査員の方々、関係者各位の皆様に深く感謝申し上げます。
<以上>

 漢方というと、中国で発展したものかと思いましたが、日本で独自の進化を遂げているということを初めて知り驚きました。天然の動植物には、人間に役に立つ成分を含むものが、まだまだあるかと思いますので、様々な効能のあるエキスを見つけられるよう、頑張っていただきたいと思います。
 また笹川科学研究助成では、研究への熱意や気持ちを大事に支援させていただきたいと考えております。実績や成果の少ない若手研究者であっても、是非とも挑戦していただきたいと思います。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 15:52 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
科学研究体験ワークショップ [2021年04月12日(Mon)]

 2021年3月7日と3月27日の2日間、中高生を対象として科学研究体験ワークショップを開催しました。講師は東工大の陣内修先生で、専門は素粒子物理学です。CERNのATLAS検出器を使用して未知の素粒子を探索されています。

 WSでは、Raspberry Pi model 3B+と温湿度センサー、Jupyter Notebookを使って測定した温度と湿度のデータを統計的に解析しました。最後は仮説検定に挑戦し、参加者はラズパイの工作から、プログラミング、データ解析まで科学研究に応用できる一連のプロセスを学びました。


キャプチャ1.PNG
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 15:38 | サイエンスメンタープログラム | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
第10回サイエンスメンタープログラム研究発表会 [2021年04月12日(Mon)]

 2021年3月28日に第10回サイエンスメンタープログラム研究発表会をオンラインで開催しました。三部構成の第二部・第三部で、中高生と研究者・学校教員による質疑応答を行い、千葉県立千葉高等学校の有川慶彦さんの研究「鳥類における叉骨−胸骨間の形態比較〜標本データベースを利用した比較解剖学的研究〜」と清風高等学校の野田晃司さんの研究「シマミミズEisenia fetidaを用いたヘドロミミズ堆肥の可能性」が優秀賞を受賞しました。

 プログラムと発表課題は次のとおりです。


●プログラム

10:50    開会
11:00〜12:00 《第一部》研究倫理の講習
13:00〜14:00 《第二部》研究発表(中高生による質疑応答)
14:20〜16:00 《第三部》研究発表(研究者・学校教員による質疑応答)
16:00    講評・閉会
 

●研究課題・発表者およびメンター

1. 「目に見えない気体を可視化する研究」 東京都立小石川中等教育学校3年 水谷 紗更・玉川 玲奈
 (同志社大学 野口 尚史)

2. 「音楽聴取によるモチベーションと記憶力の関係について」 東京シューレ葛飾中学校 森下 礼智
 (金沢学院大学 大上 真礼)

3. 「光とアニマルセラピーの効果を応用した新たなリラクゼーションロボットの研究」 順天高等学校 若松 美沙
 (東京都立大学 和田 一義)

4. 「内藤とうがらしの種子を使って草木染めを行う」 東京都立戸山高等学校 石村 文子
 (和洋女子大学 鬘谷 要)

5. 「光触媒を用いた人工光合成」 埼玉県立熊谷西高等学校 高橋 朝陽・舛田 義輝
 (東京工業大学 高山 大鑑)

6. 「教育教材としての生物燃料電池の開発」 名城大学附属高等学校 安藤 久真梨・山ア 楓斗
 (岐阜大学 廣岡 佳弥子)

7. 「ポリフェノールと金属イオンの反応 〜ノビレチンとケルセチン〜」 東京都立戸山高等学校 須賀 碧人
 (琉球大学 照屋 俊明)

8. 「鳥類における叉骨−胸骨間の形態比較〜標本データベースを利用した比較解剖学的研究〜」 千葉県立千葉高等学校 有川 慶彦
(東邦大学 土岐田 昌和)

9. 「回折格子を用いた流星の分光観測」 宮城県古川黎明高等学校 佐藤 優衣・加藤 優煕
 (高知工科大学 山本 真行)

10. 「植物廃材を利用したバイオエネルギー」 茨城県立並木中等教育学校 清水 亮祐
 (和洋女子大学 鬘谷 要)

11. 「シマミミズEisenia fetidaを用いたヘドロミミズ堆肥の可能性」 清風高等学校 野田 晃司
 (農研機構 金田 哲)
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 11:13 | サイエンスメンタープログラム | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介(ドル 有生さん) [2021年04月05日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2019年度に「気孔発生パターンの多様性を生み出す分子基盤の解明〜アワゴケ属の水草を新たなモデル系として〜」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻所属の、ドル 有生さんから助成時の研究について、コメントを頂きました。

