2月12日、山陽小野田市立中央図書館で、
今日は一日“村中李衣さん三昧”
午前は、
「児童文学作家 村中李衣さんによる「児童文学わいわい講座」」
まず、
読みあいをしました。
『だれが いちばん? がんばれ、ヘルマン! 』(イヴォンヌ・ヤハテンベルフ/作 野坂悦子/訳 講談社 2021.10)

オランダの絵本です。
だるまさんみたいにころころした黒い豚のヘルマンのお話です。
まわりのメンドリやオンドリが「あたしがいちばん、おれってさいこう」といつも言い争ってばかりで、うんざりしていたヘルマンはある日・・・。
「自分が最高って思い上がりも大事、1番だぜって突っ走る経験も大事。それがあって初めて、気づくこともあります。
競争に巻きこまれることもありますが、自分自身を見失わず、自分を大切にして欲しいです。
子どもを否定せず見守るおとながいることも大事です。」
と李衣さん。
『はるちゃん ひこうきに のる』(こどものとも 2022年3月号)
(秋山とも子/作 福音館書店 2022.3)

はるちゃんがはじめて一人で飛行機に乗って、沖縄のおじいちゃんおばあちゃんに会いに行くお話です。細かい絵なので、集団のおはなし会には向いてはいませんが、モノレールで羽田空港に着くまでの様子、そして空港に着いてからの様子が詳しく描かれていて、はるちゃんやその家族の心の動きまで読み取れます。
「なぜいったん背負った荷物をまたおろしたんだろう?」李衣さんの疑問でした。
『あつおのぼうけん』(田島征彦・吉村敬子/作 主任手当を京都の子どもと教育に生かす会/編 童心社 1983)

施設で暮らす重い障害を持つ養護学校四年生のあつおがイマジナリーフレンドである木の棒に木の人形に誘われて冒険の旅に出、漁師の子と冒険をし、さらに自分一人で大きな冒険に踏み出し、そして、友情をつかむ物語です。
田島征彦さんと吉村敬子さんの共著は
『ななしのごんべさん』(童心社 2003)という絵本もあります。
次は、YouTubeの
手話による読み聞かせ『かける』の視聴でした。
せんだいメディアテークと仙台市民図書館では、聞こえない子どもたちに絵本の読み聞かせを楽しんでもらえるよう、手話で読み聞かせをおこなう「手ではなすおはなしの会」を定期的に開催していて、ボランティアグループ「まほうの手」による読み聞かせの動画でした。
手話による読み聞かせを見るのは初めてだったので、そのパフォーマンスに圧倒され、『絵本』の中に入っていくことができませんでした。
置いてきぼりにされた感じでした。
手話による読み聞かせについて、私自身がもっと勉強する必要があります。
『かける』(はらぺこめがね/作絵 佼成出版社 2021.1)

食べ物に何かを「かける」ことをテーマにした絵本です。
著者は「食べ物と人」をテーマにイラストを描かれている、はらぺこめがねさん、原田しんやさんと関かおりさんの夫婦ユニットです。
まず「かけます かけます」で画面いっぱいに、かける音と、かける様子が広がります。
その擬音語は総じてユニークで、「しゃららんら〜ん」のようにユニークというより意表を突いた擬音もあります。
それに続くページは、画面いっぱいに広がるダジャレ?とそれをかけた食べ物の絵。
最後の「ふぁっ ふぁっ ふぁっ」はオチとしても、表紙のカレーをかける音がないのは何故??? そこのところは、読者の想像に委ねたのでしょうか?
はらぺこめがねさんってどんな作品があったっけ?、と思っていたら、広松由希子(絵本研究家)さんが 「ひらいて広がる絵本の世界 〜絵本の今とこれから〜」 (2019年2月16日(土) 山陽小野田市立中央図書館 主催:山陽小野田市立中央図書館)で紹介された絵本
『レンガおとこ』(はらぺこめがね/作 えほんやるすばんばんするかいしゃ 2015)の作者だということを思い出しました。

表紙のデザインが3種類あり、その絵が全て微妙に違い、同じものはないという絵本でした。
レンガを描いていますが、最後は、はらぺこめがねさんらしく「うふふ」です。読んでみてください。
李衣さんが石川えりこさんと作られた絵本『こくん』(童心社 2019)が【IBBYバリアフリー児童図書】2021年選定図書に選ばれ、第7回JBBY賞・バリアフリー図書部門を受賞したこともあって、講座が終わってからも、李衣さんたちとバリアフリー絵本について話しました。
JBBYは過去3年のうちに日本で発行された子どもの本の中から、障害のある子どもが読書を楽しむ助けとなる作品を選び出し(国内選考会)、IBBYに推薦します。
配慮の必要な子どものための特別な仕様の本(スペシャルアプローチ)、障害の有無にかかわらず誰もが楽しめる本(ユニバーサルアクセス)、障害のある人を描写した本(ポートレート)の、3つのカテゴリーに分けられています。(
https://jbby.org/ibby-bf-japan 参照)
【次回に続く】