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オンラインアンケートを用いた看護学生の病院緑化および園芸療法に対する意識調査/渡邉藍 [2020年10月25日(Sun)]
2020年9月に開催された第51回大会(岩手Web大会)で優秀ペーパー賞を受賞された渡邉さんからの投稿が届きました!

オンラインアンケートを用いた看護学生の病院緑化および園芸療法に対する意識調査
渡邉藍(千葉大学大学院園芸学研究科 博士前期課程2年)


受賞した要旨2枚目(ポスター)はこちら!
Watanabe_page_2.jpg


 この度は、第51回日本緑化工学会大会において、優秀ぺーパー賞(研究交流発表部門)をいただき、誠にありがとうございます。今年はWeb上での開催でしたが、期間中には様々な視点からコメントをいただきました。この場をお借りして御礼申し上げます。簡単ではありますが、本研究について紹介させていただきます。

 既往研究より、病院緑化が入院患者の術後回復に有用であることや、園芸療法が病院勤務者のストレス緩和に有用であること等が報告されています。しかし、それらの効果を活かした緑化やプログラムが導入されている病院はまだまだ少ないのが現状です。今後、植物の効果を活かした緑を導入してもらうには、現場で働く医療従事者の病院緑化や園芸療法に対する理解が必要不可欠であると考えられます。しかし、医療従事者は夜勤など勤務形態が不規則であることや、激務であることなどから、緑の効果を理解する時間や余裕がない事が予想されます。そこで、時間に余裕があり、学ぶ環境でもある学生時代に着目し、学生時代に植物の有用性を理解してもらうことが有効ではないかと考えました。
 このような経緯から、本研究では全国の看護学生を対象に、病院緑化および園芸療法に対する意識についてオンラインアンケートを実施しました。医療従事者の中でも、看護師(看護学生)を選んだ理由は、病院緑化や園芸療法に対する理解が、看護師の職務内容や多職種連携での役割等から重要であると考えられること、また患者との距離が近い職種であることから、彼らの理解が進むことで、病院における緑の導入に繋がりやすいと考えたからです。

 病院において緑が必要な場所について聞いた結果、中庭や待合室など、「患者が利用する空間」が多く選ばれ、ナースステーションや職員の休憩室など「勤務者が利用する空間」はほとんど選ばれませんでした。現在、うつ病など精神疾患で休職する病院勤務者が急増しています。これらの対策としても、今後は「勤務者が利用する空間」への緑の導入が必要であると考えられます。そのためには、当事者である病院勤務者自身の意識を、学生時代から変えていくことが必要であることがわかりました。また、園芸療法に対する認知について聞いた結果、認知度自体は低いものの、「興味がある」と回答した学生が6割以上いることがわかりました。よって、園芸療法の認知度を上げ、導入を促進するには、学生時代の間に知ってもらう機会や場を提供することが有効であると考えられました。

 現在のコロナ禍において、医療従事者は、これまで以上にストレスフルな状況であると考えられます。そのストレスを緩和するための一つの手段として、植物の存在が病院緑化(ハード面)や園芸療法(ソフト面)といった形で広まれば、と考えております。今後も引き続き、病院における緑の研究を進めてまいりたいと思っています。
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ガマズミ属3種の種子の休眠打破/武井理臣 [2020年10月22日(Thu)]
2020年9月に開催された第51回大会(岩手Web大会)で優秀ペーパー賞を受賞された武井さんからの投稿が届きました!

ガマズミ属3種の種子の休眠打破
武井理臣


 この度は第51回日本緑化工学会大会において、研究交流発表部門にて優秀ポスター賞を頂くことができ大変光栄です。指導教官である福永健司教授と橘隆一教授に厚く御礼申し上げます。また、web討議期間中にご質問頂きました皆様にも感謝申し上げます。この場をお借りし、私の研究の内容を紹介させて頂きます。

1.はじめに
 ガマズミ属の種子の多くは形態生理的休眠を持つ。形態生理的休眠を持つ植物では種子は胚が未熟な状態で散布され、まず形態休眠が打破されることで胚の成長と発根が生じ、続いて成長した胚の生理的休眠が打破されると子葉が地上に出現する。このため発芽に時間がかかり、ガマズミやカンボクなどは播種から発芽までに2年以上の時間を要する。ガマズミでは、暖温湿層処理を120日間行った後に冷温湿層処理を60~90日間行うことで通常よりも300〜330日ほど早く形態生理的休眠が打破できる4)。しかし、北アメリカに自生するガマズミ属では、暖温湿層処理の要求期間と有効な温度条件はガマズミ属内でも樹種ごとに異なることが報告されている2、3)。日本のガマズミ属の樹種においても,種ごとに生育する気候や環境が異なるため,休眠打破に必要な暖温湿層処理の温度や期間が異なることが予想され,解明できればガマズミ同様通常よりも短期間に発芽させることが可能になると考えられる。そこでカンボク、ミヤマガマズミ、ゴマギの種子に対し、ガマズミ同様の方法で休眠打破ができるか実験を行った。

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2. 実験方法
 70%エタノールで殺菌し、蓋に通気孔を開けたポリプロピレン製容器に小粒の軽石砂を40g詰め、種子を50粒播種した。暖温湿層処理は25、20、15℃恒温条件と25/15℃変温条件(12時間切替)の4条件設けた。暖温湿層処理は、発根率が50%を上回るまで行った。その後冷温湿層処理を0±2 ℃で90日間行った。ゴマギのみ暖温湿層処理で発根しなかったため、0±2 ℃と25℃で湿層処理を行う追試験を行った。実験開始から30日に1回、実験開始75日目から終了時までは15日に1回発根率と、測定毎5粒の種子について胚の断面観察を行った。カンボクのみ、15/5℃変温条件(12時間切替)で発芽試験を行った。