<ドルさんより>
 植物の気孔は、水蒸気や二酸化炭素などのガスを出し入れするために重要です。気孔は葉の表面にあって簡単に観察できるので、学校の授業で見たことがある方も多いと思います。
 色々な種の気孔を注意深く観察すると、種によって気孔の配置パターンは様々に違うことに気づきます。例えば、アブラナ科の植物の気孔は異なる大きさの細胞に囲まれていることが多いですが(図1A)、ツユクサでは大きさの同じ細胞のペアに囲まれています(図1B)。こういった見た目の違いは、気孔の形成過程を反映しています。例えば、アブラナ科の植物では気孔のもとなる細胞(気孔幹細胞)が、らせん状に複数回分裂するために、3つの異なる大きさの細胞に囲まれた気孔ができます(図1C)。

図1.jpg
図1: シロイヌナズナ(アブラナ科)(A)とツユクサ(B)の気孔と、シロイヌナズナの気孔の形成過程(C)。スケールバー: 25 μm

 もっと派手なことをする植物もいます。例えば、水中と陸上の両方で生活できる水草です。図2は私たちが研究対象としている水草、ミズハコベの葉を顕微鏡で観察した写真です。陸上で作る葉には気孔があるのに対し、水中で作る葉には気孔がほとんど見られません(参考文献1)。水に沈んだ時は薄い葉を作り、水中から直接二酸化炭素などを取り込むので、気孔が必要ないのです。

図2.jpg
図2: ミズハコベCallitriche palustrisの陸上葉と水中葉の表皮の顕微鏡写真。
黒矢じりで気孔を示す。スケールバー: 50 μm

 私が修士課程に入学した時は、この水草が水中で気孔を減らす仕組みを調べようとしていました。しかし、そこに意外な発見がありました。研究の前提としてミズハコベの気孔のでき方を調べたところ、気孔幹細胞が分裂せず、直接気孔になることが分かったのです(図3上)。さらに興味深いことに、ミズハコベと同じ属の、陸上でのみ生育する種では、アブラナ科で見られるような気孔幹細胞の分裂がふつうに起きていることが分かりました(図3下)。

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図3: ミズハコベと、同属の陸生種アワゴケにおける、気孔の形成過程の違い。

 これほど近縁な種で気孔の形成パターンが違い、さらにそれが生活環境の違いと関連する例はこれまで知られていません。この現象の背後にある仕組みを調べれば、植物一般における気孔の種間差(図1)が生まれる仕組みの解明にも繋がると期待されます。私は修士2年時の1年間、笹川科学研究助成を頂き、この現象の分子基盤を解析しました。その成果は、つい先日論文として公表することができました(参考文献2)。

 修士課程の学生も応募でき、独自の視点が評価される笹川科学研究助成は、このような私の状況にぴったり合っていました。また、申請書を書くというプロセス自体、駆け出しの私にとって大変勉強になりました。後輩の学生たちにも応募をお勧めするとともに、ご支援を頂いた日本科学協会の関係者の皆様には厚く御礼を申し上げたいと思います。

参考文献1 Koga H, Doll Y, Hashimoto K, Toyooka K, Tsukaya H (2020). “Dimorphic Leaf Development of the Aquatic Plant Callitriche palustris L. Through Differential Cell Division and Expansion” Front Plant Sci 11:269. https://dx.doi.org/10.3389/fpls.2020.00269

参考文献2 Doll Y, Koga H, Tsukaya H (2021). “The diversity of stomatal development regulation in Callitriche is related to the intrageneric diversity in lifestyles” PNAS 118:14. https://doi.org/10.1073/pnas.2026351118
<以上>

 植物が呼吸するために必要な気孔が、環境や種によって異なる出来かたをしているということは、非常に意外なことに思います。気孔は小学校でも習うことではありますが、まだまだ分からないことがあるということに驚きました。
 また、笹川科学研究助成では若手研究者をサポートするため、修士課程の方のご申請も受け付けておりますので、是非とも挑戦してみてください。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 10:36 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介(Emil Salimさん) [2021年03月29日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。本日は、2019年度に「力学的刺激によって誘導される非感染時の自然免疫応答メカニズム解明」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、金沢大学大学院医薬保健学総合研究科所属の、Emil Salimさんから助成時の研究について、コメントを頂きました。

<Emil Salimさんより>
Sterile Inflammation is the inflammation that caused by non-microorganism which induced by various factors including abnormal cell death, endogenous particulate such as cholesterol, mechanical stimuli, and environmental conditions such as ultra-violet radiation. This inflammation is related to many diseases such as cancer, myocardial infarction, stroke, and atherosclerosis. Much has been known about inflammation caused by microorganisms. However, the sterile stimuli-activated immune system remains poorly understood. The knowledge of how inflammation is activated and regulated under sterile condition is very essential to give insight on how sterile inflammation related diseases can be treated better. Because of this condition seems involve multiple and complex pathways, the utilization of animal models, such as insects and mammals, is very useful.

Fruit fly (D. melanogaster), a simple yet powerful genetic model organism, has been used to discover molecular mechanism in diverse biological processes, including the innate immune system. Our group, under the supervision of Assoc. Prof. Dr. Takayuki Kuraishi, found that pinching fruit fly larvae (Figure 1) can induce sterile inflammation and found that mechanism underlying this process is different to that of microorganism. Thus, we use this model to find responsible genes in sterile inflammation and study their function (Figure 2). This study will provide new insight on how sterile inflammation occur in human.

We thank to Sasakawa Scientific Research Grant of the Japan Science Society for their support to our study. This support has helped us to discover candidate genes that play role in sterile inflammation. We believe such support to researchers and students will give big contribution to the science.

Figure1.jpg
Figure 1. Pinching Drosophila larvae using forceps

Figure2.jpg
Figure 2. Sterile inflammation in Drosophila larvae may give new insight on
how sterile inflammation occurs in human

<以上>

 笹川科学研究助成では、留学生の方のご申請も受け付けております。日本での研究は言語の問題もあり大変かとは思いますが、様々な刺激を受けることができると思いますので、是非とも挑戦していただきたいと思います。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 14:58 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介(葛西 有代さん) [2021年03月15日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2019年度に「『かき混ぜ文』理解過程の脳波解析に基づく失語症に対するリハビリテーション」という研究課題で笹川科学研究助成実践研究部門を受けられた、総合リハビリ美保野病院リハビリテーション科所属の葛西 有代さんから、最近・助成時の研究について、コメントをいただきました。

<葛西さんより>
 私は青森県八戸市にある総合リハビリ美保野病院で言語聴覚士として、10年以上勤務しています。主に、脳卒中によりコミュニケーションに困難さが生じた方々のリハビリテーションに携わっています。助成時も現在も、東北大学大学院文学研究科言語学研究室にも所属しています。

 本研究は、失語症のある方々へのリハビリテーションやコミュニケーションの方法を考えるために行っています。
 「失語」は脳の疾患や外傷で生じる症状の1つで、脳の損傷により、一旦獲得された言語機能(聴いて理解する、話す、読む、書くなど)が低下する症状です。コミュニケーションに困難さが生じ、日常生活や社会生活に影響を及ぼします。

 失語症のある方々の中には、「太郎が花子を追いかけた」のような、「主語−目的語−述語動詞」の基本的な語順(以下、基本語順文)の文を理解することはできても、「花子を太郎が追いかけた」のような「目的語-主語-述語動詞」の語順をかき混ぜた文(以下、かき混ぜ文)を理解することが難しい場合があります。

ブログ_葛西有代_図1.jpg
図1 基本語順文とかき混ぜ文の構造

 そこで、今回の助成により、失語症のある方々10名(35〜63歳、以下、失語群)と、失語症のない定型発達の方々24名(39〜66歳、以下、定型発達群)に、基本語順文とかき混ぜ文を聴いていただき、脳波を測定しました。

 基本語順文の目的語とかき混ぜ文の主語を聴いた時の脳波を比較すると、定型発達群では、刺激文を聞き始めてから900-950ミリ秒後に、かき混ぜ文の主語において基本語順文の目的語に比べ有意な陽性波が観察されました。これは、先行研究では、高次な処理を行う課題で観察されている成分です。一方失語群では、そのような有意な差が認められませんでした。このことは、失語群は定型発達群と同じようには聴覚的な文処理ができていないということを示唆しています。この失語群の中には、様々な失語症の種類の方がいらっしゃるので、疾患や脳損傷の場所に応じた傾向を把握するために、現在も研究を継続しています。

ブログ_葛西有代_図2.jpg
図2 定型発達群における刺激開始後900〜950ミリ秒の頭皮上電位分布

ブログ_葛西有代_図3.jpg
図3 脳波測定実験の様子@

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図4 脳波測定実験の様子A

 助成いただけたことで、所属先で報告し助言いただく機会をより多く得ることができました。また、所属している病院(八戸市)と東北大学(仙台市)を頻回に行き来し、研究をすすめることができました。
<以上>