3.結果と考察
 カンボクでは15/25℃変温条件の発根が一番早く、実験開始75日目で80%の種子が発根した。25℃恒温条件では発根開始が他の条件より50日ほど遅れた。発芽試験では25/15℃変温条件の発芽率が60%と1番高くなった。暖温湿層処理中に胚が成長し発根し始めたこと、冷温湿層処理後に子葉が展開したことから形態生理的休眠の8つのレベルの中でガマズミと同じDeep simple epicotylに属すると推測される。ミヤマガマズミでは25℃恒温以外の条件では、実験開始120日目には発根が始まった。暖温湿層処理中に胚が成長し発根し始めたことから、ガマズミと同様の方法で早期に発芽させられると示唆された。ゴマギは0℃での冷温湿層処理でのみ発根した。このことから、ゴマギの形態生理的休眠のレベルはDeep simple epicotylでは異なり、ガマズミのような休眠打破処理は不要と考えられる。

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 ガマズミ属は形態生理的休眠を持つ種が多いとされるが,休眠のレベルは種によって異なることが示唆された。今後,温度条件を追加し再度実験を行い,形態生理的休眠の8つのレベルのうち,どこに当てはまるのかを解明する必要がある。カンボクとミヤマガマズミに関しては,ガマズミと同様の方法で休眠打破ができると考えられる。今後,暖温湿層処理の期間を変えガマズミのように最短時間で休眠打破を行う方法についても解明する必要がある。

 ペーパー賞を励みに、これからも研究に邁進したいと考えております。最後に、本研究に携わった皆様に改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。
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河川水辺の国勢調査結果を用いた九州の一級水系における河川環境、とくに外来植物群落の変遷に関する考察/友口勇生 [2020年10月20日(Tue)]
2020年9月に開催された第51回大会(岩手Web大会)で優秀ペーパー賞を受賞された友口さんからの投稿が届きました!

河川水辺の国勢調査結果を用いた九州の一級水系における河川環境、とくに外来植物群落の変遷に関する考察
友口勇生


 この度は『河川水辺の国勢調査結果を用いた九州の一級水系における河川環境、とくに外来植物群落の変遷に関する考察』という題目で技術報告部門の優秀ペーパー賞を頂き、誠にありがとうございました。また、共同研究者、関係者の方々、大会期間中を通して貴重なご意見を頂いた方々にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。この度は簡単ではございますが、本研究の内容を紹介させて頂きます。

はじめに
 一級水系では、河川環境の整備ならびに保全を推進するために、1990年から5〜10年周期で河川水辺の国勢調査(以下、水国と称します)が実施されています。水国は「魚類」、「両生類・爬虫類・哺乳類」、「陸上昆虫類等」、「底生動物」、「植物」および「鳥類」の6項目について調査がなされ、その調査データはHPや情報公開制度などによって、広く一般に入手可能となっております。水国は調査開始から20年以上が経過し、今では、過去と現在のデータを比較することで、河川環境の変遷について検討可能な時期にきていると考えました。そこで本研究では、「植物」の調査データから、河川環境の変遷、とくに外来植物群落の変遷に焦点をあてて水国結果から解析を試みました。ここでは、本解析の足掛かりとして、九州の一級水系を対象としました。

方法
 各水系をそれぞれ過去と現在の2つに分け、現在については、各水系において最新のデータを使用しました(2017年現在)。過去については、1997年に水国の調査範囲が変更されているため、1997年以降のデータとしました。植物調査では、河辺植生域、造林地、耕作地、人工草地、施設地等、自然裸地および水面の7つの区分で、それぞれの面積(ha)が計測されています。本研究では、それら区分を、外来植物群落、在来植物群落、造林地、耕作地、人工草地、施設地等および自然裸地の7つに区分し、それぞれの面積(%)を集計しました(外来植物群落については、群落別の面積(%)を別途集計)。それらを変数に主成分分析、クラスター分析(グループ内平均連結法)および除歪対応分析(DCA)を行いました。

結果および考察
 九州の一級水系においては、過去から現在にかけて多くの水系で、その多くが在来植物群落から外来植物群落へと変遷していることが示されました(図-1)。また、施設地や人工草地等の開発(人為的攪乱)が増加し、それらが外来植物群落に影響を及ぼしていることが同時に示唆されました(図-1)。 

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外来種群落においては、過去においては、多くの水系でセイタカアワダチソウ群落が形成されていました(図-2)。これに対して、現在では、同種に代わって、セイバンモロコシ群落が成立していました(図-2)。

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 DCAによる序列化でも、年代と負の相関にあるX軸に対して、セイタカアワダチソウ群落は、セイバンモロコシ群落の大きく右側に配置されました(図-3)。
 以上から、九州の一級水系における外来植物群落は、過去から現在にかけて、セイタカアワダチソウ群落からセイバンモロコシ群落へと変遷しているものと考えられました。

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おわりに
 本報では、九州の一級水系における外来植物群落の変遷について多変量解析から概括的に捉えてみました。今後、水国の調査データ(素データ)との整合性についても検討を要しますが、本報の示す変遷は、昨今の河川環境について私共が日々感じている実態をよく反映していると考えます。特に本地域での繁茂が明らかとなったセイバンモロコシについては、我が国における知見がまだまだ乏しいことから、その動態を注視するとともに、抑制手法の検討が喫緊の問題と考えています。

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