 意思疎通を図るために、当たり前のように言葉を使っていますが、脳の中では様々な反応が起きており、非常に複雑なことなのだと思いました。今後も、リハビリテーション等で困っている方のための役に立つような研究となるよう、陰ながら応援させていただきます。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 15:07 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介(市川 寛也さん) [2021年03月01日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2019年度に「重要伝統的建造物群保存地区における保存物件の創造的活用モデルの構築―岩手県胆沢郡金ケ崎町の事例から」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、群馬大学共同教育学部所属の市川 寛也さんから、助成時の研究とその後の展開について、コメントを頂きました。

<市川さんより>
 群馬大学共同教育学部の市川です。大学では、美術教育講座の教員として、美術理論や美術史に関する科目を担当しています。専門分野は芸術学です。特に、アートプロジェクトをはじめとする地域社会における芸術活動について、理論と実践の両面から研究を進めてきました。2019年度に笹川科学研究助成を受けて取り組んだ実践研究もこうした関心の延長線上にあります。
 具体的なフィールドは岩手県内陸南部に位置する金ケ崎町です。この町には、近世に仙台藩の要害が築かれ、現在も当時の町割が残されていることから、2001年に国の重要伝統的建造物群保存地区(以下、伝建群)に選定されました。この中にある一軒の保存物件(旧菅原家侍住宅)を地域に開かれた学びの拠点「金ケ崎芸術大学校」として活用しようというのが実践の主眼です。(図1)

図1 金ケ崎芸術大学校外観.jpg
図1 金ケ崎芸術大学校外観

 構想にあたっては、「生涯教育」と「農民芸術」という二つのキーワードを設定しました。金ケ崎町では、1979年に全国に先駆けて「生涯教育の町」を宣言して以降、教育がまちづくりの柱となっています。この理念を踏まえ、伝建群に芸術に焦点を当てた学び合いの場をつくることを目指しました。ただし、一口に芸術と言っても、絵画や彫刻、音楽など既存のジャンルに限定されるものではありません。宮沢賢治の「農民芸術」の理想に照らし合わせながら、生活そのものを芸術として実践することを試みています。(図2)

図2 金ケ崎芸術大学校「藍の時間」(畑への移植).jpg
図2 金ケ崎芸術大学校「藍の時間」(畑への移植)

 金ケ崎の伝統的建造物には、侍住宅でありながら農家としての構造を持つ「半士半農」と呼ばれる特徴があります。このような地域性を生かし、敷地内の畑で藍を栽培しながら、収穫した生葉で染色するプログラムなどを行ってきました。ご近所にお住いの染色愛好家が講師を務め、近隣市町村からも参加者が集まりました。この他にも、生け垣を刈ったり、庭を眺めたり、鬼のお面をつくったりしながら、四季の変化に合わせて「あり得たかもしれない暮らし」を創造するアートプロジェクトを展開しています。(図3・4)

図3 金ケ崎芸術大学校「藍の時間」(生葉染め).jpg
図3 金ケ崎芸術大学校「藍の時間」(生葉染め)

図4 金ケ崎芸術大学校「鬼の時間」.jpg
図4 金ケ崎芸術大学校「鬼の時間」

 このような日々の実践を通して、保存物件の公開のあり方について研究を進めてきました。伝建群は文化財であると同時に生活の場でもあります。そのため、いわゆる「有形文化財」のように、博物館に収蔵して保存することはできません。そのような中にあって、生活の一つひとつの場面を広義の芸術として実践することにより、参加する一人ひとりが意識するしないにかかわらず環境保全に関わっていることを改めて実感しました。ここから活動そのものに「動態保存」としての意義を見出したことがひとまずの結論です。
 最後に実践研究について私見を述べます。現実の地域社会は研究のために純粋培養された実験室ではありません。そこに暮らす人や外側から訪れる人など、様々な立場にある人々の思惑の絶妙なバランスの中で成り立っています。私自身は「研究者」としてフィールドに入り込むわけですが、同時に「実践者」として現場と深く関わりながら研究を進めてきました。プロジェクトを進めていくにつれ、もはや両者の境界線は曖昧になっていることを実感するようになります。無論、そのいずれであっても、私にとっての「理想の世界」の実現に向けた道のりを探ることには変わりはありません。このダイナミズムに実践研究の醍醐味があると思っています。

なお、金ケ崎芸術大学校では2020年の秋にこれまでの活動をまとめた記録集を発行しました。もしご興味のある方がいらっしゃいましたら以下のアカウントまでご一報ください。こちらで最新の活動状況についても発信しています。
金ケ崎芸術大学校広報部(https://twitter.com/kanegasakiart
<以上>


 家などの建物は、人が住んだり使ったりするために造られたものですので、人が出入りすることが保存することにつながり、大事なのかと思いました。また、フィールドに入り込み研究を行うことで、様々なことが見えてくるのだと思いました。今後も、このような実践研究を続け、頑張っていただきたいと思います。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 12:37 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介(片岡 万柚子さん) [2021年02月15日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2019年度に「捕食者(イボトビムシ科)に対する変形菌の行動の反応」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、横浜国立大学大学院環境情報研究院土壌生態学研究室所属(助成時)の、片岡 万柚子さんから助成時の研究について、コメントを頂きました。

<片岡さんより>
 土壌生物の種間相互作用を明らかにすることは、土壌生態系が維持される仕組みを理解するために重要です。その中で、バクテリアや菌類などの分解者を餌としているアメーバ状の変形菌変形体と、その数少ない捕食者として確認されているイボトビムシ類の関係を明らかにすることは、土壌の有機物分解や物質循環を解き明かすことにつながります。そこで、私は変形体とイボトビムシの捕食被食関係について、いくつか実験をおこないました。

図1.変形体.jpg
図1.変形体

図2.イボトビムシ.jpg
図2.イボトビムシ

 そのうち、捕食者イボトビムシの存在によって変形体の行動が異なるのか明らかにする実験において、実験で用いた2種の変形体でそれぞれ違いがみられました。シロジクキモジホコリ変形体は、捕食者がその場に存在することより、体が傷つく刺激を受けることで行動が変化しました。さらに、移動する体の後方に刺激を受けたときに、体を分離させる様子が見られました。トカゲの尻尾切りのように、自分の体の一部を切り離して逃避する可能性が考えられます。またもう一方の種、ホネホコリ属の一種の変形体では、体を傷つけられることに関係なく、体の一部を分離させることが分かりました。ホネホコリ属の一種の変形体は、常に体を分離させることにより、個体が全滅するリスクを分散させている可能性が考えられます。これらより、変形体の種によって生き残り戦略が異なる可能性を示唆することができました。

図3.変形体を摂食するイボトビムシ.jpg
図3.変形体を摂食するイボトビムシ

 笹川科学研究助成を受けたことで、私はいくつもの実験に挑戦することができました。生き物を観察する中でうまれた様々な疑問を解決する機会をいただけたことが、なにより嬉しかったです。また、特に基礎研究は人間社会との直接的なつながりが見えにくく、不安に思うことも多かったのですが、本助成に選ばれたことで自信をもって研究に励むことができました。

 改めまして、研究の機会をくださいました日本科学協会の皆さま、ならびに横浜国立大学土壌生物学研究室の皆さまに深く感謝申し上げます。
<以上>

 危険を感じると体の一部を分離する生物がいることは知っていましたが、生き残るための戦略が様々あり、分離するタイミングが異なるということは初めて知りました。
 研究は成果が世の中の役に立つかどうかということに着目されがちですが、意外なところから人間社会と繋がることもあります。基礎研究も着目されるよう、応援させていただきたいと思います。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 14:32 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
書籍『科学と倫理』刊行のお知らせ [2021年02月02日(Tue)]
 科学隣接領域研究会事務局からお知らせです。
 2月9日(火)に書籍科学と倫理 AI時代に問われる探求と責任が発売されます。

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詳細はこちら→https://www.jss.or.jp/ikusei/rinsetsu/ethics/book.html
 
 本書は日本科学協会 科学隣接領域研究会での議論を取りまとめた、「今考えてほしい科学を支える倫理」について、13名の執筆者によって書かれた論考集です。喫緊の課題である感染症、ますます活用されていくAIとの付き合い方、ゲノム解析などの生命倫理、宇宙開発の倫理的課題など、先の見えない問題を考える13の視座が詰まっています。

 コロナ禍では、専門家と社会との連携、ワクチン開発をめぐっては日本の科学技術力などの問題も浮き彫りとなりました。多くの研究者に助成してきた日本科学協会(※)だからこそ、昨今の研究成果や効率性ばかり偏重される風潮に危機感を感じています。研究者が将来科学を通して様々な課題を解決し、より良い社会を築くことに貢献することを目指して、本書が多くの方に読んでいただけるようご案内申し上げます。一般の方々も専門家任せにせず、社会の問題を解決するために一緒に考えていただく契機となる書籍です。
 
 書店やWebにて販売いたします。緊急事態宣言が延長になりましたので、外出自粛中にじっくり読みんでみませんか。

※日本科学協会は30年間以上にわたりのべ9,000人以上の大学院生を中心とする若手研究者が行う基礎研究に助成する活動(笹川科学研究助成)を続けている団体です。

Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 14:23 | 科学隣接領域研究会 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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